十八話〘不老不死の薬〙
「不老不死……?」
ミアは不思議そうに聞き返す。
俺も意味がわからなかった。
「不老不死はいいものじゃよ。人間に生まれてしまった限りいや、ほとんどの生物は死んでしまう。お主らは死ぬは怖いじゃろ? 不老不死になればもちろん死なないのじゃ」
「怖いし嫌だけど……結局いつかは死んでいくはず。でも不老不死になるなんてありえない」
「不老不死になりたくてもなれるもんではないと思いますが……」
「みな、そう言うとがわれの薬と魔法があれば不老不死になれるのじゃ」
「嘘……本当になれるの?」
「そうじゃ。げんにわれは、不老不死じゃ。われは120才ぐらいじゃ。だけど今も元気に生きているし8才の頃のままじゃ」
ありえない話だが女の子は嘘をついているようには見えない。
普通ならおかしいが異世界だからなのか?
「信用してるように感じないのじゃ……お主らに不老不死の話持ちかけた理由はあるのじゃ」
「理由……とはなんでしょうか?」
「お主ら勇者じゃろ?」
「え! 良くわかったね!」
「そんな変わった姿をしていたら分かるじゃろ」
「あ、そっか珍しいもんね」
「まぁ……そんなことはどうでもいいのじゃ。不老不死の話を持ちかけた理由は勇者は魔王を倒しに行くんじゃろ? お主らの前の勇者がおったのじゃが魔王に殺されてしまったのじゃ。王らは、勇者に期待しておるらしいがわれは勇者を野放しにしてるだけじゃ魔王は永遠に倒せないと思うのじゃ」
「…………不老不死になれば長く訓練していつか魔王を倒せるってこと?」
「まぁそんな感じじゃ。魔王に殺されることもないのじゃ」
不老不死か……一度は夢見るが実際になると考えると怖いな。
一人で寂しく生きていくのは嫌だ。
不老不死になれるとしてもなりたくない。
「てことで不老不死になったほうがいいと思うのじゃ」
怪しいし、怖いし本当だとしてもなりたくないので断ろうとした瞬間……
「なりたい!」
「え?」
「おぉ……なりたい! その言葉をまってたのじゃ! 早速2人分の薬を用意しないと……」
「あの……俺はなりたいと一言も言ってないのですが……」
「まぁまぁ1人より寂しくないじゃろ。とは言えすぐにさせたいのじゃが薬の材料がないのじゃ。申し訳ないが材料を取ってきてほしいのじゃ」
「話を聞くだけって言ったのに……ですか……」
「まさかなりたいと言ってくれるとは思わなかったのじゃすまんすまん」
しまった、心の声がでてしまった。
それにしてもなんて強引なんだ。
ミアはなりたいと言うのはビックリだが俺は関係ないだろ。
「あ、名を伝えてなかったのじゃ。名はネムじゃ。これからのためにも名を知っていたほうがいいじゃろ」
「確かに! 私はミアです!」
「…………内木 涼です」
「……ふーんまぁよろしくじゃ」
「さっそくじゃがその薬の材料とその材料がある場所をこの紙に書いたのでみるのじゃ」
「用意がいいですね」
「メモしないと忘れるからじゃ」
ネムは紙をテーブルの上に広げ俺たちに紙を押し付けた。
「すまんが用事あるからばいなのじゃ〜。あ、また明日、酒屋で!」
「えっちょ……」
ネムは焦りながら酒屋をでた。
一体なんだったんだあの女の子は。
「なあ、ミアは実際その薬の材料取りに行くのか? 怪しくないか?」
「実際に不老不死になるとは思ってないけど面白そうじゃん行こう!」
「うーん。仕方ない」
ミアはキラキラに目を輝かして紙をみつめる。
本当は怪しいし行きたくないがミアが行くなら俺も行くか。
てかせっかく食べに来たのにまだ注文してないじゃねぇか!
店員がまだ注文しないのかという目でこちらを見ているのでなにするか決めないと。
「ミア、決めないと」
「あ、そうだよね!」
俺達はメニューを見て決めた。
ベルを鳴らし店員をよんだ。