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「火の鳥・乱世編」の感想(後編)

 それじゃ後半戦の後半戦、行ってみましょー!

 今回も手塚先生の「火の鳥・乱世編」についてガッツリ語りますので、未読でネタバレが嫌だというかたはブラウザバーック(笑)



 壇ノ浦にて平家滅亡。

 歴史的に有名な悲劇ですが、もうひとつの悲劇がこれに乗っかります。乗っかったほうはフィクションです(笑)

 前回予告したとおり、弁太の恋人でヒロイン役のおぶうは平家一門と運命をともにします。滅びる運命を、です。

 義経とともに源氏にくみした主人公・弁太は、まさに壇ノ浦にておぶうと再会します。悲劇の再会となってしまいました。

 弁太はおぶうだけは救出しようとするものの、船上のいくさにて足元がおぼつきません。そうこうしている間にヒロインおぶうは斬られてしまう。

 彼女を斬ったのは誰あろう義経でした。

 本作の義経は奔放で残忍な性質の持ち主として描かれています。大河ドラマ(2005年)のタッキーと大違い(笑)


 これには温厚な弁太もブチギレます。以降、彼は主人である義経に対し不信感というか、ほとんど憎しみを抱くようになる。

 この設定もまた手塚先生のオリジナルですかね。御曹司万歳のマツケン演じた弁慶とはまったくちがう。

 とはいえ義経の命運つきるまで、あとわずかですけどねえ。

 判官(義経)都落ちもまた歴史的な悲劇と言えましょう。このページだけで何回悲劇言うねん(笑)

 まあまあ、義経も可哀相な子ですよ。兄・頼朝に妬まれ、院(上皇)からはそっぽを向かれ、頼みの綱であった奥州藤原氏には裏切られと散々っすわ。


 さて、この都落ちをもって物語は大詰めを迎えるわけですが、さすが手塚御大はただじゃ終わらせません。まだだ、まだ終わらんよ。それはシャアのセリフね!

 じつは主人公・弁太には妻がいます。

 おぶうという恋人がありながら何と不埒な、と思うむきもあるかもしれませんが、いわゆる悲恋は先生の常套句でもあります。

 手塚作品には基本、ハッピーな女性は登場しません。ギャグ色の濃いピノコ(ex.ブラックジャック)ですら、人造人間という業を背負っています。

 おぶうを清盛に奪われた弁太は、奥州平泉でひとりの女性と出会います。彼女の名はヒノエといって、村祭りの夜に一方的に弁太を見初めてきます。

 据え膳食わぬは男の恥じゃないですけど、優柔不断な弁太はなし崩し的にヒノエをめとってしまう。

 ところが彼女はとんだ食わせ者でした。男と寝ては家財道具いっさいを盗み出すという大悪女だったのです。名前からして縁起わるいですからね(笑)


 心やさしい弁太はヒノエを役人に突き出すこともせず、家財を手切れ金代わりに持って行けと言います。

 やさしさに心打たれたヒノエは改心し、本当の妻となることを弁太に誓います。

 こうして束の間の平穏を手に入れた弁太でしたが義経の命令によって壇ノ浦まで連れ回され、挙げ句の都落ちです。

 義経ともども奥州へ落ち延びた弁太にとって、平泉の地で妻ヒノエと再会できたことはせめてもの救い(?)でした。

 はてなマークがつくのは、それが死亡フラグだったから……。


 義経および郎党を追討したのは、かつて世話してくれた奥州藤原氏。

 最後の最後になって弁太は主人・義経にブチギレます。せっかくこの平泉で妻と安寧に暮らそうと思った矢先に、また刀を執って戦えというのですから。

 まあ義経にしても命を狙われているわけで、郎党への命令は致し方ない部分もあります。

 けれど弁太は止まりません。棒切れで主人の頭をかち割らんとする勢い。

 たまらず義経は屋外へ逃れますが、そこに追っ手の矢が放たれます。判官義経、矢がプツプツと刺さりあっけなく死亡。

 進退きわまった弁太はヒノエを背負って(彼女はチビです)、矢の嵐を掻潜かいくぐろうとします。なんなら何本か刺さってます(笑)


 その後、弁太とヒノエの夫婦がどうなったかは諸説ある、というオチです。

 朽ち果てガイコツになったカットと、海を渡ろうと舟を漕ぐ画の両方が描かれています。このラスト、嫌いじゃないぜぇ(杉ちゃん風に)。

 ……ふう、長かった。とりあえず伝えたいことはみんな言いきった、ぞい。

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