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町の秘密

 倉本が自分たちを連れてきたのは例の旧校舎跡地であった。

 その中の一つの部屋、もともと図書室であっただろう場所に入ると本棚を倒し地下への通路を開いた。

 薄暗い部屋の中を歩いて進みながら倉本は手元を明かりで照らした。

 ランタンとか何も使わずだ。それこそ、魔法のように照らして見せたのだ。

「なんだよ、それ……。どういう手品だ?」

「魔法よ……。アンタもそこのエルフを召喚する際に使ったのと同じもんっすよ」

「いやいや、ありえねーだろ。魔法って空想の産物とかそんな感じじゃん。なんだって……」

「空想の産物じゃないって事っすよ。ほら、ここならば誰にもバレないっす」

 一つの扉が目の前に聳え立っていた。

 彼女はそれを気兼ねなく押し開ける。

 中は真っ暗闇に包まれていて何も見えない。

 彼女は何かの詠唱をつぶやくと辺り一帯が一瞬で明るく照らされた。

 周囲を見渡すとまるでシェルターとかに見えるがその一方で人一人が平然と暮らしていたような環境にも見える家財道具一式がそろってもいる。

 なんだか、秘密の監禁場所でも思わざる得ない。

「……さてと、どこから説明したほうがいいっすかね」

 ゆっくりと雪日をベットへと下ろしながら倉本はそう口火を切った。

 自分もまたイリューナをソファへと下ろして自分は壁際に寄りかかって立ちながら聞く姿勢を示す。

「倉本たちの全部。いいや、どうしてイリューナを狙うのかともすべてを含めて」

「わかったっすよ。そうっすね。昔々にとある馬鹿な男が一人いました。その男はこの世界の戦争を憂いて――」

「おい、馬鹿にしてるのか?」

「いいや、馬鹿にしてないっすよ」

「はぁ?」

 彼女は語り紡いでいく。

 

 

 昔にこの地球ではもう一つの強大な戦争が起きていた。

 その巨大な戦争は人口を減らし、治安維持ができなくなってきていた。

 他国からの強大な圧力でこの町も消滅を仕掛けていた。

 そんな時に一人の愚かな国の権力者たる父を持つ男が黒魔術に手を出した。

 通常魔法とか魔術というのは空想の産物とさえ思われてきたが事実それは存在していた。

 霊能者とも呼べる存在がいるように実際に冥界とか異界というのは存在する。

 そこから、一人のその男は呼び寄せたのだ異界の魔女を召喚した。

 その魔女によって町を救ってほしいという願いとその代償に男は魔女にこの世界の文明を教えた。



「なんだか、まるで俺たちみたいだ……」

「そうっすね。愚かな歴史は繰り返されるってわけっすよ」

「どういう意味だよ、それ」

「その召喚した男と魔女は後にひどい目にあったんすから」

「え」

 召喚した男と魔女の存在を知ったとある国の権力者がいたらしい。

 それが召喚者の男だった。召喚者の男はその能力を駆使し、魔法文明に近いものを生み出した。

 自らの体内遺伝子を操作することで魔法を発動できうる力をだしたのだ。それらをあらゆる機関へと情報を流し、この町を舞台に魔法の戦争が勃発してしまった。

 少年と魔女はその戦争を止めるために魔法の権力者たちと戦ったのだ。

 その権力者たちはあらゆる障害を彼らに与え、彼らの居場所は徐々に減っていった。

 彼らもまた新たな戦力を考えた。町の父に協力しない反対派の協力者と異界の協力者を得て戦いに出たのだ。のちに戦争は終結したが異界との扉を開けることは今後危険とみなし少年と魔女はいつしか離れ離れとなってしまう。

 町にも異界を管理するための秘密組織が出来上がった。

「真相はこれがすべてっす」

「町の歴史にこんな秘密があったのか……」

「まぁ、ここは当時その少年と魔女が秘密裏に過ごすために利用していた場所らしいっすね」

「それより、今話に出た秘密組織って倉本のことか?」

「これは驚いたっす。案外勘が鋭いっすね」

「馬鹿にしてるのか?」

「いやいや、してないっすよ」

「してんじゃねぇか。顔が笑ってやがるぞ」

「これは失礼したっす。まぁ、その通りで私たちは過去の歴史を隠匿し、この町に魔法文明が唯一あることを秘密裏にして異界への名残が未だにあるこの町を管理する組織『異空間観察』と呼ばれる組織っす」

「異界への名残……。まさか、俺が簡単に召喚できたのはその名残が原因で……」

「そんな名残が原因で簡単にこじ開けられてたらこの町の人口の数割が魔女や魔術師で多くなっちゃうっすよ」

「じゃあ、どうして……」

「条件は二つっす。この町には歴史において敵とされた権力者たちのせいで作られた遺伝子操作をされた子供たちが存在しているっす。その子孫が現代にはわずかにいるんすよ。消滅したと思っていたんすけど」

「じゃあ、俺は……」

「その子孫っすね。で、ウチらはそういうことがあれば秘密裏に対処を義務付けられているんす」

「それってまさか……」

「そうっす。ウチの兄が行ったやりかったっすね」

「…………俺は殺されるのか?」

「そうなるっすね」

 だから、自分が狙われていたのが分かった。

「魔法という文明は混乱を落としれる要因になるから隠さないといけないっすよ。それなのに、どこぞの馬鹿はよもや異界の扉を再び開けるとか何してくれてるんすか」

「俺だってふざけてやっただけだ。そもそも、俺だってあんなネットのサイトで出来るなんて思っちゃいなかった」

「え。なんすかその話を詳しく」

 倉本に最初の始まりから語る。

 ネットで見つけたサイトを元に召喚したことや、後にそのサイトは消滅していてなかったことなどなどを。

「誰かが召喚儀式を漏らした? そんなことできるのはウチのモノくらいしかいないはずっす」

「そもそも、その組織って巨大なのか?」

「基本的には血で構成されている民族組織みたいなものっす。今は二つの家が共同で行ってるもんすけど」

「二つの家ってことはもう一つの一族がいるのか?」

「そうっすね。……まさか、そっちの一族が絡んでるといいたいんすか?」

 その時この場所に近づく足音が響いてくる。

「隠れるっす」

 彼女が魔法を発動した。

「一時的にこれで透明化になるっす」

「いや、そうは言うけどイリューナたちはどうするんだよ!?」

「それなら、もう、この後ろに寝かせてるっすよ」

 倉本の後ろにはもう二人が寝息をたてながら身をひそめるようにして寝ていた。

 何かの魔法を使用したのだろう。

 おかげで、部屋の隅に隠れ、この部屋に入ってくるものを息をひそめて待った。

 ゆっくりと扉は開かれて一人の女教師が入ってきたのだ。

 それは我がクラス担任の弓月迦楼羅先生であった――

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