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女神さまとスライムちゃん?  作者: リーモー
とある辺境の土地
5/15

偽りの結界

暗い暗い森の奥、明かりが灯っている場所が、ここに在り。


(パクッ、もぐもぐ)


女神「あぁ、このケーキとっても美味しいわ~」


イチゴの乗った、白いケーキを幸せそうに食べる、それを見つめて思うライム。


 ケーキが夜ご飯…というか今日の食事、全部お菓子系な気がするぞ。この食生活は、体に悪いのでは…


食べるのをピタッと止め語る。


女神「そうね~、普通の人なら病気になってるわねきっと。でも、私は食べなくても生きていけるから関係ないのよ~」


そしてまた、食べ始める。


(もぐもぐ)


 ん、食事を取る必要がない?


ケーキを美味しそうに食べる女神さまを不思議そうに見つめる。


 えーっと。そしたらなぜ食べているのでしょうか?


女神「それは美味しいからよ~」


その答えに唖然としながらもう一度確認する。


 えっと、女神さまは、食事を取らなくても生きて行けると言うことですか?


女神「そう、ライムちゃんと一緒で。食事や、睡眠、お風呂とかは、別に生きていく上では不要なの」


 俺もですかー。というか昨日、俺寝てたよな…


女神「生まれたばかりで、まだ魔素が、回復しきれていない状態だったからじゃないかしら?基本的には、食事や睡眠は、魔素を回復する手段の一つだから」


 なるほど、魔素保有量が膨大である俺や女神さまは、食べたり寝ての、魔素回復が不要、と言うことですね。


女神「魔素を消費して、体や衣類などもキレイにできるから、お風呂とか着替えも不要なの」


(カタン、)


立ち上がり一言。


女神「それじゃあ、お風呂に入ってくるわね」


風呂場へと向かう女神さまがピタッと止まる、そして振り向いて問いかける。


女神「ライムちゃんも一緒に、お風呂に入る?」


 お、俺はスライムなので、その、お風呂は入りません!


少し困惑しながら答えると、女神さまは残念そうに風呂場へと消えていく。


 今さっき、お風呂も不要と言ってたのに…

というか、俺がスライム作ってる時、確かお昼寝してたよね!


言ってる事とやってる事が、噛み合わず困惑するライム。そんな事も知らずに、優雅に入浴する女神さま。


 ん~、確かに、昨日の様な眠いと言う感じは、まったくない。魔素に余裕があるから睡眠は不要と体が判断しているのだろうか。


考えながらテーブルの上にある食事の後を見つめる。


 美味しい、か。大体のイメージは出来てるけど、実際に食べるとどんな感じなんだろう?


そんな事を悩んでいると、女神さまが風呂場から戻ってくる。


女神「あー、いいお湯でしたっと、ライムちゃんも一緒入ればよかったのに」


 いえ、その…。狭くなってもいけませんし。

それにスライムと言えど、恥ずかしい


女神「気にしなくても良いのに~」


ぽかぽかした気分で椅子に座る、そこにライムが近づき問いかける。


 そう言えば寝る必要がないのであれば、夜の時間は何をするのでしょうか?


女神「それはもちろん、寝るわよ」


 えっと…寝る必要が無いのに、寝るんですか?


顔をぐいっと近づけてもう一度言う


女神「寝るのよ?」


 えーー。


女神「食事もそうだけど、私は好きでやっているの。美味しい物を食べれば幸せだし、入浴したり寝たりすれば気持ちが良くなる、これは長生きする上では、大切な事なの」


なぜか説得力を感じられた。


 しかし、眠く無いのに寝ようとするのは大変な気もするのですが…


女神「ん~、私は、好きでやってるだけだから。ライムちゃんは、無理して寝なくてもいいんじゃないかしら?」


 特にやる事も無く、ただ起きてるだけってのもきついしなぁ


もんもんと悩み続けるライム。すると女神さまが提案する。


女神「なら、夜の間は、記憶の整理をすれば良いんじゃないかしら?」


 なるほど…確かにそれは有りですね。記憶が入ってきても、断片的に促す程度だったし、これならじっくり見れそう。


女神「解決してよかったわね~」


(カチャカチャ)


テーブルの食器を片付けた、しかしすぐに、分厚い本と何かの機材、あと先ほどの白い花を準備する。


 あれ、寝るのでは無いのですか?


(スチャ)


妙に似合う、インテリメガネをかける。


女神「この研究が終わったらすぐに寝るから、ライムちゃんは先に寝てていいわよ?」


 いえ、まぁ、寝る訳ではないのですが…。一応、おやすみなさい


女神「おやすみなさい、また明日ね~」


(ぴょんぴょん…)


ベッドのある部屋へと移動する


 しかし、あの白い花は、本当に特殊な物だったのか。

…とりあえず、記憶の整理を始めますか。


目を閉じ、集中する。そして、スライム達のこれまでの記憶を徘徊するのであった。








(チュンチュン)


気が付くと、すでに朝を迎えていた。


 ん、窓の外が明るい、朝になっていたのか。


隣のベッドを見ると、女神さまの姿は確認できなかった。


 まさか、徹夜で作業とかじゃないよね…


(ぴょんぴょん…)


部屋を移動する。すると椅子に座り、上機嫌な様子で朝食を取る女神さまを見つける。


女神「あ、おはようライムちゃん。昨日は良く眠れたかしら?」


 えーっと、おはようございます。俺は寝ていませんが…女神さまは、ちゃんと寝られたんですか?


