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ELEMENT2018冬号  作者: ELEMENTメンバー
テーマ創作「カウントダウン」
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カケトリ(作:霜月透子)




◇プロローグ:2010年12月31日



 2010年が暮れようとしている。

 東京都区部を離れた町に、足早に駅への道行く青年の姿があった。青年はこの町の住人ではないらしく、不安げな視線を左右に走らせている。周囲には目印になる建物もなく、しかも日没後となれば、慣れない者に住宅街の道はわかりにくい。心細さからであろうか、右肩に掛けたスポーツバッグを胸に抱いている。

 時折、追跡を気にするかのように背後に目をやる。

 通行人が増えてきた。コンビニや弁当屋の人工的な明るさが広がる。駅が近いのだろう。

 駅舎が見え始めると、ようやく背後を気にするのをやめ、青年はさらに足を早めた。ほとんど走るような速度だ。


 小さな町でも駅前に人は多い。陽気で緩慢な人の群れをぎこちなく抜けていく。普段であれば物憂げな静けさに包まれ始める頃だが、この日ばかりは今から駅を目指す人も多く、青年の姿はたちまち人波に紛れた。

 低気圧によりどんよりと寒い、大晦日の町。


 青年は苦し気に息を切らし、咳込みながらも足は止めない。

 改札を抜け、都心へ向かうホームで電車の到着時刻を確かめる。まだ少し時間がある。

 ホームにも人が溢れている。十代、二十代の若者が多いように見える。彼らの目には来る年しか見えていないのだろう、そこかしこで笑い声が上がる。青年は誰も座っていないベンチのひとつに腰を下ろすと、深く息をついた。

 まだせわしない呼吸をしている。激しく咳込むが、誰にも気づかれることはない。


 再度、電車到着時刻を確かめてから、青年は疲れ切った様子で目を閉じた。





◆2017年12月31日――正敏



 いよいよ今年もおしまいですねぇ、ほんと早いですねぇ、と陽気な声が聞こえてくる。年季の入ったラジオのボリュームを最大限に上げているのだろう、パーソナリティの声もかかる曲もひび割れて聞き取れる部分の方が少ない。

 見るからに暖かそうなコート姿の人々が、怯えに似た表情で足早に通り過ぎていく。大ボリュームでラジオをかけるなど奇異に感じるのだろう。だが、あれは迷惑行為などではなく、むしろ善意なのだ。ラジオを持たない者も聞けるようにとの配慮だ。

 そのことがわかるほどに吉岡正敏はこの生活に馴染んでいた。


 炊き出しで受け取った碗を抱えて公園の隅に腰を下ろすと、「あれ? 珍しいね」と六十代の男が碗を手にやってきた。並んで座るやいなや、碗に口をつけズズズッと音を立てて汁を吸った。


「あったけえなぁ」


 まるで温泉にでも浸かっているかのような至福の表情をする。それから再度「珍しいじゃないか」と言った。

「いつもは炊き出しに並んでも持って帰っているのに、今日はこの場で食っていくのかい?」


「はい。さすがにそばを持って一時間も歩けませんからね。おにぎりなら持ち帰りますけど」


「ま、そりゃそうだわな。そばは熱々じゃねえとな」


 男はどこか見当はずれなことを言って、勝手に納得している。後から来たのにあっという間に完食して「じゃ」と片手をあげて去っていった。

 正敏は炊き出しの年越しそばをゆっくり味わって食べる。ここの年越しそばを口にするのは最後になるかもしれない。最後にしたい。最後にできるだろうか。


 公園の時計は六時になろうとしている。この時期の夕方六時はすっかり夜の様相だ。あと六時間。その時を越えたら、またあの世界に戻ることができる。


 ――大丈夫だ。


 早まる呼吸を整えながら、自分に言い聞かせる。

 ここまできたのだから、あと六時間くらい問題ない。いつも通りに過ごせばいいだけだ。今までの七年間のように。


 俺は、あの世界に戻る――のだろうか。本当に戻りたいと思っているのだろうか。

 正敏はすでにこちらの生活の方が身に沁みついていることを実感していた。けして快適ではない。だが、あの世界――元の生活に戻るということは、加奈のもとに戻るということにほかならない。とうに加奈と結婚生活を続ける気など失せている。七年前から。

 今の暮らしから解放されるとしても、加奈のもとに戻ることはない。第一、こんなことになったのは加奈に愛想を尽かしたからだ。ひいては、加奈のせいでこんな生活を強いられていると言えなくもない。


 加奈とは同い年であるから、あの頃は三十歳。結婚してかなりの年月を重ねていた。だが、加奈はいつまでたっても独身気分が抜けずに遊んでばかりだった。初めのうちは、妻を自由に遊ばせてやれるのも男の甲斐性と、充足感に浸っていたものだ。

