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十二話〘馬鹿な行動〙

「どうして、いるんですか?」


 どういう状況か理解できない。

 避難し遅れた雰囲気でもない。


「もう外は暗いの。早く寝るの」


「早く逃げないと危ないですよ」


「私はどうでもいいの。邪魔なの」


 多分……多分だけどこの人が黒幕だったのか?

 どうして、こんなことをしているのか?


「王が嫌いだとしても、ここまでやる必要がないじゃねぇか。他人は関係ないだろ」


「この街が嫌いなの。ここの王も住民も。マギだって王のこと嫌いなの」


「嫌いだ。だが、住民はバカだとは思うが別に殺すほど嫌いじゃない。」


「ふーん」


 状況が飲み込めていないが、泊めてくれた人がこの街が嫌いで燃やした? 

 マギは王のことを殺そうとしてたけど住民たちは……んーわからんくなった。


「あ、勇者ごめんなの。せっかくだし名前だけ教えるの。私の名前はアルテント・ゼントルっていうの。」


 ニコッと表情を変え、スカートの裾を持ち、上品に自己紹介をする。

 炎に照らされた光でその笑顔が怖く思えた。


「逃げろ……」


「…………俺も戦います」


「は? そんなに死にたかったのかよ…………はぁ……もういい」


 怒った顔でマギは言うがこれ以上何も言わなかった。


 俺も馬鹿だとは思うが、引き返しても逃げ切る自信がなかった。

 アルテントが見逃してくれるとは思わなかったのだ。


「いいか……お前には倒すことはできねぇ。だからお前は時間稼ぎをしてほしい。」


 マギが体の中から手を突っ込み、宝石のようなものを見せてきた。

 その宝石思ったよりでかく、手のひらより少し小さいぐらいだった。

 宝石は青く光り輝いている。 


「これはハクにもらった宝石だ。いざって時に使ってほしいんだとよ。無能じゃない勇者なら使う必要がないのだがお前は弱いから無能。こいつにも勝てねぇ。」


「無能ですみません」


「最初の頃とはいえ死にかけるなんて無能すぎるぞ。あの女ならともかくお前は無理だ」


「す、すみません」


「まぁどんなことがおきるかわからんが凄い魔法がだせるらしい」


「そうなんですね」


「はぁ……今から、特大魔法を出す。そのためにはこの宝石に魔法を送る。その間俺は何もできねぇからお前が時間稼ぎする。時間がねぇ死ぬなよ!」


「できる限り、頑張ります」


「やっと私と遊んでくれるの?」


「お手柔らかに……」


 アルテントは微笑み、その表情のまま魔法を撃とうとしている。

 魔法を口で唱えられる前に俺は前に走り出す。

 剣を振り上げたが、アルテントに剣を避けられる。


 その間、マギは宝石に手をあて、青いもやを飛ばしながら宝石に力を込める。


「なかなかはやいの……盗賊とか向いてそう!」


「役職のことですか……?」


「そうなの……知らないってことはギルドに登録してないの? 勇者として召喚されたとしてもギルドには登録しといたほうがいいの。まぁ、あの王は何も言わないから知りなかったと思うの」


「ありがとう……ございます」


「まぁ、言ってもどうせ死ぬの」


 バシバシ剣を振るが、当たらない。

 隙あらば魔法を撃とうとするが、その前に俺が剣を振る。

 休憩無しに振り続けるのはきついものだ。

 

「飽きたの。勇者は同じ攻撃しかできないの?もうそろそろ本気だすの」


 俺はだいぶ体力が消耗しているが、アルテントは疲れている様子を一切感じない。


「フレア!」


「あ"っ。あつっ」


 アルテントは火の玉を放ち、思いっきり俺に当たる。

 とても熱くて痛い。


 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い

 

 また、あの時と一緒なのかもしれない。

 時間稼ぎすらできないなんて。

 俺は弱いのだ。

 変わらない。

 ただ迷惑をかけた。

 

 俺は動けなくなった。

 剣を振ることも、動くことも熱さと痛さで動けない。


「マギ。バイバイな……の?!」





 ここは突然に、一瞬で水が部屋の中に…満たされた。

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