女神「ええ、ばっちりと。寝てないわよ~」


 徹夜で作業してたんですか…。じゃあ、なんでご機嫌良いんだろう。


女神「ふふ、とても良いものが完成したの。まぁすぐに気づくと思うけど」


るんるん気分で朝食を済ませる女神さま。その時、ライムは違和感を覚える。


 なんだろう、視界に違和感が、気のせいだろうか


周りを見渡すライム、しかし違和感の正体に気が付けない。すると女神さまが立ち上がり。


女神「それじゃあ、今日も頑張ってスラちゃんを作りに行きましょう~」


 慣れて早く終われるよう、がんばろう…


(ガチャ)


扉を開けて外へ。するとライムは、ようやく違和感の正体に気づく


 なっ、なんだこれ、泉と大木の背景が真っ白に?


周りをぐるりと見渡すライム。


 家の後ろの方も…いや、これは。この辺りがドーム状に包まれるように、周りが真っ白になってる?


女神「ふふ、別に背景を描くのが、めんどくさいとかではないのよ?」


 …誰も聞いてないですが。


女神「これは、あの白い花を媒体に私の魔素を送り込み魔力と繋ぎ会わせ、そこに生まれる高濃度な時空間魔力を使い、結界奇術を使うことでさらにーーーーー」


話の情報量に追い付けず混乱するライムは、結論を急がせる


 あー、結局これは、なんなのですか?


女神「簡単言うと、特殊な結界を作り出したの」


 ふむふむ…今結界の中にいる事は分かりました。

それで、この結界はどう特殊なのでしょうか?


女神「この結界は、周りから私達を見れないようにするから、隠れるにはもってこいなのよ?」


誇らしげな顔になる女神さまを見て、ライムは思った。


 でも、こんなに大きなドーム状の物体が、森の中にあれば逆に目立つんじゃ。


女神「ふふ。そしたら、この結界の外から見てみましょうか」


(すっ)


ライムを抱き上げ、結界の外へと向かう。


白いもやを通り、結界の外へと出る。するといつもの森に囲まれていた。


(くるっ)


すぐさま家や泉のあった方向に体を向ける、すると驚く。


 あれ、白いドーム状の物もなければ、家も泉も見当たらない!というか、大木が一本身構えるだけの開けた場所になってる。


女神「これなら、遠くから見るだけじゃ絶対に気が付かないでしょう?」


 おお!確かに隠れるにはもってこい、ですね。


納得したのを確認して歩き出す。


(すぅ…)


結界の中へ戻っていく。


女神「分かったでしょ、別に背景を楽したいとか、そんなんじゃないのよ?」


 そこは誰も聞いてないかと…


ゆっくり泉の方へ歩いていく。


(てくてく)


女神「とりあえず、スラちゃんを作るとして、今日は6000匹にしましょうか?」


 う…昨日の2倍。5時間ぐらいかかるのかなぁ。

ええい、とにかくスキル発動っ!


女神さまに抱かれながらも、スライムを作り始めるライム。


(スライム生成)(スライム生成)(スライム生成)


(ポンポンポン…)


スライム作りながら泉の前に到着するとライムは女神さまから飛び降りる。


(ぴょん、すちゃ)


ライムを見て、手を振りながら


女神「それじゃあ、私はあっちに居るわね~」


テーブルと椅子のある方へ向かう。その時、作り出したばかりのスライムを一匹踏みつける。


(ぷに)


女神「あら?」


 あ、危ないっ


体勢を崩し、そのまま尻餅をつきそうに、しかしそこに別のスライムがー


(ぐちゃ、しゅわぁ…)


お尻の下敷きになり消えてしまう。


女神「ああ、ごめんなさい。潰れちゃったわ」


 別に問題は無いですよ。

それに、女神さまのお尻を守れて死んだのなら、あのスライムも本望かと。


女神「さすがに、お尻の下敷きで死ぬのは嫌なんじゃないかしら?」


 確かに嫌な死に方で……あれ?


女神「どうかしたの?」


 あれ、おかしいぞ。今のスライムの記憶が飛んできてない。


女神「今のスラちゃんの記憶が見れないってこと?」


 ですね、女神さまのお尻は、どこにも。


女神「その言い方は、ちょっぴり恥ずかしいわ~」


恥ずかしながらも少し真面目に悩む。


女神「う~ん…ちょっと試して見ましょうか、えいっ」


すると、元気に跳ね回る一匹のスライムを踏み潰す。


(ぐちゃ、しゅわぁ…)


 ちょっぴり怒ってる用に見えてしまう…


女神「怒ってないわよ~、それよりも記憶は飛んできたかしら?」


 あ、そう言われると飛んできてないですね、一体なぜでしょう?


そうすると、スライムを二匹捕まえて結界の外へと向かう。


女神「ライムちゃん、ちょっと待っててね~」


そう言うと、結界の外へと出ていく。すると、


(ピリッ)


 あ、記憶が飛んできた。結界の外で、女神さまに潰されたのか…


すると女神さまが戻ってくる、二匹持っていたスライムが一匹になっていた。


女神「記憶は飛んできたかしら?」


 はい、ちゃんと女神さまに潰される描写が。


すると、目の前で、持っていたスライムを人差し指で突き刺して消し去る。


(ぶしゅっ、しゅわぁ…)


 えぇ、なぜに


(ピリッ)


 殺して、あれ?


女神「どう、違和感があるんじゃないかしら?」


 今の記憶は、殺された時の描写が無いですね、というより結界の外に出たときの記憶しか無いです。


女神「と言うことは、この結界の中での記憶は、ライムちゃんには反映されないみたいね」


 俺としては構わないんですが、なぜそんな事に?


女神「それは、私にも分からないわ。あの白い花について知らない事が多くて…」


 未解明の現象なのですね。まぁ、特に問題って訳でもないので気にしないようにします。


女神「そうね、とりあえず今日のノルマである6000匹頑張りましょうか~」


 さて、どれだけの時間がかかる事やら…

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