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女神さまとスライムちゃん?  作者: リーモー
とある辺境の土地
14/15

記憶巡り 小さな切り札

あれからサミナ達が町に滞在して2週間が経つ。そして今日もミレーヌは魔科学の研究を手伝い、それ以外は町の外で魔物退治をやっていた。


「ふぅ、暗くなって来たし今日はこれぐらいにしとくか」

「うんうん、早く帰ってご飯にしようよ」

「蜂蜜、出たら嬉しい」

「あ、私も蜂蜜食べたい!今日は出るかな~?」

「本当にお前達は好きだなぁ…まぁ確かに美味いけど」


どうやら蜂蜜が好評らしい。


「しかしほとんどが魔物だな。こんだけ倒しても食料として持ち帰る量がこれっぽっちじゃ割には合わないな」

「今日は手に入っただけましだよ…この前なんて収穫0だったから、ミレーヌにサボった扱いされちゃったし」

「あれは酷かったよな~、俺達も頑張ってるのによ」

「ミレーヌ、もっと大変」

「…そうだね。私達も役に立てる様に頑張ろう」


手に入れた食料等を持って町に戻る事に。そして町の壁にたどり着く。


「それにしても、この壁が魔科学だったなんてびっくりしたよね」

「まさか触れた者の魔素を奪う壁だなんて思いもしないよな。しかも奪った魔素は研究所に貯まってるらしいし、そりゃあ魔物も町に近づかない訳だ」

「初めて見た時、ミレーヌ不思議な気配すると言っていた」

「そうだったね…ミレーヌは本当にスゴいよね」


グレンをチラ見する。


「お、俺だってやる時はやるぞ!」

「ふ~ん。じゃあ早く魔王を倒せるぐらい強くなってね」

「おう、見てろよ。必ず倒してやるからな!」

「うん、先にミレーヌが倒しちゃうかもだけど」

「おい!」

「…ふっ」

「エルゴまで…くそう今に見てろ、いつか俺が魔王を倒してやる!」


話をしながら町に戻り、荷物などを渡してからゲストハウスに入って行く。食堂にはすでに夜ご飯の準備がされていた。


「無事帰還しました。わぁ、今日も美味しそう」

「お帰りなさい。ご飯の準備は出来てますから食べて下さい」


食堂に入ると、いつもご飯を作ってくれるアミが厨房に居た。


「いつもありがとうございます」

「いえ、こちらこそ助かってますので…気にせずどんどん食べて下さいね」

「わーい、もうお腹ペコペコだよ~」


そそくさと席に座るサミナ。


「はぁ…少しはアミさんを見習ったらどうだなんだ?」

「え?私?」

「お前以外に誰がいるんだよ…そんなんじゃ、お嫁に貰ってくれる人なんて居ないんじゃないかぁ?」

「いいもん。私にはライムちゃんがいるし~」

「お前それ人ですら無いじゃないか…」

「ふふ、サミナさんはスライムさんと仲がいいんですね」


サミナはカバンからスライムを取り出して皆に見せつける。


「うん、今日も一緒にお風呂に入って一緒に寝るよ」

「お風呂にスライム入れるなよ…」

「そう言えばミレーヌはまだ作業中なの?」

「そうみたいですね、後で夜食など持って行く予定です」

「研究大変」

「そっか、一緒に食べれないのは残念…」

「とりあえず腹も減ったし食べるか~」

「うん」

「いただきます!」


(モグモグ…)


準備されていた分を平らげる頃


「そろそろ準備しますね」

「え、もしかしてデザートがあるの?」

「デザートとは言えませんが、蜂蜜とパンを持ってきますね」


(ガタッ)


「蜂蜜…パン」

「エルゴの目が豹変してやがる…」


するとアミは小瓶に入った蜂蜜と小さなパンを持ってくる。


「お待たせしました、今日の蜂蜜は取れたてなので美味しいですよ~」


すぐさまエルゴとサミナが我先と奪い合う。それを横目にグレンが質問する。


「取れたてって事は、今日は森の中に入っていたんですか?」

「はい、ちょっと遠かったですけど何とか手に入りました」

「魔物に襲われたりとかは無かったんですか?」

「あ、私は隠密スキルが有るので、そこら辺は大丈夫です。ちなみに隠密スキルを使えば蜂に攻撃されずに蜂蜜を取れるんですよ?」

「あはは、アミさんはすごいですね…」

「いえ、そんな事は…それよりもいいんですか?無くなりそうですよ」

「へっ」


グレンが見る頃にはパンはすでに無く、さらにハチミツもサミナが舐めて無くなる寸前だった。


「ちょっ、まだ俺食べて…」


(パクッ)


最後の一口を食べてしまう。


「あー!美味しかったー!鮮度が良いとこんなに違うんだね~」

「ご馳走さま、旨かった」

「マジかよ…」


アミがグレンの肩に手を置く。


(ポン)


