十四話〘多少の犠牲〙
「ハクさん?」
「やっと……マギをマギを!」
俺とミアや周りの住民たちはこの状況に驚いている。
よく分からない状況なのだ。
「全ては……計画通り……ありがとう……」
「何して……」
「ずっと、ずっと、ずっと、ずっと……鬱陶しかった。私の計画の邪魔ばかり……」
「計画……?」
「マギは……魔力をたくさん持っていた……私の計画は、魔力がたくさんいる……けど……私は魔力は少ないまま……マギを倒せば魔力が多くなる。」
「計画はなんのことか分からないけどマギを倒さないとできなかったの? どうして! 仲良さそうだったのに」
ミアがハクに対して怒りをあらわにし、歯をギシギシならす。
「私は……マギなんてどうでもよかった」
「泣いてるじゃん……」
ハクは涙をポロポロ流していながら落ち着いて笑顔で話している。
「私の……目的は……計画は……魔王を倒したかっただけ……」
「魔王?」
ハクの口から突然『魔王』というキーワードが出てくるとは思わなかった。
どうしてハクは魔王を倒したかったのか。
「私は……魔王に……人体実験をされた……苦しかった。痛かった。憎かった…………私は魔王を許せなかった……」
「ひどい……ですね……」
「それって、本当……?」
「だから、魔王を……許せなかった……勇者は魔王を倒してくれると信じた……だけど死んでばかり、勇者が思っている以上に弱かった……だから……だから……魔王を倒せるように弱体魔法を見つけた……だけど……マギは……協力してくれなかった……だから……犠牲になってもらった……世界の平和を願うため……」
「そんな……」
ハクは笑顔を崩し、泣き続ける。
ミアは責めたことを後悔しているようだった。
「えーと……みんなありがとう……」
「こちらこそごめん……」
なんとも言えないような雰囲気で、空気が重かった。
「勇者……絶対に……魔王を……倒して……バイバイ……」
「ん?」
ハクは赤い宝石を両手に掲げ、魔力を込める体勢だ。
なんだか、その魔法は嫌な予感がした。
その宝石は光りだし、空が一瞬赤く光ったように感じた。
空に身をおられている間に、ハクの姿が見えなくなった。
「ハク!」
「リョウこれ……」
地面を見るとハクの体の色と同じ欠片が散らばっていた。
「その魔法使うともしかして自分も死ぬ……」
魔王を弱体化するには大量の魔力だけではなく、自分の命を代償にする必要があったってことなのか。
マギはその魔法のこと知っていたからハクを止めていた?
俺たちはなにかできたはず……なにか変えられたら……俺は無能だ……
そうして、二日目が終わった。
そして、一ヶ月後生き残っていた女王と街をできる限り復元し、生活はできるようになっていた。
俺はどんどん強くなっていった。
「もう、そろそろ他の街に行って来たら? 魔王を倒すために」
女王が俺たちに旅を提案する。
「そうですね。もうここのモンスターは倒せますので」
寂しいが、そろそろでないと行けないとは思っていたので、城を出て借りた家に荷物を回収する。
ボロい一軒家だが、なにか温かみを感じた家とはさらばだ。
「ミア、違う街に行くぞ」
「……おっけ! 寂しいけどこの街とお別れだね」
そして、俺たちは女王にもらった地図を貰い、街の外へ出た。
一章終了です!
一日2回出してたりもしてましたが、二章からは一日1回のペースにします!
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