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雪桃劇場〜茶番です〜  作者: 雪桃
2/6

紫ずきん〜乙女

短いですねー

 ある森の中に母親と一緒に暮らす小さな紫ずきんという女の子がいました。

(え、赤ずきんって言う名前だったの?)

(さあ?)


 ある日、紫ずきんのお婆さんが風邪を引いてしまったらしいです。母親は紫ずきんにおつかいを頼みます。


「いいこと紫ずきん。このバスケットに入ったワインと果物をお婆さんの元へ届けるの。一人でできる?」

「はい。できますお母さん。でも一つ気がかりなことが」

「なあに?」

「お婆さんはお酒飲むと乱酒になると」

「さ、さあ行ってらっしゃい!」


 はぐらかされた紫ずきんは少し不機嫌になったが出発した。


「あ、そうだ。後お母さん」

「次は何?」

「なんでお母さんはリナなのに私はこんなへんてこりんな名前で」

「さっさと行きなさい!!」


 追い出された。




 一方その頃紫ずきんとリナママの話を聞いていた狼が何やら企んでいた。


「なるほど。なら先回りをしてお婆さんを食ってしまおう。その為にはまず紫ずきんが家に行くのを遅らせないと」


 家が見えなくなる頃に狼は驚かせないように紫ずきんに話しかけた。


「こんにちは紫ずきんちゃん。僕は狼だよ」

「こんにち……狼?」


 紫ずきんは首を傾げた。やはり狼だと言うのは早すぎたかと焦ると――。


「狼じゃなくてあなたどっちかっていうと獅子」

「現実はね! って違う! お婆さんの所へ御見舞に行くんでしょ? それならこの先に花畑があるからそこで花を摘むといいよ」

「柄じゃないのによく知ってますね」

「黙らっしゃい!!」


 紫ずきんは中々はっきり物を言う子だった。


「でも確かに味気ありませんね。ありがとうございます獅子さん」

「狼!」


 こうして紫ずきんはあさ獅子――あさ狼の罠にまんまとはまりあさ狼はその隙にお婆さんの家まで行った。


(ふふふ。お婆さんは寝てるからそのまま丸ごとぺろりと。あ、いやそれは無理だな、うん)


 現実主義なあさ狼である。とりあえず布団を引っぺがして喉笛に食らいつこうとした。


「うふ」

(……まあね。わかってましたよ。だってこんなお婆さんに勝てっこないもんね。うん)

「から姉やめて襲い返さないで!」

「大丈夫よ。ちゃんと台本通りにしてあげるからね。さあお着替えしましょうねこころちゃーん」

「助けて社長ぉぉぉ!」


「……くしゅん。なんか寒気が。気のせいかな?」


 リナママは暖炉の火を足しました。




 そんなこと知る由もない紫ずきんはのんびりと鼻歌を歌いながらお婆さんの家まで着いた。


「お婆さん開けますよー」


 扉を開けると薄暗い部屋にお婆さんがベッドで寝ていた。


「お婆さん体調はどうですか?」

「わ、悪い」

「なんでそんなにしゃがれた声なんですか?」

「か、風邪を引いたからよ」

「……なんでそんなにお胸が小さいのですか?」

「それはお前を食らうた……どういう意味だこらぁ!!」


 恐らく紫ずきんが口のことを言うのかと思っていたあさ狼がベッドから跳ね起きた。


「……なんで兎のパジャマ?」

「から姉……じゃなかったお婆さんが無理矢理着せやがったのよ!」


 あさ狼はモコモコ兎のうさ耳フード付きパジャマを着ていた。その姿はどう考えたって人を襲うようなものではなく、逆に襲われてしまいそうな雰囲気がある。


「お婆さぁん?」

「いらっしゃい紫ずきん。どう可愛いでしょ? 私の(ペット)♡」

「……お見舞の品はここに置いておきますね」

「え、ちょっとた、助けてよ!」

「駄目よ狼さん。悪い子にはちゃぁんとお仕置きをしてあげないとね?」

「ひっ。い、いやぁぁぁぁ!!」


 あさ狼が絶叫する中で紫ずきんはそそくさと家を飛び出して行った。




 家にて。


「お婆さんは元気そうだった?」

「変態化していました」

「え???」


 リナママは黄昏れる紫ずきんに首を傾げた。

あや「ねえ私達の出番は?」

作者「また今度ね」

あや「むぅ…」

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