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女神さまとスライムちゃん?  作者: リーモー
とある辺境の土地
6/15

味覚ある体

太陽昇る昼空の下、とある結界の中には、スライムを生み出す音が鳴り続いていました。


(ポンポンポンポンポンポン…)


(ポンポンポンポンポンポンポンポンポン…)


集中してとにかく作るライム、それを見ながら昼食を取る女神さま。テーブルの上にはフルーツサンドと紅茶が置いてあり、無我夢中に食べている。


(パクッ)


(モグモグモグモグ…)


女神「これ、最高…」


至福の時間に浸っている、それを横目に作り続ける。


(ポンポンポンポンポンポン…)


しかし、ただ無心に作っている訳ではなかった。作りながらもライムは、記憶の徘徊を行っているのである。


 あれ?今何匹目だったっけ


女神「今ので4649匹目よ~」


しっかりと、数えていた女神さまに少し驚く。


 あ、ありがとうございます。数えてくれてたんですね


すると、女神さまは微笑みながらテーブルの上を片付け始める。そして誇らしげに言う


女神「ふふ、他にやることも無いから、今日は数えてみました。」


(どやぁ)


 気まぐれで数えてたのかーー


そんなこんなで、作り続けるのであった。そして終わりが見える頃、女神さまは、鼻唄を交えながらおやつの準備に取りかかる。


女神「ふんふふ~ん、もうすぐ終わる頃だからお茶菓子の準備しなくちゃ。今日は何かしら~」


 あと、50匹。ラストスパートじゃー


(ポンポンポンポンポンポン…ポンッ)


 終わったー!女神さま、6000匹終了しました。


終わりを告げ、女神さまの方へと向かっていく。


(ぴょんぴょん)


女神「ライムちゃん、お疲れさま~」


クッキーを食べながら労う女神さま。そしてライムはテーブルの上へ。


 ありがとうございます。さすがに4時間ぶっ続けは少し疲れますね。精神的に…


女神「疲れた時には甘い物がいいから、おひとつどうぞ。はい、あ~ん」


クッキーをひとつ取り、ライムに食べさせようとする


 女神さま、俺に口無いです。何回目だろうこのやり取り…


手に取ったクッキーは女神さまの口の中へと消えていく。味わいながら女神さまは少し考え込む。


(モグモグ)


ライムを見つめる女神さま。


 あの、どうかしましたか?


女神「ライムちゃんは、人の姿になってみたい?」


 へ?


いきなりの質問に困惑するライム


女神「人の姿になれば、喋る事も美味しいものを食べる事もできるわよ~」


 えっ、人になれるって事ですか?


女神「うん、変身スキルを使う事で可能よ~。ただ、最初が肝心だから気を付けないといけないんだけど」


 最初が肝心…ですか


すると説明を始める


女神「まず変身スキルは変化スキルと違って、最初になった姿に固定されるから、変身スキルを使う=固定された姿になるの。ただその代わり、変身してしまえば魔素消費は無いから魔素が空にならない限りはずっと変身してられるわ」


 なるほど。最初に変な姿になってしまうと、後で後悔する訳ですね。


女神「まぁ、変化スキルを持ってれば好きな姿になれるんだけどね。ただその場合は、スキルを使い続ける事になるから魔素消費が激しいの、だから変化スキルは日常には不向きと言えるわね~」


 魔素供給のためにスライムを作ってるのに、姿を維持するために、魔素を消費してたら本末転倒だなぁ


女神「こんな感じだけど、ライムちゃんは人の姿になりたい?」


 俺は、なってみたいです。人の体ならやれる事が増えますし、それに食べる事も気になってましたから


女神「じゃあ決まりね~。ライムちゃんは、どんな姿になりたい?」


 え、急に言われると悩みますね…


急な問いに悩みを膨らませる。


 ん~、どうしよう。一度決めてしまうと、もう変えられないのだから重大すぎる…


するとライムは、スライムの記憶を徘徊し始める


 この人をベースに…でもなぁ。強そうなこの人もいいけどゴツいしなぁ、ダンディに髭なんかも…女神さまの好みってなんだろ?ん~む…


色々な人を参考にするも、決められなかったライム。しかしここで決断をする。


 女神さまに決めてもらって、いいでしょうか?


