表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
試される大地  作者: 石達
第1章 邂逅期
32/88

東方世界2

「つきました。アレです。

アレが古代遺跡の上に造られたバトゥーミですよ」


「あれが?」


ヘルガの説明に、拓也はやっと見えた目的地の輪郭を見て言葉を失う。

その外観に、拓也はそれをどのように表現してよいか言葉が見つからない。

何と言ってよいものか、拓也は目に映るものをどう形容しようか考えていると、拓也が次の言葉を発するより先に、横を歩いていたエドワルドが話しかけてくる。


「なぁ 拓也。

俺はてっきり古代遺跡なんていうから、ローマの遺跡みたいなのを利用して作った町とかを想像してたぞ」


「うん」


「なんというか……

この世界は予想の斜め上ばっかりきやがる。一体なんだあれは?」


驚きを通り越し、最早呆れに近い声でエドワルドは前方に存在するソレを指差す。

だが、話を振られた拓也もアレは何だと聞かれても答えようが無い。


「……さぁ? ファンタジーというより、SFに出てきそうなデザインだよね」


高さは何十mあるだろうか

上面は崩落しているのか一定の高さではないが、高い所では100mはありそうな大きさである。

そして、その構造自体も特異であった。

地面に置いた丸餅の側面のような、丸みを帯びた巨大な黒壁。

それが草原の中に異色を放ちながら建っている。


思い返せば2時間程前。

昼食を終えた拓也達は、避難民の物見が戻って来た事を聞いて、帰還を始める彼らと一緒にバトゥーミへと向かった。

というのも、物見の報告はギンカの予想通りであったからだ。

彼らが言うには、バトゥーミに恐る恐る戻ってみると既に町は降伏し、守備隊は武装解除の真っ最中だったらしい。

それでもバトゥーミが降伏した見返りに、兵士の略奪は禁止された為か町の中に混乱は無く、むしろ守備隊長の名義で避難民に帰還を促しているらしい。

どうやらこの東方世界では、戦の際は戦闘員以外は集落から逃げ、攻める側も避難民には手を出さないのが慣わしらしい。

こちらでは各種族があまりにゴチャゴチャに広がり、国ごとに種族が分かれるような事がほぼ無いため、敵の民間人を虐殺することは無いそうだ。

もしその様なことをすれば、自国内の関連種族が反発するからと言うのが理由だそうだ。

そんな訳で交渉にて勝敗が決まった攻城戦の後、サルカヴェロ側の指示の下、負けた守備隊は武装解除と避難民の帰還を呼びかけているそうだ。

そんな報告を聞いた避難民達と一緒に、人混みにまぎれて歩くこと2時間弱。

遂に肉眼でハッキリ見えるところまで拓也達は、今までに見たこの世界の建造物の常識から遥かに斜め上をいく構造物に、ただただ口をポカーンと開けて見入る事しか出来なかった。


「ほれ、いつまで呆けてるんだ。

あそこを見てみな。

城壁の上にサルカヴェロの旗が翻ってるだろ。

あたしの言ったとおりさね」


異様な城壁の存在に見入ってしまい思わず足が止まりそうになる拓也達に向かって、ギンカがバトゥーミの町を指差しながら急かす。

彼女が言うように、城壁の上には幾つもの旗が翻っていた。

そしてソレを指差す彼女の表情は、予想が当たった事を誇るかのようにドヤ顔であった。

だが、彼女が指差す旗を見て、拓也は心に引っかかるモノを感じる。

拓也は、その正体を確認しようと、無言で双眼鏡を覗きこんだ。


「……」


ディティールを見極めようと、まじまじと覗きこむレンズの先に翻るソレ。

そしてそのデザインが見に映ると、自然に拓也の足は止まる。


「あれ?

社長。どうしました?」


急に足を止めてしまった拓也に、彼の雰囲気が先ほどまで変わった事にヘルガは気付く。


「ん、なんか昔見た旗に似てるな~って思ってさ」


目の前に翻る白と赤を基調としたその旗を見て、拓也は心に引っかかるものを感じる。

そして、それを感じていたのは拓也だけではなかった。


「拓也もか。俺もあの旗には思い当たる節がある」


赤と白を貴重としたソレは、二人の脳裏に転移前の世界に存在したある旗と酷似していた。

その旗は、彼らの記憶にあるものより装飾が凝ったデザインとなっているが、その構成は瓜二つだった。

だが、拓也は心の中で、その関連性を否定する。

ココは異世界。

旗ぐらい偶然にも構成が同じと言うのはあるかもしれない。

拓也はそう自分なりに結論を出すと、再びバトゥーミに向かって歩き出した。


「まぁしかし、ここから眺めてたってどうしようもない。

たまたま似たような旗がこちらにあるだけの可能性も高いんだし、さっさと町に入ろうか」


そう言って、拓也は歩きながらエドワルドに話す。

やっと見えたと言っても、まだまだ距離はあるのだ。

拓也達は避難民の流れに乗って再び歩き出す。

だが、それから少々歩いた所で、今度はアコニーが静かに拓也の下に近寄ってきた。


「社長」


アコニーは、拓也の真横にごく自然に近寄ってくると、二人だけに聞こえるような声量で声をかける。


「なんだアコニー」


「なんで、あのオバサンにあの糞犬の親戚の事を聞かなかったんです?