 不景気といわれつつも、正敏の給料は悪くなかった。夫婦二人が生活していけるのなら加奈まで働かずとも構わない、と言ったのは正敏の方だった。だから金を稼ぐ者が偉いなどとは言わない。だが、さすがに加奈の散財ぶりは目に余る。生活できないほど使うことはないが、それにしたって限度があるだろう。指摘すれば「俺の稼いだ金とか言うつもり? サイテー」と勝手な予測を立てては憤慨していた。正敏は一度たりとも「俺の稼いだ金」などと言ったことはない。

 加奈と夫婦を続けるメリットを見出せなくなっていた。





◇2010年12月31日――正敏



 加奈とは大学時代の同級生だ。講義室ではひとりだけ輝いて見えた。出会った日から気が合い、すぐに交際へと発展した。

 華やかで明るい、いい女だと思った。大きな喧嘩もなく、卒業と同時に同棲、翌年結婚。ミスキャンパスの妻。誰でも知っている大企業への就職。正敏の人生は順風満帆。勝ち組だと思っていた。思って、いたのだ。

 それなのに、加奈は普段から通い詰めているホストクラブのカウントダウンパーティーに行った。大晦日の晩に夫を家に残して。


 俺だってと思い、オーダーで仕立てた高級スーツに身を包み、夜も更けてから行きつけのバーへと向かった。バーは職場付近にあるため電車で都心まで出なければならないのは億劫だったが、行き慣れない店で飲む気にはなれなかった。

 硬派な雰囲気が気に入っているバーなのだが、大晦日のせいか、いつもとは客層が異なり、大衆居酒屋かと思うほどの騒ぎだ。マスターも困惑顔であったが、特に諫めるでもなく淡々と酒を出していた。正敏は一杯で引き揚げた。


 終日運転の電車は本数が少なかったが、みな都心へ向かう人ばかりで、年が明ける前に郊外へ向かう電車は空席が目立つ。

 自宅最寄り駅で下車する。ホームに人影はなく、ベンチで青年が一人、居眠りをしているだけだった。これから旅行にでも行くのか、傍らにスポーツバッグを置いている。

 正敏はむしゃくしゃしていた。どいつもこいつも無駄にうかれやがって。そんなストレスもあり、つい魔がさして、目の前のバッグを盗んだ。


 いたずらのつもりだった。目を覚まして慌てればいい。それくらいの軽い気持ちだった。バッグは改札口の隅にでも放っておくつもりだった。

 ところが、改札口には若者がたむろっていて、近づくことさえままならなかった。未成年らしき者もいるというのに酒臭く、中には嘔吐しているものまでいる。それを見てまた騒ぐ。駅員が出てくる。笑う。叫ぶ。

 正敏は苛立ちを募らせて、足早に改札口を抜けた。怒りが足を速くする。大股でガシガシと夜道を踏みしめ、あっという間に自宅に着いた。そこでようやくバッグを持ったままであることに気が付いた。


 しまった。まず、そう思った。

 あの青年はまだいるだろうか。もしいなくても、こっそり駅に戻せば忘れ物だと思うだろう。

 正敏は走って駅へと向かった。

 駅前まで戻って驚いた。たいそうな人だかりだ。警官がホイッスルを鳴らして、駅構内立ち入り禁止と叫んでいる。


 いったい、なにがあったというんだ?


 人垣のあちこちでシャッターが切られる。携帯電話の明かりが闇に浮き立つ中、救急隊員のヘルメットが見えた。人を運んでいるようだ。

 担架が救急車に乗せられる瞬間、ちらりと人の姿が見えた。若い男性だ、としか認識できなかったが、胃がきつく絞られた。

 目の前の人々の声が、壁を隔てているかのようにくぐもって聞こえる。


 ――マジやばーい。


   ――ねえねえ、どこ行くー?


 ――事件だったりしてー。


   ――予約してなきゃ店なんか入れないって。


 ――電車は動いてるの?


