新人駅員の幽霊日誌
「駅」には色々な存在が行き来していて、新人駅員はそんな存在の接客もしているという話です。
ツイッターで発表した小編の為、説明不足ではございますが、雰囲気を楽しんで頂けたら嬉しいです。
【生首さんの落とし物】
駅。多くの人や物、そして霊達が行き来する場所だ。僕は新人駅員。今日は生首さんの対応をしている。
「指輪を落としちゃって」
「遺失物を確認します」
生首さんの指輪はすぐ分った。何故なら青白い左手も一緒に付いていたからである。
感謝して去る生首さんを僕は笑顔で見送った。
【先輩駅員】
「お、落ち着いて下さい」
興奮した客に僕が困っていたら、先輩駅員が助けに来てくれた。
「もう発車の時間ですよ」
卒なく騒ぎを治めると「あの二人は江戸の頃から変わらないな」と呟く。
「私もその頃から居るし、人の事は言えないけどね」
先輩の幽霊駅員はそう言って笑った。
【特別便】
「今日は終電の後に特別便があるから、よろしくね」
先輩駅員から声を掛けられて、僕は「はい」と返事をした。
特別便とは霊界への電車で、それに乗る沢山の霊で駅はごった返す。最初は訳が分からず役に立てなかったが、今はなんとか慣れてきたので、頑張ろうと僕は気合いを入れた。
ホラーだけどのどかな日常を書いてみました。少しでも気に入って頂けたら幸いです。
御一読ありがとうございます。