表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/22

電話の前の日めくりカレンダー!

直哉(なおや)君につかまって歩いてみたが思ったよりも足取りが重かった。

縁側沿いの廊下を歩き居間へ向かう。


そこで裕子(ゆうこ)ちゃんと由紀子(ゆきこ)ちゃんがTVを観ている。

流れているのは若い西城秀樹が足を上げながらダンスして歌って..


それよりもこのTV!!


何かで見たことある.. そう家具調テレビというやつだ。

家にある液晶テレビとは違って大きい。

わたしの部屋のタンスと同じくらいの大きさだろうか。


そ、それにここは、間違いない!

改築前の叔母さんの家だ。

だから知ってる。


トイレはそこの玄関へ続く廊下の奥にある木の扉だ。

もちろん汲み取り式のトイレだ。

扉は引き戸なのだが引っかかってなかなか開かないんだ。

小さい頃、間に合わず漏らしてしまったことがある。


居間にある大きなテーブル。

テーブルの上には必ずハエたたきが置いてあり、頭上にはハエトリガミがぶら下がっている。

昔、叔父さんに抱きかかえられた時、髪の毛が絡まって泣いたこともあった。


そうだ、お風呂はそこの扉を開けたところだ。

脱衣所の奥に、もうひとつ扉があるんだ。

そこは表のにわとり小屋に続く扉で、小さいころ寄りかかったら扉が開いてしまい、外に転がり落ちたことがあった。

その時のケガがこの生え際にある傷だ。


ここは絶対に叔母さんの家だ....



「どうした? また具合悪くなった? 」


立ち尽くすわたしに直哉君が声をかける。


佐野..直哉、望月裕子.... だが由紀子は聞いたことがない。

ここは何十年も前の世界か?


これは夢?


そうだ。電話の前、あそこに日めくりカレンダーがあったんだ。


わたしは廊下にある切り株のような電話台まで足を速めた。

昔の電話だ..


目線を上げるのが怖かった。


『昭和50年8月4日』


昭和.... 50年..


「大丈夫か? 家の電話番号でも思い出したの? 」


「ねぇ、直哉君、昭和50年って西暦何年かな? 」

「西暦? 1975年だよ。ほら、カレンダーにも書いてあるだろ? 」


見ると昭和50年の下に1975年と書いてあった。

2022―1975=47年前!!


47年前..


「ねぇ、おかあさ.. 典子ちゃんは? 」

「あれ? 典子ちゃん知ってるの?」


典子ちゃんとはわたしの母の名前だ。


「おーい、裕子! 典子ちゃんとおばさんは? 」

「病院に行ってる。ノリちゃん、熱、出したから」


やっぱり.. お母さんも存在している。


「直哉君。弟さんいるよね? 」

「なんで弟がいること知ってるの? 弟の知り合いか?? 」


そうか、やっぱり.. 弟は和樹おじいさんの事だ。

まちがいない..


じゃあ.... どうしたらいいの? ..この先、わたし

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