   ――大晦日っつーのに、すげー迷惑。


 野次馬が散っていく。正敏は徐々に開けていく視界をただじっと眺めていた。

 真冬だというのに、額を汗が伝った。


「あの……大丈夫ですか?」


 若い女性が心配そうに正敏の全身を眺めている。正敏はとっさにスポーツバッグを後ろ手に隠した。高級スーツに安物のスポーツバッグはそぐわない。人によっては奇異に思うだろう。焦りとは裏腹に、脳は元日の朝のようにキンと冷たく冴えていた。


「心配してくれてありがとう。こんな小さな駅に人だかりができていたから驚いてしまってね」


「ああ。ですよねー」


 笑うと目が線になった。二十代半ばだろうが、笑顔はもっと幼く見えた。人の醜い部分などまだ見たことがないに違いない。純粋で愛らしい笑顔だ。


「君はずっと見ていたの?」


「っていうか、電車に乗ろうと思ったらこの騒ぎで。なんか事件かもしれませんねー」


「……事件って?」


「わたしもよくわかんないんですけどー、誰かが言っていたんですよ。殺人事件らしいよ、って」


「殺人……」


「怖いですよねー。……じゃあ、わたしはもう行きますね」


「あ、ああ。気を付けて」


「はーい。よいお年をー」


 女性は軽い足取りで路地へと消えていった。


 あれは――あの運ばれた男はスポーツバッグの青年ではなかったか。ベンチでも担架でも、顔をはっきり見たわけではない。だが、自覚がないだけで視界には捉えていたはずだ。顔は見ているはずなのだ。そして、脳の奥深くでは繋がっている。同じ人物だと。だからこんなにも身体が凍てつくに違いない。バッグを握る拳が汗で冷たくかじかんでいく。


 とにかく去るんだ。この場にいてはいけない。


 正敏はこの場でのスポーツバッグの返却を断念し、家路を急いだ。





◇2011年1月1日――正敏



 帰宅すると既に零時を回っていた。

 とりあえずスポーツバッグを返さなければならない。なんとかこっそり返す方法がないものかと思案し、ファスナーを開く。

 帯封をした札束があった。それも一つや二つではない。

 手に取ろうとして、思いとどまる。指紋や汗などを付着させてはならない気がした。呼気からもなにか付着するのではないかとの不安に襲われ、震える手でファスナーを閉じた。


 いったい、いくらあるんだ?


 勘定することも考えたが、額を知ってしまうことが恐ろしかった。帯封一つで百万。それが複数ある。どう考えても、その辺の青年が気軽に持ち歩く額ではない。

 顔は覚えていないが、服装や雰囲気から察するに、三十路の正敏より少し若い程度だろう。二十代後半といったところか。あの青年が死んだのか――。正直、彼の生死に興味はない。重要なのは紛失物に気付かれるかどうかだ。


 ニュースに取り上げられていないかとテレビをつけるが、賑やかな正月番組しかやっておらず、すぐに電源を切った。さすがに速報で流すほどの事件ではないよな、と思い直す。それならばと、パソコンの電源を入れ、すぐさまネットで駅名と日付で検索してみるが、それらしいものは表示されなかった。


 情報がほしい。だが、どうやって入手すればいいのか見当もつかない。

 これだけの大金なのだから、バッグが消えたことはすぐにわかるだろう。

 そう、正敏がしたことは窃盗なのだ。持ち主の傍らから持ち去ったのだ。魔が差したとはいえ、窃盗は窃盗だ。犯した罪に対する罰は甘んじて受けようという思いと、ただ運が悪かっただけの事故みたいなものなのだという思いが、正敏の中でせめぎ合う。


「ああっ! ちくしょうっ!」


 すべて加奈のせいだ。あいつが……あいつのせいで……。

 こんなことで前科がついてたまるか!

 再びネットの検索エンジンを開く。窃盗、公訴時効、と入力する。


 ――七年、とあった。


 どうだ、逃げおおせるか――。


 人が一人死んでいる。そして大金が消えた。彼がなぜ殺されたのかわからないし、青年の死亡とバッグの紛失、どちらが先かはわからない。当然、警察は大金の行方も追うだろう。もう動き出しているかもしれない。


 とりあえず家を出よう。逃げるか自首するかはそれから考えればいい。

 出張に使っているキャリーバッグに簡単な着替えや洗面道具、目についた身の回りの物を入れられるだけ入れ、その上に例のスポーツバッグを乗せた。玄関を施錠するのももどかしく、正敏はせわしなく家を出た。


 新年最初の夜はまだ明けない。闇に包まれた町はひどく冷え込んでいて、まるで死んでいるみたいだった。





◆2017年12月31日――正敏



 正敏はキャリーバッグとスポーツバッグを足元に置き、川を眺めていた。手すりが思いのほか冷たく、体を預けるのを諦めた。川を渡る風は陸のそれよりも硬質だ。顔がかじかんで、まるで仮面が張り付いているように感じられる。

 大晦日の夜はどこへ行っても人がいる。正敏は人を避けてようやくこの川岸にたどり着いたのだった。


 対岸にはブルーシートを張った小屋が並んでいる。川岸の街灯がなければ闇に紛れることもできたのに、ここ数年で路上生活者の住処の周りは拓かれていく。隠れることも許されない。

 小屋に住むのは路上生活が長い者だ。それ以外の者は風よけの段ボールとわずかな荷物だけを持って移動する。昼間は公園などで時間を潰し、夜、ひと気がなくなってから寝床を整える。