場所を糞犬に案内させるより、楽に話が聞けそうですよね」


「そんなこっちの情報を全部言う必要はないよ。

もし、あのババァが盗賊の親戚とやらと繋がってたらどうする?

また取り逃がすかもしれないだろ。

もしかしたら、タマリの奴を取り返すために逆襲してくるかもしれない」


「それもそうですね」


「人が良さそうには見えるけど、警戒は怠らないようにしなきゃな。

今までも、油断から何度も要らぬ失敗をしてるしさ」


アコニーは拓也の言葉にコクンと頷くと、そのまま距離を置いて元々歩いていた位置へと戻る。

そして、アコニーにそう告げた拓也も、自分のいった言葉を再度口の中で繰りかえす。

これ以上失敗できない。

自分の双肩には社員の人生が掛っている。

それは、偽らぬ拓也の本心からの思いであった。

拓也はその思いを心に留めると、バトゥーミを目指して歩き続けるのであった。










遺跡都市 バトゥーミ


それは、巨大な円環の内側に、ひしめく様に建物が密集した都市だった。

一体、元が何だったのかは分からないが、直径2kmほどのボロボロのリングが海岸から打ち上げられたような形で鎮座している。

それも構造の全てが陸に乗り上げている訳ではなく、陸と海で円環を二等分するようにしてソレは在った。

いったいどのくらい昔からソレが存在していたのかは定かではないが、その外観は損傷が激しく、円環は外縁を残して崩落し、その中の開けた陸上エリアに町が築かれている。

海側の構造に至っては、外壁の六分の1が脱落して巨大な破口を海に向かって広げたいた。

これを簡単に説明するならば、外周の一部が欠けたお盆を、海と陸の境界線に水が半分浸かる形で置かれているような格好だった。

そして、そのロケーションと構造物の状態は、都市の発展に大いに寄与していた。

なぜならば、陸側の壁はそのまま防壁となり、海側の壁は防波堤として機能しているからだ。

港町としては理想の立地条件であった。



そして今、その都市の真ん中で、拓也達一行は様々な意味で驚きを隠せなかった。


「わぁ、社長。あたしサルカヴェロ人とかはじめて見ましたけど、チビとノッポが並んでますよ」


町に入ってすぐ、バトゥーミを占領した軍隊を見て、アコニーが指を指してはしゃいでいる。

彼女は北海道の町を見た時もはしゃいでいたが、ここでは北海道とは別の意味での驚きに溢れているようだった。

そんなテンションの高いアコニーを見て、地元民であるギンカが説明する。


「サルカヴェロ人は小人族と巨人族が多数派の国だからね。

なんでも新しい武器を導入してから、ここ十数年で急激に拡張してるって話だよ。

やつらは魔法も使えなかったはずだけど、そんな凄い武器なのかねぇ。

見た感じ、強そうな鎧があるわけでもないし、そんなに強そうには見えないけど」


そう言ってギンカは町のあちこちで見かける兵隊を見ながら肩を竦めるが

その一方で、拓也やエドワルドを始めとする日露組は驚愕の表情を浮かべていた。


「……あれって、どう見ても銃だよね?」


そう言って、拓也は兵士の持つ武器を指差す。


「あぁ それも結構な量だ。兵士全員に配備されてる。

しかも大きい方は無反動砲みたいなシロモノを持ってるぞ」





バトゥーミを占領したサルカヴェロの軍勢は、武装解除した町の守備隊と帰還した住民を町の広場へと集めた。

占領後の布告があるという事で、拓也達も目立たぬよう避難民と一緒に広場へと向かったが

そこでサルカヴェロ軍の特異さに目を奪われていた。

サルカヴェロの兵隊は2つの種族で構成されている。

おおよそ1mくらいの身長の短銃と短刀で武装した数の多い小柄な兵士と、3m弱くらいのヒョロりと高い背をした兵隊である。

そんな両極端な二つの種族の混成部隊は、それだけで奇異の目を引くものであったが、それ以上に拓也達の目を引き付けたのはその装備であった。

胸甲と飾りの少ない兜以外は統一された漆黒の服という軽装に、手に持った火器。

チビの方はまるで中世の竜騎兵が持つような短銃で武装し、ノッポはハルバードのような刃がついた鉄の筒を持っている。

構造から察するに、両端が抜けた造りと引き金等がついている事から無反動砲の一種であろうか。

ロケット砲という可能性もあるが、それらしき弾薬を彼らは携行していない。

そんな装備を見て、ファンタジー世界だと思っていたのに、そんなものを個人火器として携行している軍隊の存在に拓也達は大いに驚いた。


「ここって剣と魔法の世界じゃなかったのか?

