整理整頓
自分でいうのも何だけど、俺という人間はかなり不器用で、だらし無い性格をしている。
当たり前だけど、軍ではこんな性格が役に立つ場面なんてない。
それどころか、自分の足首を掴むような場面が多かった。
特にそれが発揮されたのは整理整頓の場面だった。
「入れ!入れ!」
俺は自分の押し入れに荷物を必死に詰め込むようにした。
しかし、俺の力づくの押し込みにも関わらず、中々荷物は入り切らなかった。
前に管物台が布団の横幅くらいの大きさはあると言ったけど、それを全部保管場所として使えるわけではなかった。
管物台は縦長で天井までは届く大きさをしていたけど、実際の収納空間は小さかった。
下の部分は布団を入れる空間で、管物台の実際の面積の4分の1を締めていた。
そして、その残りの面積の内、2分の1は服を入れるところで、残りの8分3のは軍靴と運動靴、防弾ヘルメットを入れるところだったのである。
更に、それらの場所には他の物を入れることを命令として禁止されていたので、実質使える収納空間は8分の1に過ぎなった。
「こんなの全部入れるなんて無理じゃん。」
そう思って周りを見渡したところ、他の分隊員たちは問題なく荷物を詰め込めていた。
とういうことは俺が問題なのか…
自分なりになるべく多くの物が入るように工夫して入れたつもりだったのに…
どうやらタオルや下着とかの衣類の畳み方が甘かったらしい。
俺は布類を全部引き出して畳み直すしかなかった。
「これも検査するみたいだからな…」
教官が言うには何と荷物の整理具合も検査するみたいだ。
俺はこのことにお母さんかよと突っ込まずにいられなかった。
整理整頓の検査なんて家でも小学生以来受けたことがない。
しかも、教官によるとこれから不審検査もするとのことだった。
だから、俺は必死に荷物を整理した。
それから1時間後くらいに俺は、何とか全ての荷物を保管台に詰め込むことには成功した。
途中、転生者にも頭を下げたりして手伝ってもらったことが功を奏した。
「うわあ…何これ…」
しかし、どうやらちょっと限界まで詰め込み過ぎたみたいだ。
俺の保管台で少しトラブルがあった。
俗に軍でカルカルイと呼ぶ防寒着は斑点みたいな物が出来ていた。
俺はその斑点の匂いを嗅いでみた。
「けっ、油臭い。」
それはオイルだった。
保管台の中でオイルと呼べるものは一つしかなかった。
そして、それは銃器の手入れに使う鉄錆を防止する工業用のオイルだったのである。
それもかなりの量が漏れていたようで、俺の防寒着はとても着れる状態ではなかった。
俺はその防寒着を見てしばらく考え事をした。
こういうのって水洗い出来ないんだよね…
中に綿とか詰まっているはずだし、今更水洗いするとしても、使えるのはいつになるかわからない。
それにこのことがバレたらどうなるんだろうか?
あの教官たちのことだから、怒られることは目に見えている。
「まあ、良いか!」
俺はそこで思考を放棄した。
どうせ防寒着はコートで事足りる。
実際にコートだけでも暑いくらいだったのである。
そう思った俺は保管台の奥底に防寒着を丸めて隠した。
この時は本当に何も考えてなかったんですけど、この選択は後にとんでもない事態に発展します。
洗濯をしない選択をした結果ってわけですね。




