十三話〘手のひら水の中〙
急に水……もしかしてこの魔法って……
マギや、アルテントも突然水の中にいるのでぶくぶくとなっている。
「ちょっ……ハクのやろう! 俺は水の中でも息ができるから良いが、他のヤツらは溺れるじゃねぇか!」
やっぱり、水の正体はマギの言っていた特大魔法ってやつの仕業らしい。
火に水はちょうどよかったが、俺は泳げないので割と詰んでる。
「チッ、水中にでられないじゃねぇか!」
嘘だろ? 城を出ようとしたが、でられない? いったいどうすれば……突然水の中にいたから息がもたない。
「エアーオク!」
マギが魔法を口に出す。
俺の顔の周りには空気がまとわりつき、息ができるようになった。
「ありがとうございます」
「お前のせいで、魔力がほぼなくなったじゃねぇか!」
「すみません」
「で、この水の中からどうやって出るかだよな」
「でられないって言ってましたもんね」
「この魔法中からの干渉ができない仕組みになっていそうなんだ。だから助けがないとお前らと一生水の中だ」
「マジですか……」
どうやら俺たちではにもできないらしい。
一生このまま水の中ってかそんなの嫌だ。
この水はとても冷たく、プールの水より冷たく感じた。
息ができても、ずっと水に触れているので感覚がおかしくなる。
…………外から何か声がしたような
「大丈夫!?」
アルテント以外の周りの水が弾け飛び、俺とマギは城の中の床に倒れ込んだ。
続けて声が聞こえる。
「リョウ! ……し、死んでる?」
「生きてるよ…………助けてくれてありがとうミア」
「いやいや、ハクのおかげだよ!」
「大丈夫ですか…………」
ミアとハクが走って様子を聞いてくる。
ミアは焦った表情、ハクが何とも言えない顔で走ってくる。
「自分で言うのもなんだがそのリョウを救ったのだが」
「ごめん……マギ……ありがとう……」
「あと、ハク! 宝石のやつで最初っから言えよ!」
「ごめん……だって宝石は……状況によって魔法がかわる……から……」
「場合によっては全滅するぞ!」
「ごめん……とりあえず外に出よう……」
こうして俺らは城の外へ歩き出した。
出る前アルテントは驚いた顔……いや、何か訴えているような顔をしていた気がした。
水で火は消えてると言え、地獄の状態には変わりがない。
もう城は元通りにはならないだろう。
「そうえば、ミアとハクさんはなんでここに? 」
「私は、一階全部見て火がひどくなったから先に避難して、外に出たらハクがいてたの。そしたら、火が消えて水が漏れてて、ハクさんとリョウの様子見に行ってたよ」
「マギに渡した宝石……使ったら私に伝わるようになってる……大丈夫か心配してたら……ミアさんがいた……」
「なるほど……とにかく、みんなありがとう」
俺等は、街の外へ出て、住民たちに状況を伝えた。
「この街は危機は去りました。ですが、ご覧の通り街は崩壊、そして王様は死んでいました」
住民たちはざわざわし始める。
当たり前だろう、自分たちの王が死んで街も終わっているのだから。
「お前ら大丈夫か? ケガはな……」
「え」
突然マギは目の前で弾け飛んだ。
「やっと……やった……マギが死んだ……!」
マギの後ろにいたハクが怖いぐらい笑っていた。