 いつからか地下道やベンチには、洒落たモニュメントを装った障害物が設置されるようになった。通行したり座ったりすることはできても体を横たえることはできないつくりだ。それでも彼らは寝床を確保する。無秩序に陣取っているように見えて、彼らなりの秩序がある。小屋がない者たちも寝る場所は決まっていて、コミュニティも形成されている。

 新入りはまずそれに戸惑う。親切な者に出会えば、炊き出しの場所や時間、衣類や生活用品の配布、シャワーの無料利用についてなど一通りレクチャーを受けることもできる。そして意外と親切な者は多い。みな痛みを知っているからだろう。


 正敏はそれらの好意をやんわりとかわしてきた。コミュニティにも属していない。常に流れている。路上生活だとしてもひとところに腰を落ち着けるのは不安だった。まれに警官が巡回に来ることもあるからだ。

 逃げると決めたからにはなんとしても逃げきる。そうでなければ、それまでの日々の意味を失う。ゼロどころかマイナスだ。


 しかし、それもあとわずかだ。

 風に乗り、かすかに除夜の鐘が聞こえてくる。

 擦り切れた袖をまくって電波ソーラーの腕時計を見た。入社の際に購入したものだ。ずっと大切に使っていたのに、この生活になった途端に傷が増え、今では白くくすんで文字盤が見えにくい。それでも日に当てて充電すればきちんと動く。


 新年まであと五分。


 こうしているうちにも針は滑らかに進む。

 鐘の音が聞こえなくなった。風向きが変わったせいかもしれない。


 なんの気なしに風上に顔を向けると、一人の女が歩いてくるのが見えた。

 不用心だな、と思う。大晦日の街は、自宅以外で年越しをしようとする人で溢れている。そして、そこへ向かう人々も多く、普段なら人通りのなくなる夜間の道にも人影がある。だが、正敏はわざわざそれらを避けてここにきたのだ。つまり、ここはひと気がない。若い女がふらふらするような場所ではない。

 若いと言っていいだろう。夜目にもその立ち姿や足の運びにはつらつとした若さを感じる。みたところ、二十代後半、いや、三十を過ぎた頃だろうか。ただでさえ女性の年齢などわかりにくいのに、こんな生活を続けていたせいで更に見当がつきにくい。どうであれ、通りすがりの女の年齢など、正敏には関係のないこと。それ以上の興味は湧かない。


 怖がらせては気の毒だと思い、正敏は女から視線を外した。人っ子一人いないならまだしも、下手に薄汚れた男がいるのは怖いだろうと思ったのだ。そんな配慮をする余裕があるのも数分後の解放感を思えばこそだ。


 だが、せっかくの正敏の心配を無駄にするかのように、女が二メートルほど離れた辺りで立ち止まったのを視界の隅でとらえた。反射的に女を見る。街灯の明かりが逆光となって、顔はよく見えないが、目が合っているのは感じた。あちらからは正敏の顔がよく見えているに違いない。


 再び鐘の音が耳に届く。


 時刻を確かめたいが、女から視線を外すのは躊躇われた。

 女はスマートフォンを取り出して眺め始めた。それがどういうものなのか、ぼんやりとは知っているが、正敏はまだ手にしたことがない。七年前に持っていた携帯電話はとっくに使えなくなった。それでも捨てるのは不安で、今もキャリーバッグの底に沈んでいる。住所不定で身元を秘すためには、新しい通信機器を持つべきではないと思っているからだ。


 鐘が鳴る。


 女の手元から明かりが消えた。スマートフォンをしまったようだ。そして彼女は、口を開いた。





◆2018年1月1日――正敏



「おめでとうございます」


 見知らぬ女に挨拶をされて正敏はびくりとした。だがすぐに、暗闇のせいで相手が路上生活者だとわからないのだろうと考えた。川辺で新年を迎える訳ありの者同士、そんな親近感から声をかけてきたのだと推察した。


 だから正敏も挨拶を返す。


「明けましておめでとう」


 フッと女が笑った。


 一瞬、俺に言ったのではなかったのか? と羞恥心に襲われ、慌てて周囲に視線を走らせるが、依然ひと気はない。

 また小さな笑い声が聞こえた。


「間違っていませんよ。あなたに、声をかけました」


 女はこちらを見ていた。

 なんと返せばいいのか必死に頭を巡らせるが、一向に言葉が浮かばない。どのコミュニティにも属さない正敏にとって会話をする機会などないに等しく、対人スキルは著しく衰えているのだった。

