王子と勝負
「さあ、勝負です!」
今日はちゃんとスポーツできるような格好で、メイドさんに髪を2つしばりしてもらったよ。リボンがついてる!可愛い!
「お姉様!このリボン可愛いです!」
「そうね可愛いわね。」
えへへ、お姉様に撫でてもらっちゃった。いいだろーと、自慢げに王子を見たら目が笑ってないんだけど、顔は笑ってるのに。こわいよ〜
「さっさと、決着をつけようじゃないか。」
王子めっちゃガチなんですけど。あれ、私負けるんじゃねっていうくらいガチなんですけど。いや、私だってこれからの人生楽しいか、楽しくないかを賭けてるようなものだし、負けられない。絶対負けてなるものか。
「じゃあ、最初は卓球でいいよ。」
そうだよね、卓球ラケット持ってるからね、予想はしていたけど、まだ用意ができてないんだよ。
「じゃあ、ラケット用意させてください。」
わちゃもちゃと、私が急いで用意していたら
「まだ用意できないの、遅いんだけど。」
こいつは嫌味しか言えないのか、お前が順番勝手に決めたんだろ!こっちは用意ができてないんだよ!
まぁいい、昨日急いで買ってもらったラケットを使うとするか。卓球久しぶりだからできるかな…
「あっ、そうだ、審判はお姉様がやってくれるそうです。」
「は、はい!よろしくお願いします!」
お姉様昨日審判の勉強「私も何かやらなくちゃ」って言って頑張ってたからね。流石、私のお姉様って感じだよね!
「じゃあ、始めるとしますか。」
「そうだね。」
久しぶりだから、緊張する、大丈夫かな…
「えっと、じゃあ、ラリーですね。」
カコン、カコン
あれ、全然続かない。主に私のミスで…
~数時間後~
完敗しました。卓球もバトミントンも負けたよ!ボロ負けだよ!ボロ負け!
「ぐすッお姉様負けちゃいましたぁ〜」
「リナだってすごかったわよ。」
よく考えてみれば、運動なんてやってなかったし、私にできることなんて何にもなかったんだよ。絶対。
王子が勝ち誇った顔をしているよ。
「さぁ、ユマとの婚約を認めてもらおうか。」
「嫌です!!」
頬をプクーと膨らませながら、お姉様に抱きつこうとすると…
「コラッ、リナ負けたんだから文句なんか言っちゃいけません。」
「ひゃ、ひゃい…」
お姉様がしゃがんだから顔が近くに。尊い。キラキラしてる。
はっ!自我を失いかけた。
「でっ、でも絶対に認めませんからー!」
うわぁーんと言って逃げちゃったよ。
今気づいたんだけど、これって私が悪役令嬢みたいだよね。悪役令嬢だったら破滅ルートまっしぐらだね。
あれっ…やばくない私死ぬんじゃない。やだ、やだ、やだ、死刑とか絶対やだよ。でも、お姉様と離れるのはもっと嫌!何か、対策を練らねば!
でも、私は忘れていたのだ魔の誕生日という名の社交界デビューがもうすぐだということを…