実は、血と硝煙と魔法のマジカルウエスタンでしたってオチか?」


拓也は視線をサルカヴェロ兵に向けたまま、エドワルドに話しかける。


「いや、エルヴィスには火器があるようなそぶりすら無かった。

俺たちの歴史に例えるなら、オスマントルコのイニェチェリが出てきた頃みたいな火器の黎明期なんだろう。

ノッポの装備はさておき、チビのほうの装備はマスケットのように見える。

……なぁ拓也、やつ等の技術体系は一体どうなっているんだ?」


「そんなの分かんないよ。

何と言うか、俺達の歴史と比べて不自然な成長をしてるってのは分かるけど……」


マスケットと無反動砲(?)。

その二つが同時に配備されている状況に二人は違和感を覚え、彼らの装備をジロジロと見ていると、広場に面した2階建ての建物のバルコニーから

一人の巨人族が姿を現した。

おそらくは軍勢の司令官か何かなのであろう、他の兵士より過剰に装飾された軍服をまとったその男は、広場に集まった視線を一身に集めると

広場に響き渡る大きな声で話し出した。


「バトゥーミの町の諸君!

本日より、この町は我ら栄えあるサルカヴェロ第5軍の施政下に入る。

君達は、降伏の条件として命と財産の保障はされているが、それは諸君らが協力的な態度を取っているの場合に限ることを忘れてはならない。

今後、バトゥーミではサルカヴェロの法が絶対の掟となり、コレを破ることは厳罰に処されることも胸に刻みこんでもらいたい。

だが、同時に君達は今日よりサルカヴェロの仲間だ。

君達が協力的である限り、文明の進んだサルカヴェロの恩恵を受けられることは言うまでもない。

我々に下ることで無駄な戦闘を回避した君らだ、今後も懸命な判断を維持することを期待する。以上!」



ドォン!


ドォン!


ドォン!


演説の終了と共に、城壁で待機していた大柄なサルカヴェロ兵が、手持ちの火器で空砲を打ち上げる。

町中に響き渡る発射音と城壁に立ち上るバックブラストによる煙は、住民の恐怖を掻き立てるのに十分だった。

数秒の沈黙が広場を支配した後、元から市内に住んでいたサルカヴェロ系の住民や進駐してきた兵士が中心となって拍手と歓声を巻き起こす。


「「「ウーラァァァ!!サルカヴェロ万歳!万歳!万歳!」」」


広場を埋め尽くすその歓声。

それに呑まれるように非サルカヴェロ系の住民も、ヘタに反抗して眼を付けられないよう顔を青くしながら拍手を送る。


「なんとも、今の気持ちは言葉にしずらい状況だな。

しかし、不思議と悔しがってる人間は少ないのは、ここの連中は帰属意識が薄いのか?」


都市の降伏と征服者の支配宣言というレアな状況に、エドワルドは思わず苦笑いする。

彼のイメージでは、他国に郷土を征服されれば、原住民に強烈な反感意識が芽生えると思っていたのだろう。

大祖国戦争での各英雄都市やアフガン、イラク等、その例はいくらでも上げることが出来る。

だが、彼のそんなイメージを否定するように、ギンカが住民の心境を代弁して話し出す。


「ふん。

まぁ 悔しがってるのは、コレまで自治会を仕切ってた連中だけだよ。

あたしらにとって見れば、取られる金が自治会費から税金と名前が変わるだけさ。

平和にこれからもバトゥーミに住めるなら文句は無いよ。

まぁ あたしにしたら、サルカヴェロとの交流が増えて宿が繁盛すれば万々歳なんだけどね


「ほう。国より金か。

あんた、まるで広東人みたいだな」


「ちょっ、エドワルドさん?!」


中国では北京愛国上海出国広東売国などと言われていたが、エドワルドのイキナリの失礼な言動に、思わず拓也も動揺する。

ロシアでは相手を中国人に例えると侮辱になるはずだが、何か気に入らない所でもあったのだろうか。


「ははっ。そのカントン人とやらも、あたしみたいに頭の切れる奴等だったのかい?

