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死神の驚異

「君たちを呼んだのは他でもない、最近東の森で異常が起きてる件についてだ」


 中年のギルドマスターがいう。


「もしや、最近活発に起こっている地震のことですかい?」


 三人のパーティーのリーダーがいった。


「そうだ。王国の学者達はくだんのことをただの異常気象だと考えているが私はそう思わん」


「と、いいますと?」


「つまり、人為的に起こされていると考えている」


「これだけの規模の地震が人為的となると......帝国か?」


「たぶんそうだろう」


「なんのために?」


「そこまではわからん」


「俺たちにどうしろと?」


「東の森を調査してきてくれないか?」


 リーダーは暫く悩んだあと。


「いくらだす?」


「金貨二十枚だ」


 リーダーは驚いた。


「ただの調査で、か?」


「そうだ。仕事の内容次第では増やそう」


 破格の条件だ。普通Aランクの彼らに依頼するとしても、調査だけなら金貨四枚が妥当だろう。


「わかった依頼をうけよう」


「ありがとう。いい報告を楽しみにしてる」




 実のところ、彼らの推測の大部分は間違いだった。


 森の地震は人外な彼の戦闘によるものだし。

 人為的なものではなくて、人外的なものによるただの戦闘なのだが、話はどんどん大きくなっていく。





 森の中部(危険度E~D)


 俺たちは異形の戦士とであった。


 ギルドからの依頼を受けた、俺たち、パーティは森の奥へと向かっていた。

 俺達はマイルラン(王都)ではなかなか有名なパーティで、パーティランクこそAランクだが、実力はAAランクのパーティにも負けてないといわれている。

 そのパーティのリーダーである、俺から見てもこいつには勝てる気がしない。


「死神の戦士……」


 アルベルトがつぶやいた。


「こんなところに死神の戦士がいるのも驚きだが、普通の戦士じゃねえな」


「ああ、こいつ、相当レベルたかいぞ」


 マルクがいった。


「いくつだ?」


「測定不能だ」


「……マジで?」


「マジだ」


 まずいな……。

 隠蔽スキルを持っていても、レベルの確認までは通常できるはずだ。

 つまり、レベルの確認もできないとなると、相当実力が離れているってことだ。


「どうする、バルド?」


 マルクが聞いてきた。


「さすがにこいつは俺たちの手では負えないな。退却だ」


「「了解」」


 俺達はそれぞれ、煙玉を投げて走り出した。






 ――名無しの死神SIDE――


 俺は悩んでいた。

 町へ向かう途中に三人組の冒険者を見かけたので、話かけようと近づいたら、いきなり煙幕を張られて逃げられたからだ。

 やはり、人型の魔物でも、魔物は魔物みたいだ。

 

 人化が出来ればいいのだが、あいにくそんなものは知らない。


 う~ん、とりあえず、いくだけ行ってみるか。


 俺は気楽に考えて町へ向かった。





 

 ――ギルドSIDE――


「ん? どうしたそんなにあわてて?」


「どうしたじゃねえよ! やばいやつがこの町に近づいてやがる!」


 バルドの喧騒にギルド長も真剣になった。


「なにがあった?」


「森の中から異常な死神の戦士が近づいてきている!」


「何体だ!?」


 死神の戦士と聞いてギルド長は焦った。

 死神の戦士はAランクの魔物だ。


 Aランクの魔物を相手にするには、Aランクの冒険者が4人必要となる。

 Aランクの冒険者というのは、Aランクのパーティのことではない。

 パーティというのは、だれか一人が突出していると、簡単に上がるものだからだ。

 それに対し冒険者ランクというのは、単独でギルドの試験に受かった者のランクのこと。


 バルドの冒険者ランクA、マルクはBランク、アルベルトはCランクだが、全員パーティランクはAランクといえばわかりやすいと思う。


 魔物を倒すときは、自分のランクより一つ下で対等、二つ下で安全に倒せるといわれている。


 そして、王都には現在Aランクの冒険者は4人、AAランクの冒険者が2人しかいない。

 Aランク以上の冒険者は国家戦力といわれ、諸外国へのけんせいや、いざというときのためにも死なれては困る存在だ。


 ゆえにギルド長は焦ってた。

 2体までなら被害を抑えて勝てるだろう。

 だが、3体以上出てきた場合、じんだいな被害が想定される。

 

「一体だ!!」


「……え? 一体?」


「そうだ一体だ!!」


 ギルド長は落ち着きを取り戻した。

 Aランクの魔物といえど、一体だけなら何とかなるということだ。


「なんだ、あわてさせるな。一体だけだろ?」

 

 バルドはギルド長の顔面を殴ってしまいたい衝動にかられた。

 

「そうだ一体だ! だが普通の死神の戦士じゃねえ! 俺も一度討伐したことがあるが存在自体が違う! ありゃ化けもんだ!」


「ふむ。マルクは確か鑑定のスキルを持っていたな? レベルはいくつだった?」


「測定出来ませんでした」


「……は?」


 ギルド長はマルクが何をいっているのかわからなかった。

 鑑定のスキルは相手が隠蔽を持っていたとしても、自分のランクより2つ上までのランクなら、普通見ることができるはず。

 冒険者ランクBのマルクがレベルすら確認できないとなると、その魔物のランクは最低でもAAランクということになる。


「……それは本当か?」


「はい」


 AAランク――それは、冒険者ギルドと王国軍が総力を挙げても勝てるかわからない存在。

 準魔王クラスとも呼ばれる。

 

 

 

 そのあとのギルド長の動きは早かった。

 バルドたちに王国軍への要請を頼み。

 町にいる冒険者たちに緊急依頼を出した。







 ――王国軍SIDE――


 王都に数名しかいないAランク冒険者のバルドから依頼が来た後。


「将軍この件はどう思う?」


「バルド達は信頼のおける冒険者達の一人。おそらくデマではないでしょう」


「違う私がいいたいのはそうではない。私もこの話は本当だと思うが、私がいいたいのは背後にだれがいるのかということだ」


「背後に、ですか……。残念なのか嬉しいのかはわかりかねますが、今のところ密偵からの報告によると、特に帝国と反王国軍には目立った動きがないとのことです」


「黒幕はわからず、か……」


「申し訳ありません」


「いや、よい。別にそちを攻めているわけではない」


「はっ」


「それで、此度の件だが私も出ようと思うのだが」


「なりませぬ!」


 すごい喧騒で将軍がいった。


「自分の立場はわかっているつもりだ。私は遠くから観戦するだけだ」


「しかし……」


「それに、王国の危機だというのに、公爵家のものが出陣しないのは風聞が悪いだろう」


「それは……確かにそうでございますが……」


「なに、お主は元Aランクの冒険者だし、私も推定Aランクはあるだろうし、そう簡単にはやられんだろう。それに敵は一体だけと聞く、いざとなれば逃げればよかろう」


「……」


「決まりだな」


 侍女の沈黙を肯定と受け止めて、公爵家令嬢、リアス・カタストは出陣の準備を始めた。


これを書いていて、ふと思いました。

主人公の名前考えてないじゃん……。

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