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女神さまとスライムちゃん?  作者: リーモー
とある辺境の土地
12/15

記憶巡り サミナとスライム

とある森の奥、そこには4人のパーティーが迷っていました。


「はぁ、この森の出口はどこなんだ…」


大きな剣を背中に背負った男性が呟く。すると三角帽子の杖を持った女性が答える。


「グレン、そろそろ暗くなる頃だから、野営の準備をした方がいいんじゃない?」

「ミレーヌの言う通り、それがいいと思う」


斧を持った背の高い男性は女性に賛同する。


「歩き疲れちゃったから、今日はもう休んだ方がいいと私も思うな~」


十字マークの帽子を被った少し小柄の女性が説得する。


「わかったわかった、今日はここで野営しよう」

「それじゃあ決まりね、エルゴとサミナは薪集めね」

「わかった、行ってくる」

「えー、私も薪集めなの~」

「じゃあ、あんたが料理する?」

「このサミナ、命に代えても薪を集めてきます!」

「それでよろしい」


どうやら剣を背負ってるのがグレン、斧を持っているのがエルゴ、三角帽子がミレーヌ、十字マークの帽子がサミナである。


話をしながら薪を拾うエルゴとサミナ。


「ここってスライムあまり見かけないね」

「他の魔物に倒されてるのかもしれない、気を付けないとそのカバンに入れているスライムも狙われるかもしれない」


サミナが肩から下げているカバンの中からスライムが1匹顔を覗かせている。


「えへへ、大丈夫だよ~」


そのスライムを撫でながら自信に道溢れた顔で答える。


「ライムちゃんは私が守るから!」


(どやぁ)


「スライムに名前を付けるなんて世界中探してもサミナぐらいしか居ないんじゃないか?」

「そ、そんなことないよ。名前付けて一緒に暮らしてる人なんて沢山居るよ」

「……」

「もぅ、そんな目で見ないでよっ」

「薪を集めて戻ろう」

「そうだね…お腹すいたし」


薪を拾い終わるとグレンとミレーヌの所へ戻る。するとすでに食事の準備が出来ていた。


「今、戻った」

「遅かったな、もう準備できてるぞ」

「わぁ、美味しそう、さすがグレン料理長だね」

「そうね、料理人になってお店を開いたらいいんじゃない?」


グレンは立ち上がる。


「んな、俺は勇者だぞ、そんな事やってる場合じゃない。それに魔王軍の幹部を倒した俺が店なんて出したらすぐにでも総攻撃食らうだろ!そもそも、俺達は魔王軍から人々を…」


グレンが一人で語る中、3人はすでに食べ始めていた。


「あ、これ美味しい~」

「美味しいわね」

「うまい…」


(モグモグ)


