ビフォーストーリーだにゃ。
別に全然関係ない小説の伏線でわありませんよ?決して。
ゲームマスターを確保して暫く…
#無月龍人#
3年か。随分時間かかったな。
龍人は、ビルの一室にいた。そこは広大な面積を、ゲームのためだけの超速演算機器とそれを冷却する配管で埋め尽くされていた。
龍人が秘匿した数少ない技術。今の技術から言えばかなりオーバースペックだ。急激な技術革新は混乱を生む。今出して良いような技術ではない。
この場所の管理は、全てAIによって行われている。人の手は必要ない。それでも龍人はここに来た。意味はない。ただ、ここに来た。
「龍屠。礼は言わない。俺が死んだらこの技術は好きに使え。ただそれまでは、この技術も場所も絶対に外に洩らすなよ。」
「分かってるよ。つか、勝手に死ぬなよ。お前にやって欲しい仕事はいくらでもあるんだ。リュート同士もうしばらく仲良くしようぜ。それこそ、死ぬまでな。」
「矛盾してないか?まぁこれからもよろしくな。何だったら会社用にAIを一つこさえたろか?とびっきりのヤツを(笑)」
「あぁ、本社ビルが建ったらな。5年後か10年後か(笑)」
「じゃあ、それまでにゲームのほうをクリアしとかないとな。まぁこのゲームに終わりはないが。とりあえず、ネット回線の敷設の続きよろしくな。今の回線じゃ処理落ちしてしょうがない。」
「任せておけ。今年中には、主要国家全てに敷設が完了する予定だ。しかし、良く一人でMMOVRRPGなんて作ったな。インターフェースも一人で作ったんだろ?奇人変人廃人じゃなきゃ、引く手数多だろうに。」
「引く手数多じゃ研究に集中できん。それにお前に雇われてるだろ。それでいいさ。」
龍人が作ったMMOVRRPGの名前は《Reve-Gallant》。意味は…忘れた。仮想現実世界の中でやるRPGだ。あ、ネットワークゲームだからね。インターフェースは《データダイバー》。脳波とかに直接干渉して意識をゲーム内に落とし込める。起動中は体を動かす信号を途中で拾い上げるため、無意識に動きまわって怪我することは無い。因みにリンク率(外部環境の感覚の遮断率)は80〜99パーセントまで設定出来る。理論上100パーセントまで可能だが、リミッターが付けてある。軍事利用の価値が高いが、龍屠の国際干渉により軍事利用を国際法で禁止されている。
「いつか、休日とってやりに行くから。よろしくな。」
「分かった。待ってるよ。じゃあ俺はアイツ等誘ってログインするから、あとのことは任せた。じゃあな。」
龍人は部屋から出ようと歩き出す。ドアに手をかけたとき、
「無月龍人。お前は一人でやりすぎだ。多少人を頼れ。」
「十分頼ってるよ。灰斗も紗那も俺が研究してる間、生活費稼いだり色々やってくれてる。今度は俺が作ったゲームで楽しくやってくれりゃ文句ないさ。社長さん。アンタももう少し部下を信用するんだな。」
若干捨て台詞のように言いながら、龍人は出て行った。
そして、
その部屋には超速演算機器がただ静かに、鎮座していた。