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雪桃劇場〜茶番です〜  作者: 雪桃
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不思議の国のユカリ〜乙女 前編

 ユカリは木漏れ日溢れる木の下で読みかけの本と共にうたた寝をしていました。物音がしてパチリと目を開けるとなんとうさぎが二足歩行で懐中時計を持って走っていました。


「ああ急がなきゃ急がなきゃ!!」

「……まあ、二足歩行で走る兎もいるよね」


 ユカリはまた眠りに落ちようとしました。

 追いかけろぉぉぉぉ!! 話の力で起こされたユカリは渋々ながらうさぎについて行きました。


「うさぎさん待ってー」


 待ちませんよー。追いかけてくださーい。

 うさぎは地面にポッカリ空いた穴の中に吸い込まれていきました。


「え、穴に入るの?」


 お願いします。


「はーい」


 ユカリは穴の中に落ちていきました。しかし着地が得意なので怪我はしません。流石元陸上部。受け身は得意ですね。


「そういう意味じゃないけど」


 着いた先にはうさぎはおらず代わりにネズミサイズの扉とクッキーの瓶が二つありました。


「これどっちが小さくなる方なんだろう」


 デッドオアアライブ。さあどうぞ。


「死ぬか生きるかって。じゃあピンク色の方にしよっかな」


 ユカリが一口食べると忽ちユカリは大きく……大きく? なんかモデルの身長になっただけなんですけど。


「うぅ。い、いいもん。水色の方だったのね」


 今度は丸々一つを急いで食べて――ああやっぱり噎せた――ユカリはネズミと同じくらいの大きさになりました。


「よし。先に進も」


 ユカリがどれ程か走ると視界が開けてきました。ユカリは念のために引きずってきた齧りかけのクッキーを食べて元の大きさに戻ります。


「今度は森?」


 薄暗くて先の見えない程鬱蒼と木が立っています。


(あ、ここって変な芋虫とかチェシャ猫がいるところだ)


 ユカリはとりあえず森を歩きます。しかしここは迷いの森。入ったが最後、生きて帰って来れないと言われています。ユカリは早速迷いました。


「二股に道が分かれちゃってる。どうしよっかな」

「お困りかいユカリ?」


 上から声がします。そこには縞模様の尻尾と猫耳を付けて木に乗っかっている猫――猫?


「よくその体で木に収まりましたねしん」

「う、うん。ちょっとギリギリ」


 まあチェシャ猫は木の上でアリスを見届けるのが普通であるので頑張ってください。


「こほん。えーと猫さん。私出口に行きたいの。どちらへ行けばいい?」

「それなら右に進むといいよ」

「……本当に?」

「本当だよ」

「…………本当に?」

「気持ちはわかるけど早くしないと話が終わらないよ」

「わかりました」


 と言ってユカリは左に向かって歩きました。


「聞く気無かったよね」


 ですね。




「あれ、また分かれてる」


 しん猫は嘘を吐いていたようなので道は合っていましたが次は三股に分かれていました。なので今度は直感とは行けません。


「さっきは嘘を見破られたようだね」

「あ、しん猫。どの道を行けばいいですか?」

「真ん中の道を行けばいいよ」


 しん猫はジト目で見られます。ユカリの目は大きいので一際怖いです。情緒不安定だから何しでかすかわかったもんじゃありません。


(どうしようかな。こういう時は……ん?)


 今何か通り過ぎましたね。いや丸見えでしたが。


「まさ。芋虫にしてはデカすぎる」

「まず芋虫は普通に捕まえてくればいいと思うんだけどね」


 まさ芋? まさ虫? まさ芋虫は真ん中の道を走っていきます。


「あ、次は本当だったんだ。バイバイしん猫」


 ユカリはまさ芋虫を追いかけます。もう後は一直線だから追い越せばいいのに何故か一緒に行こうとしました。


「芋虫の面影無いですね」

「うん。早く行きなよ」

「いいじゃないですか結構心細いんですよこの世界で一人って」

「わかるけどさ。芋虫と一緒だよ?」

「まさは芋虫似合いますよね」

「……」


 ツッコミが来ると思ったユカリはニコニコしながら返答を待ちますがまさ芋虫は苦笑しただけです。数秒程見つめ合った後まさ芋虫が何もしないのでユカリは


(あれ? 伝わらなかったのかな?)

「まさって芋虫似合いますよね」

「ゆか、兄さんにそういうの通じないよ」


 森に住んでいたしん猫が出てきてユカリに忠告します。


「ダメなんですか?」

「あさとあやがあんまりからかって来なかったからどうしていいかわからないの」

「えー」

「二人共何の話?」

「「いやなんでも」」


 ここで詰まってても埒が明かない為、ユカリはしん猫とまさ芋虫を置いて森を抜けました。

 次にユカリが目にしたのは――。

まさかアリスがこんなに長くなるとは思わなかった

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