『カラフル』(アニメ作品)について
今回は森絵都さん原作『カラフル』(アニメ作品)について盛大なネタバレがあります。未視聴のかたはご注意ください。
最近はアニメをよく観ています。ゆうてもDVDの旧作レンタルですが。108円サイコー!
ええ、というのも大原のライフワークであるマンガに活かすためでありんす。
実写版の映画からももちろん学べることはありますが(カメラワークなど)、やはり絵のタッチなどはアニメを観たほうが勉強になります。
てなわけで、趣味(映画鑑賞)と実益(マンガの勉強)を兼ねてアニメを観るようになったと。
ジャンルはとくに定めていません。まあ、昭和世代の大原的には『タッチ』など80年代作品についつい手が伸びがちですが、基本はこだわらずに何でも観ます。
上記の『カラフル』もそんなわけで、何の考えもなしに選びました。ちなみに原作の小説は未読ですので、あしからず。
この『カラフル』というアニメ作品が面白かったとか、そうでなかったとか、言うつもりはまったくありません。
ただ、この作品は良かれ悪かれ、やらかしちゃってます。危ない橋を渡っているのです。
あらゆるフィクション作品には好ましくない結末というものが存在します。夢オチ、楽屋オチ、ミステリであればアンフェアな解決……等々。
犯人や真相が見え見えというのも、いただけません。いま挙げたような結末を選択することが、つまり危ない橋なのです。
この橋を渡るには相当なテクニックか、または心に訴えるようなテーマがないといけません。もう、おわかりですね。偉大なる『カラフル』は最初から真相がバレバレなのです。
この作品は彷徨えるひとつの魂の物語です。便宜上タマシイ君とでも呼びましょうか。
タマシイ君には前世の記憶が一切ありません。ですが地獄(天国?)の沙汰により復活の試練を与えられます。自分が何者でどんな死に方をして憐れな霊魂となったか、それをつきとめることができれば復活させてやると。
彼はべつに復活など望んでいないのですが、物語の進行上勝手に現世へと送られてしまいます。
タマシイ君が憑依したのは一人の少年です。仮にA君と呼びましょう。
A君はさる理由から自殺を試み、死に損ねて生死を彷徨います。憑依するにはうってつけの器だったわけです。
それでまあ、タマシイ君はA君という器を借りて自分探しの道を歩みはじめるわけですが……もう、おわかりですね(笑)
ここまでの説明がなされるのに冒頭からわずか十数分です。
大原は不安になりました。おいおい、まさかタマシイ君の正体ってA君じゃねーだろうな。死線を彷徨ってまた自分の身体に戻りましたとか、そんな安易なオチじゃねーだろうな、と。
そうなんです。びっくりするけど、そうなんです。何のヒネリもありませんでした。
作者の森さんは危ない橋を選択しました。一歩まちがえれば奈落の底です。たぶん森さん的には魂の救済的な、深いテーマのほうをメインに据えていたのではないかと大原は愚考いたします。
しっかし、オレだったら怖くてこの結末は選べないわ……という今回のお話でした(笑)