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女神さまとスライムちゃん?  作者: リーモー
とある辺境の土地
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記憶巡り 忍び寄る魔の手

今日の昼には町を出発するため、ゲストハウスの前ではグレンとエルゴとサミナの3人で旅立つ準備を進めていた。


「昼までには終わらせて出発するから急げよ~」

「承知してる」

「終わらせないとミレーヌに怒られちゃうからね」

「まぁ最後にダブツさんと話があるって言ってたし、まだ時間かかるだろうな…」


3人は話ながら必要な物を袋に詰めていた。


「そう言えばアミさんを見かけないな」


サミナはにやけながら答える。


「グレンはずっとアミさんの事を気にしてたもんね」

「なっ」


グレンは顔を赤くする。


「お…お世話になったからその、お礼を言っておきたかっただけだ!」

「ふ~ん?本当にそれだけ~?」

「あ、あとナムさんにだってお礼をちゃんと言わないとな!」

「町の皆に感謝」

「うん、町の皆には色々とお世話になったから…また来れるといいな~」


少しばかり作業の手が止まる。するとナムが慌ただしくやって来る。


「はぁ、はぁ…」


ナムは息を切らして言葉に詰まる。丁度そのタイミングにサミナが質問をする。


「あ、ナムさん。アミさんを見かけないんですが、知りませんか?」

「あ、アミなら皆さんの為に…蜂蜜を取りに出てます」

「わざわざ俺達の為に…」

「蜂蜜!」

「これはもう、アミさんにお礼を言うまでは町を出られないね!」

「お前は蜂蜜が欲しいだけだろっ」


すこし落ち着いたナムが語りかける。


「そ、そんな事よりサミナさん…」

「何?」

「スライムが裏門から出て行ったのですが、サミナさんのスライムかもしれないと思いまして…」

「え?ライムちゃんならカバンの中にー」


サミナはカバンに手を当てる。するとスカスカなのに気が付く。


「わ、居ない!いつの間に!」

「やはりサミナさんのでしたか…真っ直ぐ森の方に向かってましたよ」

「あわわ、ごめん皆。私ライムちゃんを探しに行ってくる!」


サミナはすぐに裏門へと走っていく。


「1人危険、俺も付いていく」


エルゴはサミナを追いかけようとするがグレンに引き留められる。


「大丈夫さ、この近辺で魔物はほとんど見ないし。それにサミナにはあの武器もある」

「グレン…悔しそう」

「べ、別に羨ましく何て思ってないし!い、いいから準備を進めるぞ」


サミナは裏門を出てまっすぐ森へと向かう。


「はぁ、はぁ…何処に行ったのライムちゃん」


町からすこし離れた森に入り捜索を開始する。


「ライムちゃーん、何処にいるのー?」


スライムに口は無いので返事が返ってくる訳でもなくサミナの声だけが響く。

するとサミナはミレーヌの言葉を思い出す。


 そうだ、スライムは確か微量な魔素を放出してるんだった。それなら少しでも魔素が多い方に行けば…


サミナは魔素の気配を探る。


「こっち、かな…?」


森の奥へと突き進み、どんどん町から離れていく。

町を出てから約1時間が経つ頃、ついにサミナはスライムを見つけだす。


「やっと見つけた!」


サミナはスライムの元へ駆け寄る。


「もう!心配したんだからね!」


サミナがスライムを抱き上げた瞬間。


(ドガァ!ゴゴゴゴ…)


町の方から大きな音が鳴り、地響きが鳴り響く。


「な、何。今の音…」


すると町のある方から黒い煙が立ち上る。


「町で何かあったんだ、急いで戻らなきゃ!」


サミナはスライムを抱いたまま急いで町へと向かう。町に近付くにつれてどんどん音が激しくなっていく。


「何かと戦ってるんだ。皆、無事でいて…」


ようやく白い壁が見える辺りにたどり着く。


「はぁ、はぁ、はぁ…」


息を切らして壁に近付く頃には音が止んでいた。


 戦いは…終わったの?


静寂に安心と不安を覚える頃、一瞬町が光る。すると次の瞬間。


(カッ。ドゴォォン!)


急に町が爆発に飲み込まれる。するとサミナは爆風で吹き飛ばされ、木に背中から叩きつけられる。


(バキィ)


「かはっ」


叩きつけられた衝撃でスライムを離してしまい、そのままスライムだけ後方へと吹き飛ばされてしまう。


(ドサッ)


サミナは叩きつけられた木の下に倒れこむ。


 う、一体何が…


ボヤける景色がハッキリと見える頃、サミナは絶望に飲み込まれる。


「な…なに、これ」


至るところが燃えて黒い煙が立ち上ぼり、吹き飛んだ町の残骸が散らばっていた。


「だ、誰か居ないの…」


叩きつけられた痛みを我慢しながら町があった場所に向かう。煙のせいで視界が悪い中、グレン剣を見つけその場にへたりこむ。


「そんな…グレンの剣が折れてる…」


見つけた剣の刀身は砕け散っていた。


(ザッザッ)


すると足音がサミナに近づいてくる。


「誰!」


黒い煙の中から現れたのは、形は人間だが2メートルほどの身長があり、赤い瞳で角や牙が生えている魔族であった。


「魔族…お前がこの町をやったのか!」


サミナは怒りに手を震わせる。


「まだ生き残りがいたのか…お前も奴らと同じで私に歯向かうのか?」

「ぐっ」


サミナは魔族の気迫に押されてしまう。しかしグレンの剣を見て思い直す。


 私がやらなくちゃ… 


(カチャ…)


サミナは腰に装備していた短刀を握り、力を込める。


「…無謀にも立ち向かう気か?」

「そうだ!私だって勇者パーティーの1人なんだ!ヒーラーだからって舐めないで!」


握り締めた短刀の刀身が強く光、鋭く伸びていた。


「はぁ…何でこうも楯突く奴が多いのか…」


魔族は独り言を呟く。


「ん?そうか、これを外すのを忘れていたな」


魔族が耳元をいじりだす頃、サミナは刀身が伸びた短刀を両手で握り走り込む。


「うわぁぁー!お前は私が仕留める!」


サミナが短刀に力を込め魔族に向かう中、それを気にもとめず耳に付けていたピアスを外しだす。


(カチャッ、ズワァァァァー!!)


ピアスを外した瞬間、膨大な魔力が暴れ出る。その膨大な魔素の量を察したサミナはピタリとその場に立ち止まる。


「あは、あははは…何よ、この…化け物は…」


(カチャン…)


涙目にサミナは短刀を地面に落とし、その場に膝をつく。


「愚かな者よ、魔王である私に勝てる訳ないだろう」


サミナは目を見開き震える。


 魔王がなんでこんな所に…私も殺される…


すると魔王がサミナに近づいて行く。


「お前はヒーラーと言っていたな?利用価値があるから殺しはしない。が、過酷な環境で働いて貰うぞ」

「い、嫌だ、来ないで!」


(ザッザッ…)


魔王がサミナに歩み寄るその時、一匹のスライムが魔王の足元に飛び出す。


(ぴょん)


「ライムちゃん…」


(グシャ)











ライムは目を開ける。


 な、なんだ今の…って言うかなんつータイミングで潰されてんだぁー!

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