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「ステータス」
そう呟くと右端にあった簡易ステータス表示がより詳細なものになる。
名前 覇紅亞
Lv 1
体力 100
魔力 1000000
攻撃(物理) 5
防御(物理) 5
攻撃(魔法) 10000
防御(魔法) 10000
素早さ 10
器用 10000
→
「相変わらず偏ってますなー」
本人的にあまり好ましくない数値らしい。それは仕方のないことだとは思う。なにせ、自分の好きなゲームのトラウマだったのだから。
そういった常識が未だに自分の足を引っ張っているなどとは思いもしていないだろう。
「この→は......なんだ?」
じーっと意識していると→が点滅し始めた。
「意識すれば操作できるのか」
→を意識するとステータスは消え、違う表示が現れた。
→
残りSP 1000P
検索
スキル
鑑定『5』 異世界言語『1』
「......ん?これでどうやって生きていけと?」
ゲーム的な要素がある世界だが、説明書があるわけじゃない。ハクアはこの表示を初めて見たので、把握できていない。
しかし前回同様、予測はできる。
「SP、ね。ステータスポイント、スキルポイント、スタミナポイント。確証はないけど、スタミナポイントはないかな」
スタミナポイントはステータスの値の一つとして考えるのが妥当であり、体力として表示するゲームも見たことのあるハクアとしては受け入れられない。
「とりあえず、検索ってなんだ?」
少なくない数のゲームをプレイしてきたハクアでも、ステータス欄に検索の2文字を見たのは初めてだ。
考えるより実際に見てみる方が早いと検索に意識を向ける。
「これ、やっぱなんか検索するやつか」
スマホやコンピューターなどで何かを入力するときにでてくる縦棒が点滅している。
「水って入力してみるか」
→
検索 水魔法 10P 『1』
氷魔法 30P 『3』
水魔法耐性 10P 『1』
氷魔法耐性 30P 『3』
…
「これはつまり、スキルを取得できる、ってことか?」
ハクアの妄想が唸りを上げる。
「俺の妄s......想像力ならいける、いけるはずだ!」
まずはゲームの中での役職で考えてみることにし、幾つか候補を挙げ、その中で自分を当てはめる。
「近距離、中距離、遠距離。理想は全部こなせることだけど、俺は格闘技とかやったことないしなー」
ぼーっと日本と変わらない青空を見上げながら考える。
「基本的には遠距離型だろうなぁ。遠距離だからって簡単じゃあないと思うけど、近距離は無理。精神的にキツい」
自分の戦闘時の場所は決まった。さて種類は、とまできたところで重要なことに気付く。
「仲間がいない」
仲間がいなければ遠距離であっても狙ってくるのは自分。一人では戦法も限られてくる。
「近中遠距離全てをこなせってことだよな?いやいやいや、戦闘初心者には辛いっす」
独り言増えたなー、と思いつつ独り言を言う。
「んー、まずは冷静に考えろ。考えろ。大丈夫。落ち着け。ふぅー。なにが必要かを考えるんだ。いや、その前にいくつスキルを取得するかだ。さっきのを見る限り『』はレア度みたいな扱いだろうと推察できる。最大レア度を知ってから決めるのも手だ」
最大レア度のヒットしそうな名前。いくつのもゲームと小説から学んだ知識を総動員する。
「創造か神、かな」
神の頂点にいる神は毎回創造神か破壊神だった。この考えにたどり着くのはいたって自然なことだ。
「創造っと」
検索 物質創造 100P 『10』
魔法創造 100P 『10』
武具創造 100P 『10』
「三つだけ、か。じゃあ次は神っと」
検索 武神 100P 『10』
魔神 100P 『10』
式神召喚 70P 『7』
神剣技 70P 『7』
…
「ほうほう」
上記四つ以外にも見てみたが、あまり良さそうなものはなかった。
「とりあえず、レア度の最大は10と仮定していいだろう。ならどうするか。できればポイントは多くて半分、最低でも300は残しておきたい。レア度10で染めるか、それとも低いのをちみちみ取っていくか。俺は10取っていく方が好きなんだよなぁ。んー、あー、うん。10にしよう。いや、10といっても俺のほしいスキルが全て10のレア度があるともかぎらないしな。とりあえず、色々と探してみるか。」
そこからハクアは自分の知識と恐怖体験から学んだことを全て絞り出し、死と隣り合わせの場で30分という長い時間、じっくり考えた。
そしてスキルを取得しようとするとそのスキルの大まかな説明が見れることもわかった。
そして選び抜かれたのは『10』のスキル7つだ。
「ステータス」
→
残りSP 300P
検索
スキル
鑑定『5』 異世界言語『1』 物質創造『10』 魔法創造『10』 武具創造『10』 武神『10』 魔神『10』 隠偽幻化『10』 完全耐性『10』
この7つだ。それぞれの説明文はこうだ。
物質創造 自分の魔力を使い、物体を創ること。イメージが確定しているほど効果が上がる。創る物によって魔力消費量が大きく変わる。創造した物を消すには創造した時の2倍の魔力を使用する。
魔法創造 自分の魔力を消費して魔法と呼ばれる現象を創る。魔法を創る時にデメリットが発生する魔法になることがある。イメージが確定しているほど効果が上がる。創る魔法により魔力消費量が大きく変わる。創ることができれば使用魔力は創った時の1%以下の魔力で使用できる。創れるのは5つまで。変更はできるが、一度創った魔法は10日間変更できない。
武具創造 自分の魔力を消費して武器や防具を創ることができる。形、効果は指定することができる。イメージが確定しているほど効果が上がる。出せる武具はコスト制になっていて、1000コストを超える武具を創ることはできない。
武神 武系戦闘時に補正がかかる。心身に関する全ての能力が上がる。全武系最上級統合スキル。武に関して右に出る者がいないと言えるほど。魔力の回復速度が速くなり、毎秒1%回復する。
魔神 魔系戦闘時に補正がかかる。魔力に関する全ての能力が上がる。全魔系最上級統合スキル。魔に関して右に出る者がいないと言えるほど。体力の回復速度が速くなり、毎秒1%回復する。
隠偽幻化 自分の指定した物を隠し、偽装したり、化けることが出来る。
隠密系、偽装系、幻術系、変化系最上級統合スキル。
完全耐性 毒などの異常状態を無効化する。魔法での異常状態、気温や気圧などの環境にも効果を発揮する。
「よし。これでいいとして、まずやることは、身を守ることだな。魔法創造発動。自動防御」
自動防御 物理、魔法攻撃を自動で防御する。ダメージを魔力として換算して無効化する。
「もう一つは、自動探索」
自動探索 自動で生物の探索をする。半径5Kmまで可能。毎分1%の魔力を使用。
「これでよし、と」
準備は整った。
腹も括った。
最善を尽くした。
「ならやることは一つしかねぇだろ」
丸まっていた体を伸ばす。そして、股間に手を伸ばす。
「やることは一つ......トイレ」