「また、取って来ますので…」


こうして食事が終わる。そしてサミナは立ち上がる。


「それじゃあ、私はお風呂に入ってから休むね~」

「おぅ、おやすみ」

「おやすみ」

「それじゃあまた明日ね」


こうしてサミナはお風呂に入るのであった。


「ふぅ、それにしてもここのお風呂は大きいなぁ…」


5人ほど入れそうなお風呂をサミナは貸切状態で満喫していた。


「これよりも、さらに大きなお風呂がどこかの街に在るらしいから行ってみたいな…」


サミナは力の無い声で独り言を呟くのであった。


(ザバッ)


「よし、体も暖まったし上がろうっと」


お風呂から上がったサミナは脱衣所へと向かう。


(ガラ)


「あら、誰かと思えばサミナだったのね」


ドアを開けるとミレーヌが衣服を脱いでいた。


「あれ、今日の研究は終わりなの?」

「他の皆はまだやるみたいだけど、私は終わりかな」

「そっか、お疲れ様!ゆっくりお風呂に入って疲れを取ってね」

「ええ、そうさせて貰うわ。あ、そうだ。後で話があるからまだ寝ないでよ?」


サミナは服を着ながら答える。


「うん、わかった。じゃあ部屋で待ってるね~」

「相変わらず着るの早いわね…」


そう言いながらミレーヌは風呂場へと足を運ぶのであった。


「キャーーーー!」


風呂場からミレーヌの叫び声が聞こえる。それを聞いたサミナは急いでミレーヌの元へ向かう。


(ガラッ)


「ミレーヌ大丈夫!?何があったの!」


するとサミナ目掛けてスライムが飛んでくる。


(べちっ)


スライムはサミナの頭にぶつかる。そしてサミナはそのままスライムを受け止める。


「何でお風呂にスライムがいるのよ!」

「いてて…あ、ライムちゃんの事すっかり忘れてた」

「一緒に入るのはいいけどしっかり管理してよね!」

「えへへ、ごめんなさい。あ、なんならミレーヌもライムちゃんと一緒に入る?」

「入らないわよ!」

「そっか~。じゃあ私は部屋で待ってるね~」


サミナはスライムを連れて部屋に戻っていく。

それから1時間後。


(コンコン)


「サミナ、入るわよ」

「どうぞ~」


(ガチャ)


ミレーヌが部屋に荷物を持って入ってくる。


「それで話ってな~に?」


サミナはベッドの上でゴロゴロしたまま質問する。するとミレーヌは荷物を机に置いてから椅子に座る。


「そうね、まずはグレン達にはもう話したんだけど、研究も一段落着きそうだから、近い内にこの町を出る事になるわ」

「そっか、この町を出るんだね」

「ずっと居る訳にもいかないから。おそらく1週間以内には旅立つと思うから準備をしておいて」

「うん、少しずつ準備しておくよ」


するとミレーヌが部屋を跳ね回るスライムを抱き上げる。


「それから研究の結果、スライムは微量な魔素を放出してる事が分かったわよ」

「やっぱり!私が言ってた事は合ってたんだね」

「まぁ、そうなるわね…」

「んふふ、明日グレンに自慢しちゃおう」


サミナはスライムを見ながらニヤニヤしていた。


「あと最後に、渡しておく物があるわ」

「え、何々?蜂蜜?」


ミレーヌは箱の中から一本の短刀を取り出す。


「この短刀はサミナにとっての…いえ私達の切り札になる物よ」

「え?この短刀が?」

「実はこの短刀、魔科学では失敗作なんだけどー」

「え、失敗作…ガラクタなの?」

「魔科学としては!ね。でもサミナにとっては強力な武器になるはずよ」


サミナは短刀を掴み取り見つめる。


「…これが切り札?」

「とりあえずその短刀に魔力を注ぎ込んでみて」

「ふむー」


短刀をぐっと握りしめる。すると短刀の刃の部分が白く光出す。


「わわ、何か光だした!」

「そのままもっと魔力を注ぎ込んでみて」


すると刃は強い光を放ちながら伸びていく。


「すごい…めちゃくちゃ強い力を感じる」

「おそらく、私達の中でも一番威力が高い物になってるはずよ」

「でも、それならグレンが使った方がいいんじゃないかな?」

「これは魔素保有量が一番多いサミナだからこその強さなの。この短刀は魔力を注ぎ込む分だけ威力が増すの。だから消費する魔素が半端ないから、きっとグレンやエルゴには使いこなせないわね」

「だから私の切り札なのか」

「もし魔科学として完成品だったのなら、大気中の魔素を消費して使えるから使用者は誰でもいいし、威力だって遥かに上を行ってたでしょうね」

「魔科学ってすごいんだね…とりあえずこれは失敗作だけどガラクタでは無い事は良く分かったよ」

「酷い言われようね…」


サミナは光る短刀を掲げる。


「これがあれば私も戦える…ありがとうミレーヌ!」

「あまり使わない事を祈るわ」

「私としては早く使ってみたいな…」

「でもまぁ、もしもの時は頼むわよ」

「うん、任せて!とりあえず明日グレンに自慢しちゃお」

「ほどほどにしときなさい…」

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