それはそうと、司令官の布告も終わったようだし、黙って宿までついといで」


エドワルドの暴言にも全く気にも留めないギンカは、顎で拓也達に合図を送ると、自分の宿に向かって歩き出す。

愛国心に相当する物が全くない彼女に、エドワルドは不信感を募らせるが、それは全くの無意味であった。

彼女の言葉通り、周りの人々もサルカヴェロの軍事力は恐れるが、征服された事に憤る人の姿は見て取れない。

彼等にとってみれば、バトゥーミに住めることが重要であって、政治体制なんてのはその日に被る帽子みたいなものなのだろう。

そんな住民の態度を見ているとエドワルドも徐々に毒気を抜かれていく。

恐らく、彼らの振る舞いに深く考えるのも馬鹿馬鹿しくなったのであろう、エドワルドはその後は黙って拓也達と一緒にギンカの後についていく。

それから町の中を暫く歩いた拓也達一行は、一軒の宿の前へとたどり着いたのだった。


「ここが私の宿だよ。

名前もそのまま"ギンカの宿"だ」


そう言ってギンカは胸を張って紹介する。


「なかなか綺麗そうですね」


少々年季が入ってそうな建物であったが、手入れが良いのか特に壊れた箇所も無く、ゴミも落ちていない。


「そりゃもちろん。避難するまでは毎日掃除は欠かしたことは無かったしね。

それより、さっそく人探しに行くかい?」


「そうですね。荷物を置いたら行動開始したいと思います」


「そうかい。

前に教えた奴隷市場は、町の中ほどにある市場の西のはずれにあるよ。

まぁ 競りが行われるのは延期とかが無ければ4日後だけどね。

それでも、いつもなら商品用の貸し牢獄に奴隷が展示されてるはずだ。

もし、場所が分からないようなら格安で私の息子でも案内につけるけど、どうする?」


「息子さんですか?」


「今は市民軍として徴集されてるけど、戦が無かったんなら無事にそろそろ戻ってくるはずさ。

嫁に行っちまった娘の分まで良く働く自慢の息子さね」


そう言ってギンカは自分の息子を案内に(有料で)貸し出そうと提案してくるが、拓也は彼女の好意に内心はありがた迷惑と感じていた。

なぜなら、荒事が発生する可能性も無きにしも非ずな現状で、ディープな所まで無関係の人間を巻き込んでも邪魔なだけだ。

しかし、拓也にそんなハッキリと口に出せるはずも無い。


「そうですねぇ……

とりあえず、時間が惜しいので自力で探してみます。

もしそれでも駄目な時は、息子さんが帰ってきた後にお願いしようかな」


拓也はジャパニーズスマイルを駆使して、やんわりとギンカの申し出を断る。

それでも彼女にとってみれば、宿の客が入っただけで満足なのだろう。

プラスαで息子にガイドとしての仕事も取れるか提案しただけだったらしく、拓也が断っても特にそれ以上の言及は無い。


「そうかい。

まぁ とりあえず、宿の中に入りな。

それぞれの部屋の鍵を渡すよ」







中に招き入れられた拓也達に割り当てられた部屋は、二つの大部屋だった。

その大部屋二つの鍵を受け取った拓也は、宿に腰を落ち着けた後で、一つの部屋に全員を集めていた。

部屋音真ん中にタマリを座らせ、それを全員で囲む。

彼らの眼光は、先ほどとは打って変わってナイフのように鋭いものになっている。


「でだ。

場所は何処だ?」


タマリの正面で椅子に座る拓也がタマリに問う。

その声や表情は真剣そのもの、ギンカと話してた時のような穏やかな雰囲気は一切感じられない。


「それより、あたいが案内したら仲間に手は出さないって約束は本当だよね?!」


「それは、お前が約束を守るかどうかだな。

とりあえず、こちらとしてはカノエの無事が確認したい。

取引はその後だ」


全ての前提条件はタマリが逃げず、正直に仲間の居場所を吐く事。

それが出来なければ交渉での解決は無しである。


「旦那。絶対だよ?絶対だからね!」


ココまで一緒に連れてきたが、拓也は完全にはタマリの言うことを信用し切れていない。

そして、それはタマリも同じで何度も何度も「約束だよ!」と拓也に念を押す。


「わかったから、さっさとお前の一味の身を寄せる場所を教えろ。

まず、お前の言っている事が本当かどうか確かめるのが先だ」


やっと相手を捕捉できるという事と、これから一番慎重にならなければならないという緊張感からだろうか

タマリに向ける拓也の言葉は冷たい。

そして、タマリもそれを感じているのだろう。

内心で色々な葛藤と戦いながら、無駄なことは言わず最小限の言葉で拓也に盗賊の居場所を話した。


「……叔父の店は、ここから市場を挟んだ町の反対側だよ。

大通りを真っ直ぐ行けば、大きな薬草屋と皮細工屋の間に路地がある。

そこを奥に進むと雑貨屋があるんだ。場所はそこだよ」


「雑貨屋か。看板か何かは出てるのか?」


「いろいろと堅気に売れないものも扱ってるから看板は無かったと思う」


