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ラッキーな俺の韓国軍物語  作者: rumari


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行軍

行軍の始まりは夕方からだった。

真夜中の11時になり、運動場に数百人の人間が集まった。

皆んなが緑色の軍装を背負っているから、まるで亀の大群が現れたかのような光景だった。

俺はというとそんな彼らの姿を最後尾に立って眺めていた。

訓練除外者は皆んな列の最後尾に集められていたのである

俺はその采配に胸を撫で下ろした。

ただでさえ居心地が悪い中で列の真ん中なんかに配置されていたら、胃に穴が開くことは目に見えていたのである。


「最後の訓練だ。出発!」


時刻になって、教官がそう宣言した。

その声と共に亀の大軍は一斉に動き出した。

それはゆっくりとした動きだった。

俺たちは黙々とその後ろについて行った。


そうやって歩くこと30分くらい。

俺たちは街灯の光がない真っ暗な舗装されていない山道を歩き続けて、やっと光の見える場所に到着した。

というか、そこは最初の運動場だった。

俺が知っている限り、行軍というものは目的地を設定してそこを往復するものだった。

だけど、訓練所の行軍は訓練所を大回りで周回を繰り返すものらしい。

そして、運動場についてからは休憩を取るとのことだった。

俺の想定とは違って緩い感じの訓練だった。


「これなら全然行けるじゃん。」


だから、俺は不覚にもそう考えてしまった。

そして、1時間後に俺はその発言を後悔する事になった。


「兄貴大丈夫ですか?」


「ああ…大丈夫…」


口ではそう言ったものの、俺の体調は全く大丈夫ではなかった。

俺は足に走る激痛で頭がおかしくなりそうになっていたのである。

地面に足をつく度、チリッとした痛みが俺の足を刺してくる。

俺の扁平足は俺が思っていたより、酷かったらしい。


そういえば、軍靴でこんなに長く歩いたことはなかったなということをその時やっと自覚した。

運動靴とは違って、耐久度にステータスを全振りしている軍靴は俺の足には優しくなかった。

それでも、ちゃんと1周ごとに休みが取れていたならまだ我慢は出来ていただろう。

だけど、最初の1周目は体調が良くない人が居ないかを確認するための休みだったみたいだ。

それからは3周に一回というペースで休憩を取るとのことだった。


「ぐうう…」


この時、俺は本当に軍装なしにした自分の判断に感謝した。

銃と防弾ヘルメットだけでもこれである。

20キロの軍装なんかを背負っていたのなら、既に脱落していてもおかしくは無かった。

気持ちとしては脱落したかったけど、それでも脱落しなかったのは、俺に残された最後のプライドが許さなかったからである。

他の人は軍装でやっても脱落してないのに、軍装なしの俺が脱落とか。

情けが無くて、許せなかった。

俺は何ともない振りをして、ただ意地だけで足を動かし続けた。


休憩時間になってから、俺は直ぐに軍靴を脱ぎ出した。

そして、必死に5分くらい足のマッサージした。

だけど、一向に足は治る気配がなかった。

その一瞬だけは、訓練を完全に諦めることも考えるくらいだった。

そうして俺が痛みで踠いている所に助教たちがきた。


「ほれ、受け取れ。」


そう言って、助教は俺に何かを渡してきた。

それはチョコレートバーと水だった。

消耗したカロリーを補充させるためのものらしい。

俺はそれを受け取って直ぐに食べ始めた。

何の変哲のないチョコレートバーだったけど、久しぶりのシャバの味ということもあってか物凄く美味しく感じられた。

助教が言うには次の休憩時間にもこれをくれるらしい。


「…」


俺は無言でチョコレートバーを見つめた。

もう一本食べたい所だけど、ここで諦めたらこれって食べられないよなと思った。

20キロを歩く理由にしては、少し馬鹿な理由だけど、そういう邪な考えでもしないと訓練を完走出来そうになかったのである。

俺はその時だけ馬鹿になることを決めた。


それからの俺は無心で歩みを進めた。

いくら足が痛くても足を止めることはしなかった。

休みの時間にはずっと足をマッサージして何とか回復を促した。

人生でこれだけの根気を見せた場面はないくらいに頑張って歩いた。

そうしていると、いつしか周りが明るくなっていて、行軍は終わっていた。

そうやって俺は訓練所での全ての訓練を履修することに成功した。

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