女神「あら、私が決めちゃっていいの?」


 はい、俺の姿を見るのは女神さまなのですから、女神さまの好きな姿がいいかと。


女神さまは嬉しそうに椅子から立ち上がる。


女神「私が理想とする姿を作ってみるわね、変更はできないから真面目にやるわよ~」


 今後のためにも真面目にお願いしますっ


女神「じゃあ、早速いきま~す!」


 え、早い、もうですか!


ライムに手を添え、何かを呟く。するとライムの体が白く光だし、白い煙に包まれる。


(ブワッ、シュゥゥ…)


 う、これが人の体?


煙の中から人影が現れる。


 スライムと違って色々感覚が…そうだ声は


「あっ、あ~~。…これが、こえってやつか」

「これでやっとお話ができるわね~」

「そ、そうですね、まだ、ぎこちない、ですが」


 声もだけど、手や足も不思議な感じだ。それに目線も高くー、あれ高くはなってるけど…?


「そうだ、ライムちゃんの姿を御披露目しましょうか~

「なんだか、緊張します」


すると大きめの鏡を歪んだ空間から取り出す。


 俺は一体どんな姿に、イケメンか?おじさんだったら少し嫌だな~。でも、女神さまが決めたんだ、どんな姿でも受け入れよう


ライムは期待と不安を胸に抱きながら鏡を覗き込む、すると。


「え、こ、この姿は!?」

「うふふ、とてもライムちゃんっぽく仕上がったと思うの、どうかしら?」

「な、なんで女の子!」


鏡に映し出されていたのは、ショートカットが似合うライムイエローの髪をした小さな女の子でした。


 一人称が 俺 なのになんでー!


「め、女神さま、何で女の子なんでしょうか?」

「ん~、だってライムちゃんは、スライムを生み出すでしょう?なんだかお母さんみたいだなって」


 そうきたかー、スライム(子供)を沢山、産んでますよねー。…ならなぜ子供の姿に


「女性なのは、まぁ…いいとして、何で子供なのですか?」

「ライムちゃんは小さくて、かわいいスライムって感じだからかしら?」

「手に乗るぐらいだったのが、いきなり高身長になったらおかしいですもんね…」

「ライムちゃんっぽくて素敵よ~」


とても満足そうな顔をする女神さまを見る。そしてひと呼吸する。


 うん、俺が決めてと頼んだのだから受け入れよう、俺は、女の子だと…


「男の子がよかったかしら?」

「いえ、まぁ…俺はスライムですから性別とか関係ないですよ、どんな体でも俺は俺ですから」


 どっちになっても 子 扱いなんだ…


「それに、喋れたり、歩いたり、物を掴めたりと、便利な体が貰えただけで満足です。授けて頂きありがとうございます」


手で色んな物を触りながらお礼を言う


「お礼なんていいのよ~、一緒にご飯も食べたいし。それにずっと、思考を読みながらの会話にも疲れてたから丁度いいかなって」


 ん?思考を読むのって結構面倒くさかったのかー


「たまに、質問なのか、ただ思った感想なのかが、ちょっとだけ判断しずらいのと、常に思考を読むために意識し続けるのが少し大変だったの」

「なんか、申し訳ないです…」


 俺のために、常に意識してくれてたんだなぁ


「これからは、喋れるので思考を読まなくても大丈夫ですね」

「そうね、沢山お話して、色んな物を食べましょうね」


 そうか、食べる事ができるのか


「そしたらまずは、このクッキーを食べてみる?」

「はい、頂きます!」


手にクッキーを取り、見つめる。


(ごくり…)


 ついに、味覚をこの手にーー

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