「話を振って置いてスルーするなーーー」


馬鹿馬鹿しくなったのか、静かに座り食べ始めるグレン。それを横目にミレーヌが話し出す。


「さてと、冗談に本気で食い付く奴は放っておいて」

「おいっ!」

「そのスライムはいつまで連れていくつもりなの?」

「え、ライムちゃんの事?」


みんながスライムに注目する。


「大体、スライムと言ったら見てないところで食べ物を盗むで有名じゃないの、そんなの連れてたら食料が減るかもしれないのよ」

「大丈夫だよ~」


サミナは笑顔で答える。


「ライムちゃんはそんな事しないよ~。それにスライムが、食べ物を食べる所を見た人はいないんだよ?」

「言われてみればスライムが何か食べてる所を見た事ないな」

「確かに…無い」

「そりゃあ私も見た事無いけど…でも、どの街でも言われている事じゃない」


するとサミナは不思議そうに質問をする。


「でもスライムには口が無いんだよ?どうやって食べるのかな」


その質問に答えられる者はいなかった。


「まぁ、良いじゃないか食べ物を盗まれた訳でもないし。盗まれたらその時にどうするか決めれば良いんじゃないか?」

「グレンがそう言うなら…私は構わないけど」


するとサミナは満面の笑みを溢す。


「グレン、ありがとう!これはもう同行許可が降りたってことだよね。このためにスライム用のカバンを買っておいて良かった~」

「んなっ」

「あのカバンって、スライム用だったのね…」

「新しい仲間、増えた」

「これはあれだぞ、様子を見てだな…とにかく何かあったらすぐに捨てさせるからな!」

「うん、わかってるよ!これからよろしくねライムちゃん」


サミナはスライムを撫でる。それを呆れた顔で見つめるグレン。


「はぁ、しっかしスライムの名前がライムとは、安直すぎると言うかサミナらしいと言うか…」

「スライムに名前を付ける人、他にいない」

「な、名前ぐらい付ける人はきっと居るよ!」

「まぁ、居たとしてもライムなんて名前を付けるのはサミナぐらいじゃないの?水色なのにライムだなんて…」


サミナは顔を少し赤くさせ、ほっぺたを膨らませていた。


「私が拾ったんだから、名前ぐらい別にいいじゃない、ふんっ」

「わかったわかった、とりあえず許可したんだから怒るなよ」

「抱かせて欲しいって言ってもぜーったい貸してあげないんだから」


(別にスライムを抱きたいとは思わない…)×2


エルゴだけは少し悲しそうな顔に見えた。それから、食事の片付けと簡易的なテント作りが終わる頃。


「とにかく食料が少なくなって来てるから、早めに人が居るところに向かわないとね」

「ああ、そうだな。朝になったらすぐに出発だ」

「俺から見張りやる、皆は休むといい」

「それじゃあエルゴ、すまないが先に休ませてもらう」

「交代の時間になったら起こしてね」

「おやすみなさい」


こうして見張りを交代しながら夜を過ごすのであった。それから何事もなく朝を迎え森を進み始める。


「何だか、枯れた木が多くなってるのは気のせいかしら?」

「いや、確かに多くなってるな」

「野生の動物、全然見ない」

「うんうん、スライムをまだ一匹も見てないよね」

「お前が一匹持ってるじゃないか…」

「この子は森に入る前に拾った子だから、この森のじゃないよ?」


(ガサガサ…)


「ん、何かしら。何かが近づいてくるわ」

「皆、警戒体制を怠るな」


サミナ以外は武器に手を宛てる。


「噂をすればスライムちゃんかも?」

「いや…敵だ」


木の陰から急に、銀色の毛並みをした狼が飛だしてきた。


(ワォーン)


「シルバーウルフか、まだ複数潜んでるかもしれない。油断するなよ」

「他の仲間が来る前に片付けるわよ」

「わわ、まさか魔物だなんて…」

「スライムも一応、魔物…」

「行くぞ!」


すぐにグレンが剣で切りにかかる、しかし軽く避けられる。


「そこ!」


ミレーヌが避けた先に向かって矢の形をした炎を数発飛ばす。


(ドゴォ)


その内の1つが命中する。当たって怯んだところにグレンがもう一度攻撃する。


(ザシュ、シュワァ…)


切り付けるとシルバーウルフは淡い光を放ちながら消えて行った。


「死体が残らないと言うことはやはり魔物か。くそ、魔王軍の追手なのか?」

「分からないけど今は、この戦闘に集中しましょ」

「皆、次がくるよ!」


それからはグレンが先頭で戦い、それを離れた位置からミレーヌが魔法で援護する。エルゴはミレーヌとサミナの護衛をやりつつ、場合によってはグレンと交代する。サミナはダメージを受けた者を回復させる。

その後、次から次へと現れるシルバーウルフを倒しながら先へと進むのであった。


「あ、エルゴ怪我してる。今治すからね」

「すまない」

「はぁ、さすがにこの数は異常なんじゃないか?」

「もし私達を探しているのなら、もっとバラけて探してるはずだし…この先に何かあるのかも」

「あそこに洞穴が見える」

「とりあえず行って見ましょう」


洞穴に到着するもその中には何も無かった。


「ただの洞穴だったな…」

「でもここなら休めそうね」

「暗くなる頃」

「今日は、もうここで休もうよ~」

「そうするか…休める時に休まないとな」


この洞穴で一夜を過ごす事に。しかし昨日と違って夜の見張りは二人でやる事となり、とりあえず最初はグレンとサミナから見張りをする事になった。


「んで、お前はいつまでスライムを抱いてるんだ?」

「え?グレンも抱きたいの?でも昨日あれだけ馬鹿にしたんだから絶対に嫌だよ」

「別に抱きたいとかじゃなくて!ここで休むと決まってからずっと抱いてるから気になっただけだ!」

「抱いてると癒されるし~。それに何だか魔素の回復が早い気がするの」

「流石に気のせいだろ…」

「ううん、きっとスライムの癒しパワーで回復しているんだよ!そうに違いないよ!」

「いや、だからそれが気のせいだって!」


するとミレーヌが怒る。


「二人とも、うるさい!」

「すみません…」×2


それを気にせず眠るエルゴだった。


「Zzz…」

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