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10話:かなめ、梓を縛りたいらしい。

よしっ。

「兄さん。正座。」

「は??」

かなめの突然切れ散らかした声色に梓は頭を掻きながら困惑した表情を見せている。それもそうだ。朝起きて開幕一言目がそれなのだから。

「取り敢えず兄さんは私の言うことを聞くの。」

「いやいや、聞く義理が微塵も無いのよ。一体俺が何したっていうんだよ?」

「取り敢えず、座って兄さん。」

「・・・はい。」

かなめの圧のかかった言葉に屈して梓は正座まではいかないが椅子に座ることにした。


「兄さん………一昨日、紗月と買い物に行ったでしょ。」

「えっ?行ったよ。服見繕ってもらった。」

「へぇ~。私の相談なしで?」

「まぁ、そりゃあ。つか、する必要あるのか?あくまで俺個人の話なわけじゃん。妹のお前に報告する義務がどこにあるんだ?」

かなめは突然、梓が紗月と一緒に買い物に行ったことに対して言及を始めていた。その時のかなめの目は光を若干失っていた。

「………兄さん?」

「っ!?は、ハイ!!」

「目?つぶってくれる?」

「・・・は?」

「さっさと瞑って?」

梓はかなめに言われるがままに目をつぶることにしたのだった。

「フフッ………これで。ずっと一緒だよ?」

怪しげなかなめの笑みと共に梓の視界と両腕は完全に自由を失った。


「うん、兄さん。目開けていいよ。」

「んっ・・・あぁ、それでかなめ。ここ・・・どこ?」

「えっ?私の部屋だよ。兄さん。」

「へぇ~そうなのか。それじゃ、お暇して…ん?ジャラ??」

金属がこすれた音が梓の手首から鳴り響いた。

「つか、これは・・・」

「うん、手錠だよ。兄さん。」

「うん、分かるよ?いや、何で俺は手錠をしてるのかな?かなめさんや?」

かなめは梓の言葉は耳に届かず、ただじたばたと今にも暴れそうに動く梓を見て頬をとろけさせながら幸悦してほのかに萌えた瞳を揺らしていた。

「ちょっ!?かなめ??」

「ねぇ、兄さん。兄さんは私のことどう思ってるの?」

「は?妹だけど。」

「………私のことは女の子としか見れないの?」

「はぁ!?」

いきなり爆弾を投下したかなめに口を閉じることが梓にはできなかった。


 かなめに梓が縛られながら早30分、梓も疲れてきたのかかなめのベットの上でへたりと女の子座りをして息を切らしていた。

「兄さん。私は………兄さんのことが好きだよ。元々は男の子としていまは、女の子として・・・。」

「っ!?か、かなめ?」

「ねぇ、兄さん。私に捧げてくれない?」

かなめはそう言いながら梓へ手を梓の胸へ目掛けて縋り始めていく。

「ちょっ!か、かなめ………」

「兄さん。頂戴?」

首を横にかしげるとともにかなめは梓の服に手を当てた。その時だった。

「ちょっと待ったぁ!!梓くんは渡さないわよ!!竹中かなめさん!!」

「チッ…」

目の前には何故か生徒会長であるわためが梓の視界には映った。



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