 そんな正敏の焦りを気にする様子もなく、女は再度「おめでとうございます」と言った。それから、こう続けたのだった。


 公訴時効成立ですね――と。


「どうして、それを……」


 正敏はとっさにスポーツバッグを胸に抱えた。目が慣れてきて、女の表情が見えるようになっていた。微笑んでいる。


「どうしてでもいいじゃないですか。もう逮捕されることはないんですから――窃盗罪では」


 笑みを含んだ声で話していた女は、窃盗罪というところで急に低音になり、真顔を見せた。


「窃盗罪では、とはどういう意味だ? ほかの罪なんかない」


「ええ。真実はね。けれど、客観的事実が真実を映し出すとは限りませんよね?」


「どういう意味だ? なにが言いたい?」


 正敏は、日頃の少ない会話がいかに希薄な内容のやり取りだったかを痛感していた。久方ぶりの思考を必要とする会話を続けるうちに、徐々に頭が回り始めた。錆びついた滑車が軋みながら動き出し、摩擦で錆の塊が剥がれ落ちていく。隣り合う滑車も動き始め、次第に回転速度を増していく。多少の引っかかりはあれども、かつての動きを取り戻しつつあった。


 この女は何者だ? 金の存在だけでなく、入手先まで把握しているようだ。さらにはその日時まで。言葉少なに承知していることを伝えてきた。しかも時効ぴったりに現れた。

 考えが巡り始めた頭でも理解できない。関わらない方がいい。そう思うものの、足は動かない。女の言葉への興味が勝っていた。

 再度問う。


「今のは、どういう意味だ?」


「そんな怖い声を出さなくても話しますよ」


 目を細めた笑顔に胸の奥がざわついた。女性から笑顔を向けられることなどずっとなかったからかもしれない。


「あれから、ニュースをチェックしました?」


 あれからとは七年前の大晦日のことだろう。この女がなぜ知っているのかは後回しだ。話すというなら話してもらおう。正敏は従順に受け答えすると決めた。


「いや。テレビも新聞も見る機会などなかったからな」


「やっぱり。じゃあ、あの殺人事件がどうなったか知らないのですね」


 女は「殺人」という言葉をことさら強調した。


「殺人、だったのか……」


「ええ。発生直後、既にそういう噂がありました」


 発生直後……噂……。

 なにか思い出せそうな気がしたが、女が話し続けるせいで、思考が途切れる。


「強盗殺人らしいですよ。彼を殺した人物が大金の入ったバッグを持ち去ったって」


「違うっ! 俺は殺してなんかいない! それに、盗むつもりはなかったんだ! 困らせてやろうって思っただけで……!」


「そしたら、あんなことに?」


「そうなんだ。信じてくれ。俺は殺してなんかない! 本当だ!」


 あの場でも殺人だという噂を耳にした気がする。だが、自分が殺していない以上、窃盗と殺人に関連性があるなどと思いもしなかった。運悪く、返す前に死んだ。そう思っていた。いや、本当に運が悪いのはあの青年だろう。よりによって、同じ日に窃盗と殺人の被害者になってしまったのだから。だが、あくまでも二つは別の事件だ。一つの事件の加害者である正敏だからこそ断言できる。


 とはいえ、この女が誤解して警察に通報でもしたら大変なことになる。言葉を重ね、必死に弁解する正敏に、女は困ったような笑顔を向けた。


「ちょっと落ち着いてくださいよ。大丈夫、わたしは知っていますから」


「知って、いる……?」


「ええ。あなたはそのバッグを持ち去っただけ。そうですよね?」


「あ、ああ……」


 待てよ。この女は、どこまで知っているんだ?

 そんな疑問も、畳みかけてくる会話に紛れて埋もれる。わずかな疑念も思考も許されない。女のペースに巻き込まれ、ことごとく奪われていく気がした。

 女はことさらに悠然とした口調で続ける。


「でもそれを知っているのは、あなたとわたしだけですよ」


 あの時、電車は行ったばかりで、ホームには誰もいなかったはずだ。一人も。この女が知っているはずがない。

 もしあの場にいたとすれば、物陰に隠れていたとしか考えられない。ホームに物陰などあるだろうか。自動販売機の影か、階段の上り口か。その程度だろう。偶然そんな場所にいたというのか?