「堅気には売れないもの?」


「盗品とか、ヤバめの魔導具とかだよ」


そう言ってタマリは説明を終えたのか、静かに俯く。


「どうする?とりあえず偵察に行くか?拓也」


場所は分かった。では、次の行動は?とエドワルドは拓也に聞く。


「そうだね。

とりあえず偵察なんでコイツはここに置いて行く。

店を見に行くメンバーも、俺、ヘルガ、エドワルド、アコニー……は面を覚えられてる可能性もあるのでラッツだな。

残りは宿で休憩兼コイツの監視」


「え~、社長あたしも行きたい。

糞犬のお守りなんて嫌だよ」


留守番を言い渡されたアコニーは、イヤイヤと抗議の声を上げるが、今回ばかりは拓也も折れない。


「嫌だも何も、仮に向こうにお前の顔を見た奴がいたら、一発で警戒されるだろ」


「え~ でも、あの時は霧の中だったし、社長達だってその格好で行ったら十分怪しいですよ」


アコニーの指摘通り、拓也達の服装はPMCらしくカジュアルなミリタリーウェアであった。

いくらこの町がいくら人種のるつぼの様な場所でも、異文化圏の服装はそれだけで目立つ。

このまま行けば不用意に人目を引くのは明らかだった。


「そこは行く前に着替えるから問題ない」


適当に古着でも買って着ていけば問題ないだろうと拓也は考えていたが、どちらにしても一緒に行けないアコニーは不満そうであった。


「ぶぅ~……」


「まぁ カノエが帰ってきたら観光する時間もあるから、それまで待ってろ。な?」


アコニーは唇を尖らせて不満を表すが、彼女の不満に一々かまってはられない。

町を見て回るのは、全てが解決した後だ。 

アコニーも拓也がそこまで言うと、自分でも只の我侭を言っていると自覚してたのか、あっさりと引き下がる。


「わかりました。

観光はカノエが戻ってきた後で皆一緒に行きましょう」


お楽しみは全てが解決してから。

そう言ってアコニーはニッコリと笑う。


「よし、他に異論はないな?

無ければ早速出かけよう。

とりあえず、服の調達だ」


・・・


・・










結論から言えば、変装用の服はあっさり入手することが出来た。

宿の女将であるギンカが、彼女の息子の服を格安で貸してくれたのだった。

彼女は、拓也達が自分達の服装は目立つので(建前はサルカヴェロ兵に無駄に絡まれるのが嫌だという事にした)、こちらに滞在している間はこちらの服を着たいが良い仕立て屋を知らないかと聞くと

それだけの為に服を揃えるなんて勿体無いと言い出し、宿の奥から自分の子供の服を抱えてきたのだった。

やはり機械化の進んでいない世界では繊維・服飾業界は貧弱らしく、こちらでは服とは総じて高価なものらしい。

前払いでレンタル料と保証金を取られたとはいえ、結果として拓也達としても安く変装用の服を調達することが出来た。

ギンガからこちらの民族衣装を受け取った拓也達、はそれぞれこちらの民族衣装に着替え、意気揚々と町へと繰り出す。

だが、そんな拓也の服装を見ていたエドワルドが、顎に手を当てながら思ったことをそのまま口に出した。


「……なんだか、拓也がこっちの服を着るとモンゴル人みたいだな」


「ほっといてよ」


確かに、エドワルドの言うとおり、黄色人種がこちらの民族衣装を着るとモンゴル人か何かにしか見えない。

それに対し、コーカソイドのエドワルドは、トゥルク系の部族のような感じで着こなしていた。

町の中を歩いてみると、彼は普通に溶け込んでいるように見える。


「まぁ さっきよりはマシだよ。

そんな事より、さっさと行くよ」


そう言って拓也は歩みを速め、町の中心部にある市場の一角を目指す。

だが、人口こそ多いが高密度に建物が並ぶバトゥーミ。

目的の場所に到着するにはさほど時間はかからない。

到着した拓也達の目に入った目的の場所は、今日は売買が行われていないこともあってか静かなものだった。

会場の最奥にオークション用の舞台があり、その左右にディスプレイ用の牢屋がある建物が並ぶ。

そこには次の競りへ出品予定と思われる人影がチラホラ入っており、奴隷を求める金持ちがそれらを見て回る姿も少なからずあった。


「これが奴隷市場か……」


拓也が初めて見る人身売買の会場に、その存在を改めて確認するかのように小さく呟く。

すると、拓也の呟きを隣で聞いていたヘルガが、拓也の呟く意味を取り違えたのか奴隷市場の概要を説明し始めた。


「まぁ確かに"市場"という名前ですが、扱う商品量はあまり多くないです。

そもそもこっちの世界の奴隷は、殆どがダークエルフの人買いに買われちゃうのが理由なんですよ。

奴隷商人も大口の顧客だから大半の奴隷はオークション無しの直接取引ですし、彼らが奴隷の底値を吊り上げるお陰で、奴隷を買おうって人は愛玩用か特別な理由がある人だけですね。

