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領主様は転生者 ~え?僕もですか?~  作者: 赤五
幼年期(学塔生活の始まり)
27/48

27.魔法教育編:三元属性操作1

 休みの日に、予定通り子供達だけでお出かけすることにした。

 朝食を食べて、早速出発しようとしたけど、例によってアンを引きずり出すのに一苦労。

 その後もしがみ付いてくるので、非常に疲れる。

それでも、前回は見られなかった街の繁華街あたりを見学して、買い物をした後、休憩できる店で一休み。


「アン的には、本屋さんを見つけたことが収穫だったのだ!」


 アンが目を輝かせている。手には、本屋で買った娯楽本が大量に。

 持ちきれない本を持たされた。もう少し知識になる本を買えばいい物を。


「でも、お金使い切った! レオ、何かおごってー」


 とりあえず、拳骨をプレゼントしました。

 仕方ないから、奢ってやるけどね。

 

「やっぱり、レオ君って、アンちゃんに甘いよねえ」

「レラの分は俺が奢るぞー」


 アルが妙に張り切っていた。

 休憩する店を見つけたのもアルだったし。

 紅茶にミルクと生姜を入れて温めた飲み物を出している店。

 

「おー、チャイだー」


 ミルク茶って看板に書いてあるのに、アンが変な事を言う。

 

「うちの街の名物だぞー。元々は外国の茶の飲み方らしいけど」


 アルは西の海岸付近にある開拓村の出身で、村には港があるせいか外国からやってくる人間も多いらしい。そこで外国人が始めた店が出したのがミルク茶で、アルの村では名物になるほど流行っているそうだ。

 ちなみに西の開拓村は、そろそろ街に名称を変えることを検討しているほど大規模になっているらしい。

 同じ村でもアルケー村とは大違いのようだね。

 ・・・どうぜ、田舎者は僕一人さ。


 アルの話を聞いて微妙に落ち込んだけど、ミルク茶と一緒に甘いお菓子(スポンジケーキみたいなもの、但しクリームは無い)を食べている内に気分が高揚してくる。

 こういう店はアルケー村には無かったし。

 領都ってやっぱりすごいと思う。




 そんなリフレッシュを兼ねたお出かけが終った次の日から、新しい魔法の修練が始まった。


 それは三元属性操作。

 地水風の三元属性を魔力によって動かす術で、三元属性を用いた魔術の基礎となる術らしい。

 これからの魔法の修練においては、術の失敗や暴走による危険があるため、魔法障壁を使えるようにならないと教えない事になっていたそうだ。


「最初は、各自の魔法の兆しがあった属性から始めることになる。

 それに慣れてきたら他の2元属性の操作だ。

 魔力量も随分と増えてきているし、魔力操作も上達している。恐らく、魔法の兆しのある属性の操作はすぐにできるようになるはずだ」


 ちなみに、僕とアルの魔法の兆しは風。アンは地、レラは水だ。

 で、僕の魔法の兆しって、そもそも弱い風を吹かせるってことだった。

 これって、すでに元属性操作ができるってことだよね?

 

 実際の練習は、教室を出て屋外でやることになった。

 空気ならどこにもであるけど、水や土を教室内に用意するのが面倒なのと、練習の影響で教室が汚れるのを防ぐためらしい。

 やたらと、術を暴走させるアンがいるからしょうがないね。


「とにかく、自分の生体魔力を使うことは絶対に無いように。あくまで、魔宝晶石に蓄えた魔力のみを使用すること」


 僕達の魔力量は最初の頃から比べて飛躍的に増大しているし、魔宝晶石の扱い方も向上していた。

最初は、魔宝晶石に魔力を蓄えるのがうまくいかなかったり、魔量を引き出すのに手間どっていたりしたけど、今では自然に魔力の出し入れが出来る様になっていた。

物凄く努力したからね。精神を集中するって疲れるけど、上達していることがわかると頑張れる。

魔宝晶石に蓄えた魔力だけを使っても、魔術を行使するのに問題が無い状態になったので、三元素操作の修練が始まったようだ。

生体魔力を使わない理由は、魔力回復に最適な状態を保つためでもあるけど、


「それと、魔法障壁をいつでも展開できるように意識することを忘れるな」

 

