十五話〘街の外へ〙
俺達は魔王討伐のための防具を手に入れたいのでまずは、地の街ゴーレに向かう。
どうやらゴーレに向かうには歩きで一週間かかるらしい。
少なくとも一週間は歩かないといけないので体力が持つか心配だ。
勇者仲間も見つかればいいのだが……
モンスターを倒しつつ歩いているといつの間にか夜になっていた。
女王にもらったキャンプセットで、他の冒険者よりも楽に冒険できるとは思う……
「リョウ、テントたてとくから火起こしといて!」
「了解」
俺達は手分けして、分担し、今日を乗り越える。
ここには前より馴染んできたとは思うけど、この世界の常識がまだわからない。
文字が読めないのは致命的だ。
「テントたてといたよ!」
「こっちも火ついたぞ」
「今日はツノウサギがいてよかったね!」
「そうだな。いい思い出がないが、食料として助かっている」
「そうだね!」
素人ながら肉を捌き、串を刺し、そして火に向けて肉を焼く。
「おいしいね!」
「そうだな」
冒険者らしい料理だが、そんなにはおいしくない。
ゲームだったらおいしそうなのにだが、生きていくには充分だ。
早く街に行けたらいいのに。
火が小さくなったら、枝を折り火の中に放り込みながら寝る準備をする。
古びた銅製の懐中時計を街で買ったのである程度時間がわかる。
その懐中時計を見ながらミアと俺で交代で見張りをする。
「じゃあ。先寝るね! おやすみ」
「おやすみ。また3時に」
先にミアがテントの中に入り寝る準備をし、先に寝る。
俺はその間火を絶やさず、外を眺める。
暇だな。
外の星を眺めながら暇をつぶす。
しゃべる相手もいないからほんとに暇だ。
こうして数時間がたち、もうすぐ交代しようとしたとき、山の方から人影が見えた。
何もない平地に人、しかも夜中なのに。
見間違いだと思ったがどんどん近づいていく。
姿がはっきり見えるようになった。
弱々しい少女は髪がまるで夜空の色……いや、少し紫っぽい色で幻想的な空ぽい色で瞳は紫ぽい。
服装はいかにも魔法使いな見た目だった。
フリフリの淡い赤紫っぽい色でところどころ星の飾りがついていた。
明らかこっちにしゃべりかけてきて怪しいとは思うが、ヤバい人ではなさそうだ。
「すみません。もしかして……日本から来た人ですか…?」
「え、もしかして…………転移者ですか?」