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白く輝く帆の下で  ー北の州長の奮闘記ー  作者: きいまき
ロウノームス
88/102

結婚とは。

大変、遅くなりました……。

一気に完結までいきます;;


追記。誤字報告ありがとうございます^^2019/5/24 5/25

(ここに書いて大丈夫かな???)

 結婚式の準備をと考えたところで、僕の頭に疑問が浮かんだ。


 ケラスィンと一緒に見た劇では神殿で結婚式を挙げていたけど、ロウノームスではそうする事が主流なんだろうか?


 流行病前の島では州長館で、新郎新婦の親族や親しい人が集まって顔合わせを兼ねた披露宴を開いていた。

 技術取得へ、他の州へ出た時に見つけたお嫁さんだけが来る時もあった。


 1番良く覚えているのは、花婿の親族やその友人が大勢北の州まで付いてきて披露宴に参列し、何人かは花嫁側の親族等の家にそれぞれ別れて泊まり。

 それでも泊めきれず、何人かが披露宴後にそのまま州長館で泊まった事だ。


 だから州長館が結婚披露宴の会場だったのは間違いない。


 あれ、そういえばっ?

 せっかくケラスィンが僕との結婚を受けいれてくれたっていうのにっ!


「ケラスィンっ! 急いで王都に帰って、王宮に行って、それでロウに会おうっ!」

「お従兄様に? なぜ?」


「ケラスィンと結婚します! って、まだロウに宣言してないっ!」


 断じて、ケラスィンとの結婚を許可して下さい、ではない。

 結婚するという断言だ。


 誰がなんと言おうと僕の最愛の人は、僕の求婚を受け入れてくれたのだから、2人の結婚は当然。


 それでもケラスィンの親族で、一応は保護者であるのはロウケイシャンだ。

 結婚式の前に報告は必須だろう。


「それなら大丈夫よ、エイブ。もうお従兄様もご存知よ」

「そうなの?」


 直接ロウに言いたい気持ちは残っているが、それなら特別急がなくても良さそうだ。


 知っていて、それでもこうして僕の傍にケラスィンが居てくれる事を認めてくれているという事は、僕との結婚は反対されていないとみていい。


 ケラスィンとの結婚をロウから反対されるとは思っていなかったが、認めてもらえていると思うとやはり内心ほっとする。


 すると、マスタシュが口を挟んで来る。


「エイブ。お祭りなんて考えてる場合じゃないぞ。どんなのを考えていたかは知らないが、お前にはケラスィン様との結婚式をどうするかを考える事が優先だからな」


「そうだった」


 初めはお祭りではなく、ロウノームスにおいて結婚したい男女は、どうすれば結婚したと認められるんだろうかと考えていたんだった。


「聞きたい事があったんだよ。ロウノームスでは神殿で結婚式を挙げる?」

「ええ、そうよ」


「王様の時はパレードもしたらしい」

「パレード?」


「王宮から神殿までの通り道を綺麗に飾って、そこを馬車で通るんだ」

「へっ?」


 やっぱり劇の通り結婚式をするのかと思ったのに、パレードって何それっ?

 しかもロウが結婚したのは流行病が下火になってきていたが、まだ落ち着かずいた頃だろ?


 皆が暗く沈んでいただろう、そんな時にパレード?

 つい疑問が口を突いてしまった。


「あ……」


 しまった。

 ケラスィンの表情が一瞬とっても心苦しそうだった。


 そうだよな。

 自分達が守るべき民が苦しんでいる時に、お祝いごとでお祭り騒ぎの宴会をする事などケラスィンは、それにロウだって絶対不本意だったに違いないのに。


 マスタシュも気付いたらしい、慌てて続けてきた。


「昔はもっと派手だったらしいぞ? ロウノームス内外からお偉いさんがいっぱい来て、王城内で数週間ぶっ続けでずっとお祝いの宴会を開いたりしてたって言うし。

 パレードにもそのお偉いさん達が身内を引き連れ、延々と列を連ねてたって聞いた」


「お偉いさんが、いっぱい」


 元老院や貴族とか、各州の代表者とかに違いない。

 しかも数週間も、たぶん宮廷式晩餐会を続けていたんだろう。


 想像しただけで、げんなりだ~。

 つい顔をしかめてケラスィンを見つめて言ってしまった。


「ケラスィン~。僕達の結婚式では、それは止めたいなぁ~」


「そんなに嫌なのね、エイブ。けれど、ごめんなさい。私達が結婚式の内容を決めてしまっていいのかも私は分からないの」


「そうなの?」


「さすがに数週間も続く事はないでしょうけど、今王宮に居らっしゃる各州の代表の方々を歓迎した晩餐会の様に、なってしまうかもしれないわ」


 すっかり忘れてたけど、そういえばケラスィンの婿候補がロウノームスに滞在中だった。


 婿候補が来ても、ケラスィンが大好きな僕の生活は変わらなかった。


 食料増産! 保存食確保! 技術・知識を探せ!

 ケラスィン! ケラスィンっ! ケラスィンっっ!


 いかに前に進むかが僕にとっての最優先で、海に行ったし、各州への街道整備が始まって、奴隷制度の廃止宣言があって、もう1度行った海でロウノームスまで来てくれた幼馴染達と出会えて。


 うんうん。

 これはもう婿候補の事なんか忘れていても、仕方ないと思う。


「そういえば、お祝いに来てくれた方々への返礼品も頭が痛いと、お従兄様は仰っていたわね」

「そんな事まで?」


 神殿で結婚式は確定!


 あ~、各州の皆さん。

 皆さんも食料増産等、いかに皆で生き残りの道を探すかでいっぱいいっぱいだと思う。

 なので、お祝いは一切必要ありません! 以上!


 で、終わりにしたい。

 そんな僕に追い打ちを掛けるように、マスタシュが言って来る。


「そういや、エイブ。結婚後はどこに住むつもりなんだ?」


 だがしかし、この質問になら僕はキッパリと答える事が出来た。


「ケラスィンの部屋に住むっ!」

「まぁっ」


 これは絶対に譲れませんっ!





生活


「ねぇねぇ。ケラスィン様って結婚したらどうするのかな?」

「どうするって?」


「普通私たちだったら、相手の家や相手の部屋で、結婚したら一緒に生活していく事になるじゃない」

「あ~」

「確かに~」


「……青年の家の一室だったわよねぇ」

「……だったわ」


「ちょっと待って。てことは、どこか良い住まいを今から見つけなきゃいけないって事?!」

「貴族達が住んでいた空き屋敷を見繕うべきかしら」


「いやでも、だいぶ解体して畑にしちゃってない?」

「あ~。ほんとだっ」


「……残しとくべきだったかしら」

「……残しとくのに皆が納得する理由がいるでしょ」


「2人の新婚生活用の屋敷として」

「あの時は全く結婚の話出てなかったじゃない」

「無理ね」


「あとな。絶対ケラスィン様から離れたがらない人達も居るからな。屋敷にはそれなりの広さが確実にいるんだ」


「わぁっ」

「びっくりさせないでよ」


「あ~、すまん。でもちょっと考えとくべきだったな」

「ほんとにね」


「もう畑になって、しかも作った作物は美味しく頂いちゃってるわ」

「「う~ん」」



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