 いざという時に魔法障壁を展開できないと、大怪我もしくは最悪は死亡しかねない。

それなので、魔法障壁に使う魔力をいつでも残しておく必要があるからだそうだ。

確かに、自分の使った魔術で自爆していたら、大間抜けの笑いもの。

あれ? アンが自爆する将来しか見えない・・・


「わかったのだ。絶対に生体魔力まで使わない。絶対に」

「やめろ、フラグを立てるな」

「えー」

「今まで、何回、倒れるまで魔力を使っていると・・・」


 そして、そのたびに面倒を見るのは僕だし。


「たしかに、アンは無茶が多いであろう」


 ブリアレス教官も頷く。


「いざという時は、儂が魔法障壁の遠隔展開を行うつもりだが、そんな事態は避けるのが賢明であろうな」


 へー、魔法障壁って自分以外の対象にも展開できるんだ。


「それって、どうやるのですか?」

「さすがにレオでも、覚えるにはまだ早かろう。早くとも3年目以降に習う術だ」

「んー、それは残念」

 

 教えてくれそうにないみたい。でも、出来る様になると便利かも。

 主に、アンが暴走した時の為に。

 

「レオくん、絶対、隠れて自分で練習しそう」

「レオはアンのために頑張るからなー。凄いぞ」


 後ろでヒソヒソ話すレラとアル。


「だって、アンの暴走にレラが巻き込まれると大変だし」


 レラの魔法障壁って、本人がドンくさいせいか展開が遅いしね。

 アンの魔の手から、僕が可愛いレラを守る!

 

「レオ、酷いー」

「レラは、俺が守るぞー」


 酷いのは暴走しまくるアンだし、アルは是非レラの肉壁になってくれ。

 そうやって僕達が騒いでいると、リサ教官に怒られてしまった。

 まったく、とんだとばっちりだね。




「さすがに、レオは直ぐに出来たか」


 僕の場合は、魔法の兆し自体が風を吹かせる事だったので、風の元属性操作は簡単にできた。兆しの時は、単純に吹かせる事しかできなかったけど、魔力操作に慣れた今だと、かなり自由に風向きを変えることができる。

 あと、風の早さの調整も簡単だった。

 やり方は、放出した魔力を空気と混ぜ合わせて魔力操作の要領で動かす感じ。

 混ぜ合わせると、魔力そのものを操作するときよりも細かい制御が難しくなったけど、制御に関しては得意なのだ。

 直ぐに慣れてしまった。

 調子にのって、混ぜ合わせた空気と魔力を魔力循環の要領で自分に戻してみた。

 そしたら、吹き飛んで、木にぶつかった。

 魔法障壁の展開が間に合ったので、怪我は無かったけど驚いた。


「属性展開した魔力で魔力循環はできないに決まっておるであろう」


 先に言ってください、ブリアレス教官。

 

「いや、まさか、そこまで直ぐに自在に風を操れるようになるとは思わなかったのでな・・・」

「そうなんですか?

魔力操作と大差はないと思うんですけど」

「いや、大きく違うであろう」


 うーむ、そうなのか。

 魔力操作で消費する魔力を2.3倍くらいにすると丁度いい感じになったんだけど。

 そこまで細かく制御できることが珍しいとか。

 寝る前の魔力放出で細かく放出量を調整する練習をしているお蔭かな?


 

 今日の所は、兆しのあった元属性のみの操作を練習しろということなので、適当に風を操作しながら学友たちの状況を観察してみた。


 アンもあっさりと成功していた。動かす事自体は。

 でも、自分の方向にむかって土を動かすことしか出来ていない。自在に操るという訳にはいかないようだ。

 そして、土まみれになっている。

 あとでちゃんと頭を洗うように言っておかないといけないね。


 レラはバケツに入った水の前にしゃがみこんで苦戦中。

 レラの魔法の兆しは、水の波を穏やかにするっていうものだったせいか、動かすように操作することは苦手なのかも。

 うんうん唸りながらバケツを可愛らしく睨んでいる。

 

 アルは蝋燭に付けた火を、正拳突きで風を起こして消している。

 いや、それは何か違うと思うんだけど。それ、只の武術の訓練だよね?

 でも、教官達はアルなら仕方がないと諦め顔。

 確かに、少しは魔力で風も動かしているみたいだけど、どう見てもメインは拳圧による効果にしか思えない。

 常識外れがいると、周囲が困るよね。

 って言うと、お前もな、と教官達に言われてしまった。

 解せぬ。


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