 ――関わってはいけない。


 立ち去ろうとする意志が、正敏のつま先の向きをわずかに変えた。女は素早く正敏の前に回り込み、違うんです、と手のひらを向けた。


「脅しかなにかだと思われているのなら誤解です。助けてさしあげようというお話をしに来ました。窃盗罪の公訴時効は成立したのですから、とりあえずわたしの話を聞くくらい危険はないでしょう?」


 返事もせず訝しむ正敏の表情を見て取ったのか、女は早口で語り始めた。


「仮にあなたが強盗殺人の犯人とされたら、今度は逃げきれませんよ。盗んだものが手元にありながら、殺人の方は無関係です、なんて通用すると思います? しませんよねぇ? だって、殺人と窃盗がほぼ同時刻なのは確かなのですから。殺人には関わっていないと、説明できるのですか? せっかく窃盗罪の公訴時効が成立したというのに」


「さ、殺人罪だと、公訴時効は何年……?」


 返事をせずにスマートフォンを取り出してなにやら操作し始めた女の手元を、正敏はまじまじ眺めた。

 この生活を始める前にもスマートフォンは発売されていたが、持っている者はまだ少なかった。今ではこちらの方が主流らしいということくらいは知っている。だが、こんなに間近に見たのは初めてだ。

 女は画面を隠すことなく、むしろ正敏にとって未知の近代的機器を、見せつけるように操作する。まるで小さなパソコンだな、と思う。

 女の指が画面の上を素早く滑り、警察庁のホームページから「平成23年版 犯罪被害者白書」というファイルを開いて、正敏に差し出した。見てみろということらしい。恐る恐る受け取ると、法改正の資料だった。


平成22年4月27日、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)が成立し、同日公布され、殺人罪など人を死亡させた犯罪であって死刑に当たるものについて公訴時効が廃止されるなどの改正が行われました。

https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/whitepaper/w-2011/html/zenbun/part2/s2_3_1c5.html


 殺人罪の公訴時効が廃止……。


 周囲の闇が深まった気がした。

 平成22年といえば、あの事件と同じ年だ。2010年。その年の4月に改正されているのだから、正敏も既に知っていたはずである。記憶にないのは、自分とは縁がないものだったからかもしれない。

 七年経っても殺人も窃盗も解決していないとなれば、同一犯の犯行と見られるのが自然であるように思える。殺人犯がなにも証拠を残していなかった場合、正敏の立場は非常に危うくなるだろう。


 あの場所に防犯カメラはあっただろうか?

 ホームの情景を思い浮かべてみるが、その存在はまったく記憶にない。気にしたことなどないのだから当然だ。防犯カメラ映像がない以上、消極的事実の証明は極めて困難だ。


 冤罪だけは免れたい。


 スマートフォンを女の手に返しながら、そうだ目撃者ならいるじゃないかと閃いた。とっさに表情に現れたのだろう、女は「証言ならしませんよ」とあっさり切り捨てた。


「あなたに事情があったように、わたしにも事情があって、あの時、あの場にいたらいけないんですよ。わたしはいたけどいなかった。そうでないといけないんです」


 食い下がる気力はなかった。七年もあったのだ。証言する気がわずかでもあるなら、とっくに警察に情報提供をしていただろう。それを今さら変えられるとは到底思えない。


 しかし、目撃者の証言なしに、正敏が殺人に関与していないことを証明することはできない。これから先、ずっと使えもしないこの大金と生きていかなければならないのかと思うと眩暈がする。


 七年間隠れていたのは、なにもこの金が欲しかったわけではない。これが宝くじかなにかの賞金で、正当に舞い込んできた金なら執着心もあるだろう。しかし、これは間違いなく他人の金だ。どれほどの大金であろうと欲しいとは思わない。

 いや、白状するならば、路上生活をしていて、何度かこの金に手を付けようとしたことはある。それでも触れることさえしなかったのは、犯罪者になるのが恐ろしかったからだ。

 詭弁なのは承知だ。スポーツバッグを手に取った時点で、正敏は犯罪者になったのだ。

 それでも、物欲より恐怖心の方がはるかに勝る。善人というのがおこがましいのなら、小心者といってもいい。とにかく、正敏に犯罪者の素質はない。この七年間で十分に自覚した。

 第一、捨てても見つかるだろう。自分の知らないところで発見されているかもしれないと怯えるよりは、手元に置いて見張っている方がはるかにマシだった。

 今からでも証拠を隠滅してしまいたいが、帯封付き新札ということもあり、捨てるに捨てられない。紙幣番号でわかるのではないかとの不安がある。それともそれはフィクション世界だけの話なのか。いずれにせよ、手詰まりだ。


「使えない大金なんてゴミ以下ですよね」

 女が言った。

「ゴミは捨てていけばいいんじゃないでしょうか」


「……なにを、言っているんだ? 捨てることなら何度も考えた。けど諦めたんだ。誰に拾われるともしれない危険を冒せるものか」


「わたしが拾うわ」


「君が? 拾ったって、使うのは危険だぞ」


「もう時効成立したのに?」


「だからほら、窃盗犯が殺人も――」


「あら。わたしは窃盗犯が捨てたものを拾うだけですよ。そしてその落とし主であるあなたは、紛失届など出さない。つまり、わたしが拾ったものに誰も注意を払わない。違いますか?」


