3話:男の尊厳が砕け散った瞬間の元男の子の図がこちらです
2話投稿!!
「ちょっ!母さん!俺、元男………」
「別に、今女の子なんだから問題はないんじゃないんですか?」
「・・・」
「あっ、今心が揺らいでた。」
梓は沈黙を貫いて、りんの胸にずっとうずくまった状態で意識をあちら側の世界へと預けていった。
「あらあら~、疲れてたのね。」
りんは梓が慣れない数日間を過ごしてきたことに対して慰めるようにそっと頭を撫でた。
「やっぱり大変よね。いきなり生活していた視界も、感覚も変わってしまったから。だからこそ今は私と亮太さんとかなめで梓くん支えていってあげないと。」
誰にも聞こえない声でりんは梓の軽くなった体を寝室へと運び入れた。
「フフッ。どこか似てるわね。亮太さんの寝顔にも………あの人の笑顔にも。」
寝室に差し込んでくる昼下がりの小さな陽光は梓の未来に希望があるようにそっと暖かく包み込んでくれた。
翌日、梓はりんに手を引かれながら仙台市泉区役所までやってきた。そこで戸籍謄本の変更手続きを提出するや否や、やはりというのだろうか梓はりんと共に面談室へ連れ込まれた。
「えぇっと、突然すいません。聞きたいことがあったのでこちらへ呼ばせていただきました。」
「「はぁ。」」
「あっ、申し遅れました。私は西沢霧と言います。この区役所の様々な対応などをさせていただいてます。よろしくお願いします。」
「「よろしくお願いします。」」
霧と対面で面談することになった2人は分かっていただけあって冷静に対面することができていた。
「それで、今回の戸籍の性別に変更するための理由を教えてもらってもよろしいでしょうか。」
「あっはい。これなんですけど…。」
梓は診断書を霧に渡した。
「分かりました、では少し待っていてください。」
そう言って霧はいったん部屋から出て診断書に目を通し始めるのだった。
「すいません、少し時間を取りました。
霧は診断書を見た後、自分の常識を改めて疑った。実際そんなことがあるのかと。分からない分からないを延々と繰り返した結果、霧は少し席を外して上司に相談をしに行った。
一方で梓は内股になりながら少しソワソワと体を震えさせた。
「………(や、ヤバい!!このままだと!!)」
「??・・・どうしたの梓くん。」
「い、イヤナンデモナイデスヨ~ハハハ。」
「そう、でも震えてるわよ?」
梓はりんの言葉に対して愛想笑いで乗り過ごしているが正直限界が近づいて行ってるのを感じ始めたいた。
(あぁ~ヤバいな。でも、女子トイレに入るほうが今の俺にとってはもっとヤバいんだ!!耐えねば耐えなければ!!)
梓は静かに闘志を燃やしているが、彼女は一つ分かっていないことがある。
男子と女子では体のつくりが違うわけだから今までの男の感覚のままで行動をしていると大変になることを忘れて・・・。
「すいません。少し席を空けてしまって。」
「ピャッ!!!」
ドアが開いた音に過敏に梓が反応したその時だった。
「あっ・・・」
「あっ・・・」
「あぁっ!?・・・」
梓の体からひたひたと雫が集合体になって肢体を流れていく。生ぬるい感触が肌に襲い掛かって、女の子座りになるように膝から崩れ落ちた。
「あぁあああぁぁぁあああぁぁぁぁあ~!!」
壊れたロボットのように梓は目をグルグルと回していた。
「尊厳が~!!男としてのプライドがぁ~!!」
と、啜り声で役所内に響き渡ったとかわたってないとか。それと、戸籍謄本の変更は上手くったようです(数分後、りんが何とかした模様。)
梓とりんが帰った後、霧は上司に呼ばれてお話をすることになった。
「よぉ~来たか。西沢。」
「何でしょうか?中野先輩。」
「おうおう、大分フランクに来ても相変わらず固いねぇ~西沢さん。」
「誘っているんですか?だったらセクハラとモラハラで訴えますよ?中野仁太先輩。」
「これはこれはお手が厳しいようで。」
適度な雑談を霧と上司の仁太は交わしながら机を挟んで対面している。
「いや、そもそも、西沢さんを呼んだ理由はこんなのじゃない。そもそも分かってるでしょ?」
「それはそうですよ。中野先輩が茶化したのが悪い。」
それに対してぐうの音も出ない中野は沈黙をした。
「ま、まぁ。それは置いといてっ!!一先ず、今日来た女の子?でいいのかな?その子のみ元状態について少し話してもらうよ。」
「分かりましたが、後で上に先輩がセクハラとモラハラしたことは言いますんで。」
中野は冷や汗をかきながらも無情に霧は話を淡々と話し始めていった。
何故、ここまで伸び始めているのかが謎ですが連載はちびちびと書いては投げ書いては投げを繰り返すつもりなんでよろしく~。