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領主様は転生者 ~え?僕もですか?~  作者: 赤五
幼年期(学塔生活の始まり)
21/48

21.魔法教育編:魔法障壁

 そして更に一か月が経過した。

 秋も深まって、そろそろ肌寒い日もあったりする。

 もっとも領都は、冬でも雪が降るほど寒くないらしいけど。


 この一か月の間に、僕の魔力循環は安定した。

 今では、全力で走っても、杖術の訓練で打ち合いをしても魔力循環を行えることができる。

 経路数も4になった。

 教官達が驚いていたので、結構凄いのかもしれない。

 そしてなによりも、嬉しいのが、睡眠時の魔力循環もできるようになったことだ。

 毎晩、寝る前に魔宝晶石の魔力を減らしてから挑戦し続けて、ようやく三日ほど前から目覚めた時に魔宝晶石に魔力が溜まるようになった。


「まだまだ甘いのだよ。レオ。

 アンは寝ている方が遥かに魔力が溜まるのだ!」

「起きている時も、真面目にやれよ」

「体鍛えていると、魔力も鍛えられるぞー」

「できれば、頭も鍛えてくれ」


 アンとアルの特異体質は変わらず。

アンは寝ている時の方が、アルは暴れている時の方が、魔力循環が安定する。

マラソンと杖術中心の授業は、運動しながらの魔力循環を全員ができるようになってから時間が短くなった。

具体的には、朝一番は一時間くらいリサ教官お手製の障害物コースでのマラソン。

授業最後の夕方に一時間くらいの杖術の訓練という時間割だ。

そして、空いた時間には別の授業が入った。

 授業の内容はいろいろあるけど、午前中は魔法以外の勉強。

 午後からは魔法関係の勉強といった具合に時間が分れている。


 ちなみに魔法以外の勉強っていうのは、難しい計算や古代語、歴史、礼儀作法、外国語などなど。

 将来的には、経営学や政治学も入ってくるとか。

 魔法使いになるのだから、魔法の勉強だけすればいいと思っていたけど……

 領主様の方針で、そうなっているらしい。

 なんでそこまで教えてくれるのかね?


「さもないと、将来、困るであろうからな。

 魔法使いが魔法だけを学ぶのであれば、身を滅ぼしかねん。

 それに、魔宝晶石に魔力が溜まり切るまでの待ち時間を有効に使わねばな」

 

 基本的に魔術に使う魔力は、魔宝晶石に蓄えた魔力だけだってのは、最初に教わった基本だけど。将来的に、魔力の回復量が上がりさえすれば、魔法関係の授業が増えてくるのだろうか?

 それにしても、教えてくれる内容を考えると、僕達の将来をどうしたいか判ってくるね。

 正直、面倒だけど。

 僕としては安定して裕福な生活さえ送れたら、それで満足なんだけど。

 あ、これじゃアンの事を笑えないな。

 精進して生きていく事にしよう。




「さて、今日からは、魔法障壁について学んでもらう」


 午後からの授業は魔法に関する授業になる。

 魔法障壁は、魔法使いの身を守る障壁を作る術らしい。

 魔法攻撃や物理攻撃を防ぐ基本的な術で、これを覚えておかないと自傷が怖くて魔術の練習など出来ないそうだ。

 

「バリアー!。やっぱり、パリンとガラスみたいに割れちゃうのかな」


 どこの光子力研究所の防御施設だよ。

 アンが変な事を言うのはいつもの事だけど、周りが混乱するからやめてほしいよね。


「でも、レオくんって理解しているよね。アンちゃんの言う事」

「なんのことかな?」

「レオ、なかまー」

「お断りします」


 僕はあくまで常識人枠にいるのだ。

 アンのような特殊枠と一緒にしないでほしい。



「魔法障壁の基本は魔力循環だ。

魔力循環の経路の一つを体外で循環させ、かつ変質させることで障壁を作る」

「これを取得できぬのであらば、魔法使いの道は絶たれると思わねばならぬ。

 それほど必須の技術と言えるであろう」


 教官達の気合いが凄い・・・・・・

 そんなに、難しいのかな?




「はははっ これでいいのかな?