 女が笑うと、目が線になった。三十過ぎだろうが、笑顔はもっと幼く見えた。こんな恐喝めいた提案をする人物にふさわしくないほどの純粋で愛らしい笑顔だ。

 ――ふいに記憶の回路が繋がった。口調が違うからまったく気付かなかった。

 そうだ。この笑顔だ。あの日、あの野次馬の中にいた女だ。


「あの……大丈夫ですか?」


 よほど疲れた顔をしていたのだろう、女は心配そうに正敏の顔を覗き込んできた。そう、あの日のように。あの時も同じように声をかけてきたのだった。

 喉を振動させないほどに細い息で、正敏は呟く。


「……まさか」


 まさかあれからずっと監視していたのか? 時効が成立するまで俺に金を保管させていたのか? 俺が逮捕されたり金を処分したりする可能性だってあったのに? いや、それでも彼女に損失があるわけではない。損失がないように、今この時まで自身は関わらずにいたのだ。


 利用された――。


 憤りと情けなさがない交ぜになり、全身が熱くなった。


「……渡すものか」


 腹の底から太い声が出た。女は一瞬、怯えた顔をしたが、すぐに口角を上げた。構わず続ける。


「お前に渡すために隠し続けてきたわけじゃない。たとえ使えなくても、お前にだけは渡すものか。そうだ、匿名で慈善団体に寄付するという手もある」


「あら。それは思いつきませんでした。立派ですね。とても殺人容疑のかかっている人とは思えません」


「だから何度言ったらわかるんだ。俺は」


「あなたこそ、何度言ったらわかるんですか? 必ずしも真実が認められるとは限らないとあなたも思っているからこそ、あの時、逃げることを選んだのでしょう? 返すつもりだったなんて言い訳は通用しないと思うから逃げたのでしょう? 当事者にとっての真実なんて、どうしたってその本人にしかわからないんですよ」


 それから、女は大きく息を吐くと、まあいいわ、と呟いた。


「そのお金が手に入らなくたって、わたしは損をするわけじゃないもの。もらえたらラッキーってくらいに思っていたけれど、やっぱりそう簡単にはいかないわね。じゃ、頑張って一生逃げ続けてね、オジサン」


 女はひらひらと手を振って軽い足取りで去っていく。


 いつしか鐘の音は聞こえなくなっていた。

 暗いだけの川から魚の跳ねる水音がした。

 女の背中が遠ざかっていく。見た目は、どこにでもいそうな、ごく普通の女だった。川べりに点々と並ぶ街灯の下を通る時だけ特別な人間に見えた。

 尖った冷気が吹き抜ける。正敏の枯れた頬を切りつけ、無数の微細な傷をつけていく。


 風に乗りサイレンの音が耳に届く。とっさに街灯の明かりの届かない闇に身を移す。キャリーバッグとスポーツバッグを掻き抱き、闇に溶けてから気づく。あれは救急車のサイレンだ。パトカーではない。


 一度は解放されたと思った生活を仕切り直すのは、七年前よりも気が重い。知っているからだ。もう知ってしまっているからだ。逃亡生活というものを。そして、一瞬、あの公訴時効成立の一瞬、解放感を味わってしまったからだ。あの一瞬がなければ、また違う気持ちだったはずなのに。


 救急車のサイレンが遠ざかる。


 二つのバッグを手に歩き出そうとし、あまりの重さに足を止める。昨日までとは明らかに異なる重さ。

 川沿いの道は真っ直ぐ伸びる。橋まで行けば駅前の繁華街だ。新年を迎えたばかりの街は人々が溢れているだろう。女はもう端まで辿り着いただろうか。


 風が吹く。魚が跳ねる。車の走行音。届くはずのない喧噪。街の明かり。家。仕事。明日。――そして、怯えない日々。


 遠くでまたサイレンが鳴っている。今度こそパトカーのサイレンだ。


 正敏は二つのバッグを握りしめて走り出した。女が去った方へと向かって。





◇2011年 某日



 ――チーン。


「わざわざありがとうございます。あの子はただのアルバイトでしたのに、社員の方にお線香を……」


「いいえ、式に参列できず失礼しました。あとから知ったものですから」


「ええ、ええ。よろしいんですよ。いつかはこうなるんじゃないかって思っていました」


「そう……なんですか? その、なにがあったのか存じ上げなくて」


「ああ。なんていいますか、重積発作というんでしたっけねぇ」


「ご病気、ですか。事件に巻き込まれたわけではないのですね? 警察の方が来られたと耳にしたものですから」


「事件? とんでもない! 確かに運ばれた病院に警察は来ましたけれど、なんですか、そういう決まりらしいですね。駅でのことでしたから。万が一の可能性がないわけじゃないから一応、ってことらしいです。手続きみたいなものだって言っていました。病院以外で亡くなるとそういうことをするんですってね」


