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領主様は転生者 ~え?僕もですか?~  作者: 赤五
幼年期(学塔生活の始まり)
42/48

42.活動編:夏休みの終わり

短目です・・・




 僕達4人の複合属性魔術の特有化は成功した。

 全員が成功するなんて、めったにないことらしい。

僕達は、まだ魔法使いとしての修練を行い始めて一年足らずだしね。


「どんなイカサマ使っているのかしらね?」


 なんて、酷いことをリリーさんに言われてしまったけど。

 努力の成果をイカサマ扱いするのは酷いと思う。

 僕達は領主様のような規格外な(チートじみた)存在ではないのだし。


「主にレオのせいなのだ」

「レオ君の御蔭よね」

「俺の親友は頼りになるぞー」


 僕に全ての責任を押し付けようとするのはやめて欲しい。

 ちょっと、魔力を操作してアン達が失敗しない様に協力しているだけなんだから。

 小器用なだけの僕と違って、特化した才能をもっている学友達が羨ましいぐらいだし。


 それはさておき、夏休みの残りの期間は特有化した魔術を用いるための訓練に当てることにしたけど、特有化って凄い。

 知識としては教えて貰っていたけど。

 ここまで魔術が使い易くなるとは思わなかった。

 必要な魔力量は半分以下になるし、しかも術に関する魔力操作の負担が減っている。

 そのお蔭で、連続使用や複数同時使用も簡単に行える。

 僕の風円斬なんて、すぐに3つ同時に発動させることができた。

 特有化って凄いね!


「さすがに、そこまで器用な事はレオぐらいしか出来ないな」

「え?そうですか」


 新婚旅行から帰ってきたリサ教官が、呆れたような声を出す。

 僕だけじゃなくて、他の三人もいろいろと練習をしていて、面白い使い方を身に着けているけど。

 やっぱり、使い易さが桁違いによくなると、いろいろと試すのが楽になって習熟が早いせいだね。


「それでも、限度というものがあるのだが。

 まあ、いまさら、お前たちに言うまでもないか」


 まさか、ほんとに全員が成功しているとはなあ。と呟く教官。

 あれ? もしかして駄目元での課題だったのだろうか。


「いや、一人や二人は成功するとは思っていたのだが。

魔法技術に関する授業だけが突出して進みすぎた。

そうなると、クレハ様やセバス様の計画通りになる、か。

うーむ」


新婚旅行から帰ってきて以降、さっそく領主様に呼び出されていたけど、そこで何かあったのかな。


「まあ、覚悟はしておけ。

いずれにせよ、今後の授業内容が大幅に変更されるということだ」


なんとなく嫌な予感がする。

僕としては平穏無事に生きていきたいんだけど。


「面倒なのは嫌だぞー」

「なのだー」

「だよね」


 他の三人も気持ちは一緒。気楽に生きたいよね。


「「「そうなったら、面倒事は全部レオに任せるけど!」」」

「そういうと思っていたよ!!」


 


 そして、夏休みが終わる頃。

 面倒事は本当にやってきた。


「断れないと思うぞ。何しろ、今回はクレハ様の肝いりだからな」


 無情に告げるリサ教官。

 確かに悪い話では無い。むしろ普通ならいい話だからね。

 僕達にきたのは養子縁組の話だった。

 魔法使いの才能があるものを、貴族が取り込むためには良くある話らしい。

 でも、さすがに何の実績を残していない子供に対しては、青田買いにも程があると思う。

 平穏に生きたい僕としては、余計な責任を負わされそうなことは嫌なのだけど。

 

「今回の話では、養子縁組とはいっても家を継ぐためのものでは無いからな。

 将来、貴族絡みの余計な面倒事を避けるために必要な最小限度の立場を得るためのものだ。レオ以外は」


 うん、そうなんだよね。来ている話は、貴族家を後継するための縁組では無いから、比較的気楽に受けても大丈夫そうなんだ。僕以外は。

 たとえばアルは、リージェス大隊長のスピアロー子爵家から養子縁組の話が来ているけど、スピアロー子爵家は既に跡取りの息子が成人しているし、将来的にアルと結婚させられるような娘もいない。

 アルに貴族家としての庇護を与えるためだけの縁組だね。

 アンも似たような感じで、セバス家令のトウサン子爵家から話が来ている。

 ちょっと変わっているのがリラで、王国総合教会のトウゲン領都分教会の司祭が後見人になったうえで、グリモス局長のテラアマス男爵家に養子に入る話となっている。

 グリモス局長のテラアマス家って、レイド・テラワラス枢機卿の分家筋で、グリモス局長も本来は、教会系の貴族の人らしい。

 本人にその自覚が無いのは周囲も周知の事実らしくて、聖女の素質を持つリラの後見に教会関係者が入る事になったようだ。リラもグリモス局長に怯えていたしね。

 

 そして、僕に来た話だけど・・・


「お母様って呼んだ方がいいですか?」

「よし、そこに座れ。教育してやろう」


 リサ教官に怒られた。

僕に来た話は、ミラー子爵家への養子縁組。

リサ教官の本名は、リサ・ラ・ミラー。

ブリアレス教官と結婚したけど、いまだに名前が変わっていない。

 本来は、そのために新婚旅行がてらに王都に手続きに行ったのに、いろいろとした事情・ ・のせいで変更できなかったそうだ。

ミラー家というのは、10年以上前に起きた王位継承をめぐる騒動(実情は内乱に近かったらしい)によって、事実上の取り潰しになった子爵家。

そのせいで、ミラー家に所属しているのはリサ教官だけで、領地は無い上に、爵位手当の支払いが無期停止処分を受けているという状態が続いていたとか。

早い話が、貴族として収入が一切ない状態で放置されていたということだね。

もっとも、リサ教官はトウゲン辺境伯領の学塔で教官が務まるほど優秀な人だから、自分の生活に苦労していたわけじゃないけど。

リサ教官の愚痴を聞いていると、王国の貴族派の重鎮から横やりが入ったらしいね。

まあ、きっと、リサ教官へというより領主様に対する嫌がらせだろうけど。

領主様って新興貴族なのに、王党派だし。


「だから、さっさと功績をあげてミラー家を継いでくれ。私が問題無く当主を辞められるように」

「それって、リサ教官だけの都合ですよね!」

「心配するな、クレハ様も後押ししている」


 教え子に才能を見出したという形なら、平民の僕に貴族位を継承させることも無理矢理可能だそうで。

 もっとも、王国の慣習を無視しているので(王国法的には問題ないそうだ)、これを後押しするのって領主様ぐらいだと思うけど。本当にトウゲン辺境伯領では貴族位は軽いよね。

 これも領主様の前世の異世界の記憶のせいなのかな?

 僕は知識があっても記憶がないから、そのあたりはよく判らないけどね。

 

こうして僕達は貴族の仲間入り(しかも、僕は将来の当主確定)となった。

それが、僕達の夏休みの終わりを告げる出来事だったのだ。


これで主人公たちの一年目が終りですね。

世界観や設定の説明を入れていたら長くなりすぎた・・・

閑話を挟んで、ようやくストーリーが動き出します。

(予定)

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