誰か来たみたい
朝飯を食べ終えたタイミングで玄関をノックする音、出迎えるとシーリアスが不機嫌そうに立っていた。
見なかった事にしよう。
無言でドアを閉めようとしたが凄い力でドアを開けられ侵入を許してしまった、無念だ。あ、こないだギルドから逃げた時の件かな?めんどくさいな…。
サッサと椅子に座るシーリアス。自分もしょうがなく向かい合うように席に付き要件を聞く事にする。
うー、やだなぁ。
ハンターギルドのマスターと言えば大抵は凄腕の元ハンターで粗暴で野蛮、上級チンピラの最終形態ってのが一般的だがシーリアスは全く違っていた。
出自からして何処ぞの貴族だとかで知識に教養、もちろん品格も高い上にハンターとしてのランクもずば抜けていた。人柄も良く悪いウワサも無い、少ーし思い込みが強い所はあるがほぼ完璧人間だ。
自分は何故か目を付けられてるけどね!
それで何の用かな?自分も暇を持て余してるわけじゃないし、いつものやつなら返事は同じだからね。
「違うわ、今回はわたし個人の依頼よ。」
そう言いながら彼女は手紙と一振りの短剣をテーブルに並べた。手紙はともかくこの短剣、一目でわかるほど嫌な感じがする。
絶対呪われてるよね?!
「違うわよ!」
あ、声に出ちゃってたか。だって柄の形状からして禍々しくて鞘に収まってるはずなのに濁ったオーラがダダ漏れてるとか、絶対普通じゃないよね?!
「だから呪われて無いから!ちょっと機嫌悪いだけだから!」
言いながらシーリアスが勢いよくテーブルに手をつき立ち上がると破壊音と共にテーブルが粉砕された。みるみる間に彼女の顔が紅潮していく。
「……ちょっと、このテーブル古いんじゃない?」
照れ隠しにも程があるぞ。
粉々になった元テーブルと床に投げ出された手紙に短剣。それらとシーリアスの顔を無言で見比べていると床の短剣がゆっくりと浮かんできた、目を擦って見たが確実に床からの距離は開いている。
「チッ!」
舌打ちすると浮かぶ短剣を素早く掴むシーリアス。おーい、いつもと別人レベルで悪人顔になってるぞ。さてと。
まずは説明を、あとテーブルについては後でお話があります。
そう言いながら自分はテーブルだったものを隅の方へ片付ける。シーリアスは掴んだまま凝視していた短剣から目を離すと床の手紙を拾い上げた。代わりのテーブルを準備していた自分と一瞬だが目が合うが何事もなく再び椅子に座り直していた。
なんだかなー。