お弁当事件
中学時代の鉄板エピソードとして「お弁当事件」がある。いや、べつに事件じゃないのだが衝撃を受けたというお話。
何にショックを受けたかといえば、クラスメイト(男子)の弁当の食べ方である。なぜそれに注目したか、もちろん理由がある。
中学1年のときの担任は古風なタイプで、弁当を作ってくれた親に感謝しろ、じっくり味わって食え──てなもんで、しばらくは机を寄せたりしての会食は禁止でまるで授業のごたる真っ直ぐ前を向いての昼食だった(笑)
で、ワシの前の席に座っているO君──彼の食べ方に自然と目が行ったというわけ。
『あれ、こいつゴハンだけ食ってるぞ?』心の中でワシは呟いた。
世はバブルで、貧乏がためにオカズなしの日の丸弁当を持たされたなんて時代でもない。てことは、このO君、先にオカズだけ食べちゃったっての?
ワシには信じられなかった。オカズなしでゴハンを行くという発想がまずなかったからだ。
あ、そういうことか、とワシはすぐに納得した。これはたまたまだ。たまたまO君の親が手抜きをしてオカズのラインナップが乏しい日だったんだ、と。
これが、じつはそうじゃないと知ったときのワシの衝撃たるや(笑)
毎日手抜きだったとか、そんなオチじゃもちろんない。
やはりO君はオカズだけ先に平らげていたのである。そして、メインディッシュはこれだとばかりに、いやほとんどデザート感覚で米の飯に手を伸ばす……。
こんなことって、ある?
あれから35年近い年月が流れた今、ワシは思う。O君──ゴハンが好きやったんやな、て(笑)
ちなみに彼にとってのメインディッシュは完全な白飯ではなく、ふりかけとか鮭フレークがかかっていたと記憶している。
それなら、まあイケるか(笑)