「そうでしたか……」


「前にも一度ありまして、その時も意識不明の重体で救急搬送されたんですよ。そのころはまだ持病があるって知りませんで。あの、ICUですか? ドラマで見るような病室でね、人工呼吸器をつけて何日も意識が戻らなかったんですよ。お医者さんにも覚悟するようにみたいなことを言われましてね。もし意識が戻っても元通りは難しいかもしれないって。なんでも呼吸が止まっていたから、体内に二酸化炭素がどうのとか。わたしは難しい話はさっぱりで。とにかく大変な状態だってことはわかりました。でも、目が覚めましてね。特に脳に障害も残らなくて」


「それは幸いでしたね」


「ええ。そうなんですよ。ただそれで一ヶ月以上入院していまして。当時契約社員として働いていたんですけど、入院中に契約が切れていましてね。そんな状態だから契約更新されなくて」


「大変だったんですね」


「仕事はないのに、薬がね」


「薬ですか」


「なんでも発作治療薬と長期管理薬(コントローラー)を飲み続けなくてはいけないらしくて。ちゃんと続けないとまた大きな発作を起こして命に係わるからって。毎月、通院してお薬をもらうんです。それがすごい種類と量で。ちょっとしたスーパーの袋いっぱいって感じなんですよ。もうね、本当に薬局の袋がパンパン」


「まあ。そんなに」


「症状が落ち着いてきたら減ってくるみたいなことは言っていましたけどね。なかなか減りませんで」


「では、その量となるとお薬代も」


「ええ、すごく高いんですよ。で、仕事も契約切れでしょ? 第一まだ働ける体調じゃなかったし、あの子の場合は症状がひどいから、普段から持ち物や着るものにも制限がありましてね」


「そんなものまでもですか?」


「だそうですよ。体によくないって。健康な人ならなんでもないことなのにね。わたしもあの子を支えてあげられるほどの稼ぎはないですし、ようやく見つけたアルバイトだったんですよ。なんでもネットで割のいいアルバイトを見つけたとか」


「割のいいアルバイト……ええ、まあ、そうですね」


「あの子、どんな仕事か話してくれなかったんですよ。よくないことに手を出したんじゃないかと心配していたんですが、あなたみたいなちゃんとした方がいらっしゃる職場で安心しました。それで、うちの子はなにをしていたんでしょうか?」


「仕事、ですか? ええと、そうですね……配送、です。あの日も、お客様からの預かり物をわたしが受け取るはずだったのですが、時間になっても息子さんがいらっしゃらないので探しにいったんです。そしたら、駅で……」


「まあまあ、ご迷惑をおかけして。その、預かり物というのは大丈夫だったのでしょうか? あの子の荷物にそれらしいものはなかったのですが」


「ええ、ご心配なく。社の方ではその案件はなかったことになりましたし、その品についてはわたしが把握しておりますので」


「そうですか。いろいろご迷惑をおかけしました。お香典もこんなにいただいてしまって」


「とんでもないことです。とても素晴らしい働きぶりでした。息子さんのご冥福をお祈りいたします」





◆エピローグ:2018年1月1日



 キャリーバッグのキャスターの転がる音が改札口を抜けた。


 東の空が白み始めている。


 東京都区部を離れた町に、地面の感覚を確かめるように一歩一歩踏みしめて進む男の姿があった。男はこの町の風景に慣れていないらしく、興味深げな視線を左右に走らせている。

 周囲には目印になる建物もなく、しかも日出前であるから、慣れない者に住宅街の道はわかりにくいはずだ。しかし男は迷うことなく歩を進める。

 家々の松飾りのひとつひとつに目をやりつつ進む。人はおろか、カラスも雀もいない。しんと静まり返った路地をゴロゴロとキャリーバッグの音が響く。


 やがて、男は一軒の家の前で足を止めた。松飾りはない。表札もない。しかし、玄関先には塵一つなく、わずかに見える庭先に雑草も見当たらないため、住人はいるのかもしれない。

 冬なのに日焼けの色が残る手を伸ばすと、隣家との隙間から朝日が差し込み、男の手元を照らした。澄んだ光に、黒ずんだ爪の筋が目立つ。


 インターフォンを鳴らす。屋内でくぐもった音が響くのが聞こえる。


 男は二度目を押すでもなく、ただひたすらに立ち続ける。朝日が男の顔を照らす。雀のさえずりが聞こえる。


 男はため息をつくと、玄関に背を向けた。


 その背後で、ガチャリと解錠される音がした。




      (了)

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