労働に使うなら、コスト的に人雇った方が安くなるんで」


「え? あ、あぁ。そうなのか……

てか、ダークエルフなんてのもこの世界にはいるのか」


「そうですね。

まぁ 彼らはエルフの眷属みたいなものですよ。

彼らはエルフの補給やら何やらを一手に引き受けてます。

噂ではエルフは人間味に欠けて話がしづらいそうですが、ダークエルフはそんなこと無いって話です。

むしろ狡賢いと有名ですね」


「なるほど。

そんなのもいるのか」


「はい」


なんというか、この世界はファンタジー種族が色々と揃っている。

そのバリエーションに何か作為的なものも感じつつも、拓也は一つの疑問をそれとなくヘルガに聞いてみる。


「……一つ聞きたいんだが、やっぱダークエルフっていうと特徴的な格好なのか?」


「というと?」


「例えば、露出が多く体にフィットした服を着たムチムチの人だったりとか。

ファンタジー世界ではダークエルフはエロいお姉さんが相場な訳だけど、こっちはどうなの?」


拓也は、そう言って自分のダークエルフ像があっているかどうかヘルガに聞く。

というか、元々のイメージの仕入れ元が偏っているせいであろう。

拓也の脳裏に浮かぶイメージは、褐色の肌をしたグラマラスな美女だけであった。


「はぁ?

一体、これからカノエを助け出そうって時に、何を考えてるんですか」


「いや、違うんだ。

別に変な目的じゃない。こっちの世界の仕様が元の世界のファンタジーに似ている部分も多いので、そこはどうなのかなと思っただけだよ。

純粋に学術的な興味といっていい。うん」


しらーっと冷たいヘルガの視線を受けて、拓也は慌てて弁明する。

ヘタに誤解されては、尊敬される社長でいたいという拓也の理想が崩れてしまう。


「そんな、無理して誤魔化さなくて良いですよ……

まぁ 結論から言えば社長の言う特徴に合致してますね。

というか、社長はそういうのがお好みですか……」


「だから、別に不純な目的じゃない。

露出の多い褐色の肌のムチムチとかは別に好きじゃないぞ?

ちょっとした好奇心だ。もし、そいつらにカノエが買い取られていた場合、色々と交渉する事もあるかもしれないからな。

でだ。そのダークエルフとやらはどこだ?」


「多分、奴隷用の牢屋のあたりで品定めでもしてるんじゃないですか」


「そうか……

まぁ、そんな無駄話はコレくらいにして、俺達も奴隷市場とやらに行こうか」


「わざわざ、ダークエルフを見にですか?」


「違う!出品予定の中にカノエがいるかどうかを確認しにだ!」


「本当かなぁ……」


イマイチ信じられないと疑いの目を向けるヘルガ。

拓也も必死に誤解だと伝えようとするが、どうにもヘルガの視線は冷ややかでる。

そんなこんなで、もう誤解を解くのも諦めた拓也は、半ば強引にヘルガにダークエルフを探させる。

まぁ 彼ら自身は奴隷市場の裏にわらわらと居たのだが、物陰から一目その姿を見た拓也は、怒気を混めた視線をヘルガに送る。


「……おい」


「はい?」


「なんだアレは?」


拓也は目の前を行きかう人々を見て、あれは何だとヘルガに説明を求める。


「え?社長の御所望のダークエルフですが?

ああいうのも好きなんですよね?

私的にはちょっと社長に失望しました」


そういって、ヘルガは「はぁヤレヤレ……」といった具合に呆れた表情を浮かべているが

そんなヘルガを見て、拓也はダークエルフと呼ばれる者達を指差しながらヘルガに向かって激怒した。


「あれのどこがダークエルフだ!

タイソンみたいなマッチョの集まりじゃねぇか!!

