第一章② 俺が天才魔術師のアオシ・バロック様だ!
次に来る学生もランキング上位者。
ギルド関係者はステージに集中した。
すると、突然ステージの真ん中に黙々と煙が立ち込めた。
「な、なんだ?」
「どうしたのかしら?」
学生達のステージから上がる煙に観客たちがざわめいた。
―ボンッ!!
突然小さな爆発音が鳴り響いたかと思うと、そこには青くて長い髪の毛の背の高い男子学生が立っていた。青くて長い髪の毛は地面に付きそうな程長く、背中で無造作に結ばれている。グレンとは逆に筋肉のない細い腕からは繊細な魔法が放たれ、綺麗な火花が辺りを照らす。息を飲むほど美しい光景に皆が目を奪われた。
「綺麗! あんな繊細な魔法見た事ない!」
「さっき突然出てきたのって、ワープ系の魔法……だよな?」
「しかも、煙は……どういう魔法式で起こしたんだ?」
「あいつも、ただ者じゃなさそうだな!」
鮮やかな魔法のショーに観客も大はしゃぎだ。
魔法使い特有の襟の高いローブを身に纏った男はにやりと笑って声高々に自己紹介した。
「俺が天才魔術師のアオシ・バロック様だ!」
自分を親指で指さしながら不敵な笑みを浮かべるアオシにもまた、盛大な歓声が贈られた。
「俺は既に5種類の属性魔法が使える。そして、一番得意な氷魔法は上級魔法も使いこなせる!そして……俺様が世界で一番の魔術師になる。そこんところ、よろしくな!!」
そう言うと、アオシはそれぞれの指に火・氷・風・光・岩の簡易魔法をともして見せる。それぞれの指が違う色に光ると、なかなかできない芸当に観客は再び湧き上がる。
「おおおお! なんて器用に魔法を使う奴なんだ!」
「属性って多くても三個使えればすごい方って聞くじゃない!五個って凄くない?」
「すげぇ! 今年の【ルーキー・アライバル】は楽しみだな!」
「さっきの子と言い、頼もしい限りだな!」
アオシもまた、その歓声を一身に浴びてステージを降りていくのだった。
降り際にアオシは冒険者になるための刻印を受け取る。
「俺は精神強化の刻印、メンタルをください」
「はい。これで間違いないね?」
「ああ。ありがとうございます」
アオシの手には青く輝くメンタルの刻印が握られるのだった。