B,S2
私殺られてばっかりな気がする…。
#無月 紗那#
「…!」
気配。消してるつもり?
「先生。ちょっと失礼します。」
教室の後ろのドアから少し離れた位置に立つ。
ガラッ
左足を前に出し、身体を右回りに捻る。右足を跳ね上げ、遠心力を付けて打ち下ろす。
「紗ぐほっ!」
踵は確実に、突然ドアを開けた馬鹿を打ち据えた。
踵落としの勢いのまま前宙して、更に全体重ののった両の踵を頸椎へ叩き込む。
「何か毎回酷くないか?」
常人なら頸椎が折れかねない一撃を受け、平然と立ち上がる。化け物か?
「用事が有るなら授業後にしなさい!殺すぞ?」
馬鹿は舌打ちしながら、素直に出ていった。珍しい。
「じゃあ、あとで。」
そう言ってドアを閉める。
静まり返った教室を見渡す。殆どの生徒が赤面していた。何人かは鼻血出している。
…そう言えば今日スパッツはいてない。
「さて、授業の続きをしますか。」
とりあえずスルーしておこう。
それが、3時間前。
そんでもって、今。
#無月 龍人#
「うぅ…痛い。虐めだ!絶っ対に虐めだ!」
こんな事を、3時間前から延々と呟いている。あまり、本心では無い。実際の所さしたるダメージはない。姉弟妹の中で一番堅いからな。
「来たか。」
ツカツカと靴の踵を鳴らし、紗那が歩いてくる。
「待った?」
「待った!」
「様ぁ見ろ(⌒▽⌒)」
紗那→龍人→紗那の順。
酷くないか?と思いつつ、いつものことか。と納得する。…いいのか納得して?
「それで、だ。」
面倒臭いので本題に入る。
「例のインターフェイスに対応したゲームが完成した。6ヵ月も掛けるつもりは無かったんだがな。中々の大作になったよ。」
インターフェイスより先に作り始めていたんだがな。
「へー。で?」
反応薄っ!
「だから、ゲームマスターが必要だ。やれ。」
此が本題。人手が足りないのだよ。
「何で。嫌だよ。」
「いいだろ。どうせ成績もたいしたこと無いんだし。暇だろ?」
思ったことを素のまま口に出す。紗那の表面が変わった。
「死ねや。人が気にしてる事をつらつらと…。むしろ、殺すか?」
最後の方は独白だな。と言うか犯行予告?
「殺されるのは勘弁して。まだ、クリアしてないゲームがあんのよ。」
とてーも冷たーい目で見られた。
「まぁ、暇ならね。また、教室に殴り込んで来たら、絶対にぶち殺す。」
結局良いんじゃないか。さっさと帰ろう。洗濯物片付けなきゃ。
「あっそ。じゃあよろしくねぇ〜。」
冷たい目線をスルーしてサクサク歩く。後ろで凄いため息を疲れた。
そんな、今日この頃。
設定が足りないのだよ。
メインストーリーは未々無理ですなぁ。