“震えるもの”と少女
“震えるもの”と少女が出会い、世界に音を作り出していく童話風の話です。
※ツイッターで発表した小編を手直ししたものになります。
【旅立ち】
ある日、震えるものと少女は出会い、静寂の世界へ旅に出た。
(これは何?)
(ラッパよ)
震えるものと少女は心で会話する。
恐る恐る震えるものが触ってみると、それはブルブルとして何かが飛び出した。
(今のは何?)
(音よ。あなたがラッパを鳴らしたの)
少女は微笑んだ。
【前進】
震えるものはラッパを持って進む。
ゆっくり歩くと優しい音。
スキップすると楽しい音。
駆けると早くて激しい音がする。
(色んな音が出てくるね)
(色んな音は楽しいね)
一緒に歩く少女が音の出る度に笑うので、震えるものも嬉しくなって、いっぱい音を鳴らしながら歩いた。
【歌】
震えるものと少女が手を繋ぐと、少女の口から「ラララ」と音が出た。
スキップすると陽気なラララ。
クルクル回ると愉快なラララ
ジャンプをすると弾けるラララ。
(今までで一番素敵な音だね)
(これは歌よ)
少女と震えるものが出会った事で、静寂の世界に歌が生まれた。
おしまい
御一読ありがとうございます。