近づこうものなら、耳食いちぎられてもおかしく無さそうだぞ!」


拓也が指さす先。

そこに居たのは筋骨隆々で肉体にフィットする皮の服を着た巨体の黒人達。

拓也の感じたまま表現するならば、ちょっと耳の長いタイソンであった。

それを見た拓也は思わず抗議の声を上げるが、ヘルガから返ってきたのは冷たい視線だけだった。


「社長がどういうのを想像したかは知りませんが、あれがこちらのダークエルフです」


「くぅ……」


てっきり某ファンタジー戦記に出てくるピロテースみたいなのを想像してたのに、出てきたのがタイソンたっだという事が拓也の心にダメージを与える。


「はいはい。ふざけるのはここまでにして奴隷市場にカノエがいないか探しに行きますよ。

私だからまだ不満を我慢してますが、ここにいるのがアコニーだったら一発殴られてますよ?」


ヘルガのその一言で拓也も反省する。

ダークエルフという単語に少々テンションが高くなってしまったが、今は仲間の捜索中という大事な時期

あまりふざけていると部下の信頼が急降下してしまう。


「……はい。

すんません……」


拓也は短く謝罪すると、気を取り直してディスプレイ用に設けられた牢屋がある建物へと向かう。

ラブホのビラビラのような暖簾によって、入口から内部は見えない様に区切られたディスプレイ用の建物。

もしかしたら、ここにカノエがいる可能性も低くはない。

拓也は一つ深呼吸をすると、その中へと入っていった。


「ここがそうか」


拓也は中に入ると、周りを見渡してひとり呟く


「うーん……

私、こういう空気は好きじゃないですね。

檻の中に居る年端も行かない子供が可哀想で……

大人が捕まる分には、それはその人の責任なので何とも思わ無いんですが、子供の場合は運が悪かったとしか言いようが無いですからね」


牢の中にいるのは年若い少年少女や妙齢の女性を中心とした者達ばかり

彼らは全裸に近いような格好をしている。

そして彼ら全員に共通するのが、世界に絶望したかのように暗い表情を浮かべている事だった。

確かにその表情は、ヘルガが言うように哀れである。


「まぁ、確かにね。

ちょっと、心が痛むかもね」


確かに可哀想ではある。

それは拓也も賛同できる。

だが、拓也としては本当に"ただ可哀想に思うだけ"であった。


「口ではそう言う割に、社長って結構平気そうですよね?」


そんな拓也の様子を見て、ヘルガは意外そうに拓也に尋ねる。

人身売買の無い北海道に住まう人間なら、もっと衝撃を受けるとでも思っていたのであろう。

だが、以外にも拓也は特に堪えた様子も無い。


「昔、あちこち旅してるときに哀れな子供は色々見たからね。

物乞いの時に同情を引けるよう、親に爪剥がされたロマの子供とかブルガリアに居たなぁ

あれは、プロウディフだったか……」


可哀想な子供をスルーするのは、途上国をメインに海外旅行を趣味としている者なら必須技能であろう。

必死に金を要求してくる途上国の子供をいかにスルーするか。

それは重要なスキルである。

個別に金を施していたのではキリが無いし、根本的な解決にはならない。過酷な世の中で少々寿命を延ばすくらいにしか役には立たないのだ。

だから、どんなに同情を引こうと物乞いの子供が集まってきても鉄の心でスルーするのは当然だと拓也は思っていた。

まぁ 拓也が口に出したような爪を剥がされたブルガリアのロマのロリっ娘とかは色々心を揺さぶる経験も多々あったが

そのお陰で、人身売買される子供を見ても平常心は保てている。


「へぇ

社長の国って凄く裕福で平和そうでしたけど、そっちにもそういうのがあるんですか。

……意外です」


「日本には少なかったけどね。

爪剥がされた東欧のロリショタ姉弟とか、いきなりストレートに金くれって言ってくる南アジアのクソガキを見て居るうちに

そういうものをスルーできるスキルを手に入れたよ。

仮に小金を渡した所で救われる訳じゃないし、そういう存在を無くしたかったら、その国の社会を変える以外に方法は無いでしょ?」


「そんな堂々と言わなくても……

それにしても、社会を変える以外に方法は無いんですかね?」


「無いな。

例え個人の都合で困窮しても、社会システムがしっかりしてれば子供が物乞いまで堕ちる事は無い」


「そうですか……」


キリっと決めた顔でヘルガに対し自説を説く拓也。

ドヤ顔で世界の真理を語ったかのような満足に浸ってるが、語られたヘルガは複雑な表情をしている。

そんなこんなで拓也達が奴隷市場内をうろついていると何か探しているという風に見えたのか、市場の職員と思われる男がこちらに近寄ってきた。


「いらっしゃいませ。

当市場へようこそ。何かお探しですか?」


ニコニコと笑いながら話しかけてくる男。

それはまるで、夜遊び紹介所の呼び込みのようなフレンドリーさであった。


「すいません。

ここで出品予定の牢屋を下見できると聞いたんで来たんですが」


「ええ、じっくり見て回ってかまいません。

出品者様方も自慢の商品を展示の意味で預けていかれますし、なんなら探すお手伝いを致しましょうか。

どういった商品がご入用です?

