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領主様は転生者 ~え?僕もですか?~  作者: 赤五
幼年期(学塔生活の始まり)
19/48

19.魔法教育編:魔法使いに必要な物は体力と反射神経1

 領主様が合流してきたお出かけから一巡り以上が過ぎた。

 あれ以来、僕達の朝食にはおいしい味噌汁が毎日出てくる。

 正しい味噌汁の作り方を教えた甲斐があったというものだね。


「だから、アンはコーンポタージュのほうが~」


 文句を言うのはアンぐらい。

他の皆は気に入っているようでなによりだ。

 充実した食生活。

 これだけでも村を出たかいがあったね。

 

 さて、魔力循環だけど僕は順調に修練を積んでいって、精神集中なしでも魔力循環が保てるようになっていた。

 でも、いまだに睡眠中の魔力循環は出来ない。

一体アンはどうやって、睡眠中に魔力循環をやっているんだろ。

そのアンは、最近精神集中をすれば起きている時にも魔力循環が出来るようになった。

少し気を散らすと駄目になるみたいだから、アンの修練に協力するために積極的に手を貸している。

精神集中している横で出鱈目に数を数えて上げたり、耳元に息を吹きかけて見たり、目の前で飴玉をチラつかせたりして。

僕って本当に協力的だよね。


アルとレラはまだ成功していない。

魔力の流れを見ると、レラはあと少しかな。

どうやら僕の方が、レラ本人より魔力の流れを見ることができているようなので、魔力の流れについてアドバイスをしている。

僕のアドバイスを参考にすると、魔力の流れを理論的に調整しやすいらしく、レラも手応えを感じているみたい。


「レオくんのアドバイスって、判り易くて助かるの」


 なんて礼を言うレラは可愛い。

 そして、一番苦戦しているのはアルだろう。

アルの魔力の流れは滅茶苦茶で、僕ではアドバイスのしようが無い。

アドバイスをしても、


「それって、こうどかーんとやるのがいいのか?

 それとも、ばーんとやるのがいいのか?」


 などと言う理解不能な言葉で聞き返されるのでどうしようもなかった。

 教官達が言うには、今の段階で魔力の放出が出来るだけでも大したものらしいので、アルには焦らずに頑張ってもらおう。


 そういう感じで、レラに協力し、アルを見守り、アンをからかっていた僕だった。

 

「ふむ、レオは暇そうだな」

「いえ、そんなことはないですけど」

「そこまで魔力循環ができるようになったのなら、次の段階に進んでもらうか」


 おや、ついに本格的に魔法を教えてくれるのだろうか。

 楽しみだね。


 

 僕が連れ出されたのは学塔の外だった。

 リサ教官は、学塔の周りを指さして言った。


「走れ」

「え?」

「最初はゆっくりと走ってもいいが、魔力循環は常に行う事。

 慣れて行けば、徐々に早く走ってもらう」

「リサ教官、僕達、魔法使い候補ですよね?」

「ああ、その通り。

だから走れ。

勘違いしている奴が多いのだが、魔法使いに一番必要な物は体力だ」


 いや、魔力じゃないの?


「どんなに優れた魔力を持っていても、すぐにバテるような軟弱者は実戦では役に立たん。

 トウゲン辺境伯領で必要とされている魔法使いは、辺境の地で開拓に参加できる実戦向きの魔法使いだ。

 机に座って魔導書を読んでいるだけの魔法使いなど、私は育てるつもりは無い」


 リサ教官は、にやりと笑う。


「ほら、解ったらさっさと走れ。それとも、私の魔法で後ろから追い立てられる方が好みなら、お望み通りにしてやるぞ」

「こ、子供の時に、激しい運度をすると後々の成長に問題が……」

「それは、筋力をつけすぎた場合の問題だな。心配するな。

 普通に走って心肺能力を向上させるのであれば、何も問題は無い」


 う、その通りだけど……。

 僕は諦めて、素直にリサ教官の指さす通りに走り出した。

 ゆっくりでいいんだから、無理せずに走ればいいよね。


 そんなことを思っていたんだけど…

 

 まさか、午前中一杯、3時間も走らされ続けるとは思わなかった。

 

 


「死、死ぬ……」

「初日にしては、頑張れたものだな。最も、後半は歩いていたようにしか見えなかったが。

 ふむ、最低限の根性があることは認めてやろう」


 息も絶え絶えな僕に対して、リサ教官が褒めてくれた。


「だが、疲れたからと言って魔力循環の手を抜くことは感心できないな。

 レオなら、既に魔力循環の経路は2本ができていたはずだ。

 それを維持することを忘れるな」


 あ、ばれてる。

 でも、疲れると魔力循環にまで気が回らなくなるね。

 一応、農家出身だから体力に自信はあったんだけど。


 走りながら、途中で水は飲ませてくれたけど、只の水だと塩分が足りなくなるし。

 明日からも走らされるなら、経口補水液でも作っておくべきかな。

 領主様の御蔭で、砂糖の入手も簡単だし。

 確か、水一リットルに対して砂糖40gと塩3gぐらいだっけ?

 メイドさんに頼んで作ってもらおう。



 などと思っていたら、昼からは棒を持たされてブリアレス教官と対峙していた。


「体力も必要だが、咄嗟に術を使うためには反射神経も必要である。

 いくら術に熟練しようとも、反射神経が鈍ければ実戦では打つ手が遅れるであろう」

「はあ」

「また、魔術に頼らない防御術や攻撃方法も重要だ。

不要な魔力を使う事を避けることが、いざという時のために役立つ」

「はあ」

「だから、候補生には必ず杖術の訓練をさせている。もっとも、あくまで魔法使いとしての修練の一環だ。

 訓練中の魔力循環は、常に行う事が必要であろう」


 なんでも、ブリアレス教官の話では、杖術は全ての武器に共通する動作を習得するために最適の武術だそうだ。

 しかも、刃が無く、重心の片よりも無いため自在に操作しやすく、防御に置いて優れているらしい。

 でも、僕、魔法使い候補として召喚されたんだよね?

 どう考えても、これって武官候補生のやることじゃね?


 基本動作だけで、体中の筋肉がパンパンに。

 その後の、打ち込みで限界に到達。

 しかも、最後は教官と打ち合いをやらされた。


 もちろん、一指報いることなど出来ない。

 思いっきり手加減されたらしいけど、散々に打ちのめされた。

 大体、武器を使う熊を相手に、9歳の子供が何をどうやって対抗しろっていうんだろうか。


「誰が熊であるか」


 あ、熊男さんが妄言を言っている。

 その後の一撃は、僕の意識をあっさりと刈り取ったのだった。


 これって虐待だよね?


なんか、前置きだけで話が進まない……

きっと、禁酒中なのが悪いんだ

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