 アン、一番のりー!」


 あっさりと、アンが成功させたみたい。

 というか、どこの呉の武将だよ。


「他人を引き寄せないための、固有結界など容易。

ぼっち力を舐めるなといいたいのだよ!

 ・・・・・・レオは、アンの味方だよね?」


 自慢そうに言った後、落ち込むアン。

 アンのテンションが判らない。

 でも、アンの周りに変質した魔力が存在しているのは判った。


「いや、いくらなんでも、最初から成功など有り得ぬだろう」

「いや、しかし…。やはりそういう事か…」


 信じられないって顔をしているブリアレス教官。

 なんか、納得しているリサ教官。

 でも、何を納得したのだろう?

 ちょっと不安。


 さてと、僕も負けてはいられない。

 魔法障壁に成功したアンの魔力を、じっくりと観察する。

 一か月以上一緒に過ごしているせいか、以前よりも微妙な魔力の変化や流れが解るようになっていた。

 もっとも、これはアンだけじゃなくて、レラやアルの魔力についても同じだけど。

 

「きゃー、見つめちゃイヤン」

「煩い。ほら、さっさと見せろ」


 一か月以上一緒に過ごしているせいで、アンのふざけた反応にも慣れた。

 アンは人見知りというか、対人恐怖症っぽいところがあるけど、一旦慣れるとどこまでも馴れ馴れしくなっていく。

 それはさておき、アンの魔法障壁を観察しないと。

 ついでに効果も見ておくか。

 

「ちょっと、何で椅子を持ち上げてるのー」

「そうだな、椅子が壊れるとまずいか。石を取ってくる」

「石ならあるぞー」

「よし、目標はアン。投擲開始!」

「よっしゃー」


 自分で言っておいてなんだけど、どうして教室に石を持ち込んでいるのかな?

 まあ、アルだから仕方ないか。

 そして、躊躇わずに全力で石を投げるアル。

 こいつの投石は、結構シャレにならない威力がある。

 兎ぐらい平気で仕留めてたし。


「いじめ駄目。絶対!」


 これはいじめじゃない。実験なのだ。

 放たれた石は、アンの魔法障壁に当たると勢いを失って床に落ちた。

 もちろん、アンにダメージは無い。

 しかし、投げた石が正確にアンの頭を狙っていたな。アルって怖い。


「おお、本当に効果がある。凄いぞー」

「アンちゃん、すごーい」

「ダメージは、0じゃ!」


 石が当たった瞬間、アンの魔法障壁が消費されて、すぐに再構築されていた。

 その時の魔力の流れと変質具合を観察できた。


「なるほど、こんな感じかな」


 アンの魔法障壁を参考にして、僕は魔力を変質させた。

 

「・・・レオまで出来るようになったか」

「アンの魔力は判り易いので、真似しやすいですから」

「そう簡単にはいかないのが普通なのだがな」

「でも、これ面白いですね」


 変質させる魔力の量によって、魔法障壁の強度が変わっていく。

 量を調整すれば、余力である自然放出魔力量だけで常に魔法障壁を張る事もできそうだ。

 まあ、それだけだと大した防御力にはなりそうもないけど。

 

「慣れて行けば、体に纏うだけでなく、壁状や球状の魔法障壁を出現させることが可能だ。

 細かな魔力操作が必要となるが、レオの得意分野であろう」


 それは面白そうだ。


「おーい、レオ。どうやったか教えろ」

「お願い、レオくん」


 アルはどうでもいいけど、レラに可愛く頼まれたら教えざるを得ない。

 最近、僕は3人の魔力に馴れたおかげか、見るだけでは無く、魔力への干渉を行えるようになってきている。

 ほんの少しだけど。


 でも、それで魔力の流れを刺激したりすることで、言葉だけではなく感覚で教えてあげることが可能になっていた。

 教官達相手にはできないので、これが魔力の親和性が高まった効果というものかも。

 魔力循環で複数の経路の形成の仕方とかを教えるときに、非常に効果的だった。

 きっと、魔法障壁についても同じだろう。

 アンが天狗にならないように、早く二人にも出来るようになって欲しいし。


 そして、僕が教えた結果、二日後にはアルとレラも魔法障壁を使えるようになった。

 教官達が呆れていたけど、早く習得できる分には問題ないよね?


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