やっぱり、愛玩用ですか?」


そう言って、男は「わかってんだぞ?この助平が」と言いたげな視線で拓也を見てくるが

拓也にとってみれば、時と場合をわきまえない男の質問は、ただただ不快であった。

男だけしか居ない時なら判らんでもないが、ヘルガのような女性も連れている時に何を言ってんだと拓也は思う。

ファミリーで行動中に、風俗の呼び込みに声をかけられたかのような気分の悪さである。


「いや、愛玩用とかじゃなく、知り合いを探しているんだ」


「あぁ なるほど。

奴隷落ちした方を買い戻したいと。

時々そういうお客様もおりますが……、そうなると愛玩用だけじゃなく戦奴の方も見たほうが良さそうですね」


「戦奴?」


「ご存知ありませんか?

奴隷は基本ダークエルフが戦奴用に買いあさっていくので、競に出るようなのは高付加価値のついた愛玩用の性奴隷くらいなんですよ。

だから、お探しの方の適正次第では戦奴用のタコ部屋に押し込まれているかもしれません」


その説明を聞いて拓也は納得する。

このショールームとも言える牢屋に集められたのは、見た目の良い性の対象になりそうなのばかり

その理由は、見た目に付加価値が無いものは全て戦奴行きになり、残ったのは愛玩用の奴隷だけという事だった。


「そうなんですか……

でも、それならやっぱり知り合いは愛玩用の方に居ると思います」


カノエは見た目が巨乳美人。

あれを戦奴として使い潰すには勿体無い。

ならば十中八九そういう目的に売買されるであろう。


「ほぉ。

断言しますね。そんなに見た目の麗しい方なんですか?

なんなら、今ココで特徴を言っていただければ、お探しするお手伝いをしましょう」


男はハッキリと断言する拓也の物言いに興味を持ったようで

自ら進んで手伝いを申し出た。


「それは助かります。

私共が探している人と言うのは、長い青髪の女性なんですが

結構出るトコが出た良い体つきをしてますから、売られるなら愛玩用に送られたんじゃないかと思うんですよ」


そう言って拓也はカノエの特徴をスラスラと男に告げるが、当の男はその特徴を聞いた瞬間にその表情が凍りつく。


「……あ、青髪?」


口元をヒクつかせて男は再度聞き返すが、それに対して拓也は更に細かく説明する。


「えぇ。青空みたいな澄んだ青って言えば良いですかね」


どうやったら人間からあんな色素が出るのか不思議な色だったと拓也は思い返す。

一昔前の太陽電池に使われたようなシリコンの結晶のような見事な青。

そして、何を思い出したのか、目の前の男の顔色も同じように青く染まっていく。


「し、失礼ですが、お客様はサルカヴェロのお役人様か何かですか?」


「役人?いや、一般人ですが。それが何か?」


拓也は質問の意味が判らなかった。

何故ココで役人かどうか聞かれるのか。

拓也は男の問いに正直に答えるが、その答えを聞いた途端、男の表情がガラリと変わる。


「…………馬鹿か貴様。とっと失せろ」


「え?」


先ほどのフレンドリーな対応から一転。

男の口調と表情がまるでヤクザのようなモノへと変わる。


「サルカヴェロの軍が居るのに青髪だぁ?

奴等の施政下で、そんなヤバイ奴扱ってるわけねぇだろ。

分かったらさっさと消えろクズ!」


そう言って男は拓也を睨むと、指をボキボキと鳴らしながら地面に唾を吐く。

だが、当然の如く、拓也はその変化にはついていけない。


「え?そんな、何??」


何が悪かったのかさっぱり判らない。

拓也は男に青髪の何が悪いのか聞こうとするが、男はまともに取り合おうとはしなかった。

そして、その間にも騒ぎを聞きつけてゾロゾロと集まる屈強な悪人面達。

その後、拓也の説明を求める問いかけは、男によって全て無視され、結局、拓也は奴隷市場を追い出される事となってしまった。



「……」


「追い出されちまったな」


突然の事態に、呆然とする拓也にエドワルドが声をかける。


「あぁ」


「それで、どうする?

奴の話しぶりじゃ、ここにはいなさそうだが」


「あ、うん。

まぁ ここがだめならタマリの親戚の店って奴に行ってみるしかないさ。

盗賊の身を寄せた先がそこっぽいし」


とりあえず、何時までも呆けていてもしょうがない、まだ見当が一つ外れただけである。

一つが駄目だったなら次に行くだけだ。

拓也はそう考えてエドワルドの質問に答えるが、それは皆同じ気持ちであった。

そもそも本来は敵の本拠に探りを入れるのが目的であり、奴隷市場は一応覗いて見ただけ。

これからが本来の本番である。


「そうですね。

とりあえずはそちらに行きましょうか。

強襲するにしても交渉するにしても相手の事を知らなきゃどうしようもありませんしね」


「その通り。

今回は偵察。

相手の拠点とそのツラを拝みに行こうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