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シェア傘ラプソディ♪  作者: 宮本葵
6月1週目「取り替えの始まり」
7/26

6月7日「湊くんも好き?」

今日の帰り道も、やっぱり雨だった。最近温暖化が進んでいるとはいえ、九州は東京という大都市とは違って、結構雨が降る。


雨が降っている窓の外の方を見ながら昇降口へ向かうと、同じようにガラス越しに外を見ている雨音の姿がみえた。


「……また相合傘するのか?」


俺が近づくのに気づいた雨音は小さく頷いた。

昨日よりも笑顔が自然で、どこか安心したように見えた。


「毎回毎回ごめんね。あ、あと傘、自分で直してみたんだけどね。やっぱりダメだったんだ〜」


そう言って、持っていた傘を少し傾けて見せる。骨がひとつ折れていて、開くと不格好になる。


「もう新しいの買ったほうがいいだろ」


俺がツッコミを入れる。逆に半分傘がないような状態からここまで戻せる根性がすごいな。


「うん。でも、もう少しだけ……こうしててもいいかな」


「…へ?それはどういう意味で…?」


「フフッ。教えないよ〜」


雨音はそう言って、ためらいなく俺の傘の中に入ってきた。

その仕草があまりにも自然で、俺は何も言えなかった。


なんで?わざと?本当に新しい傘を買いたくないだけか?

……まさか俺のことが好き、とか?いや、それは俺がなんか嫌だな。あの親衛隊がいるし。だけど、実際俺は雨音のこと嫌いなのかと聞かれると、そうではない。好きよりの好きだ。ただ、恋愛感情ではないのかもしれないけど。


色々、俺が考えていることもあって、二人きりの空間でしばらく無言になる。雨の音だけが、二人を包んでいた。

今日は一昨日や昨日の2日間のように、親衛隊とかに邪魔される気配もない。雨粒と足音だけが響いている。


「……静かだな」


思わず呟いた。周りに下校する人も少なく、シンとした道路だったからだ。


「うん。今日はすごく静かだね。昨日とかがうるさかったくらい。」


並んで歩く足音が揃っているのに気づいて、なんとなく胸が熱くなる。

昨日の涙、昨日の言葉。いまに思えばめっちゃ恥ずいことやってね?俺。


角を曲がったとき、雨音がぽつりとつぶやく。


「ねぇ、湊くん。こうやって歩いてるとさ……放課後がちょっと特別に感じるんだ〜」


「え?」


「湊くんも、好き?こうやって一緒に歩くのは?」


「っ……!まあ、普通だな。面倒ごとに巻き込まれるって意味では嫌だけど。」


「うわー!照れてるの?照れてるの?なんか可愛い〜」


からかわれて、思わず顔が熱くなる。

さっきへんな想像してから、最初「湊くん好き」って聞こえて心臓が跳ねてしまったことは秘密にしておこう。


――今日も雨。

でも、不思議と悪くないかもな。

平和だねえ。平和。

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-著者 宮本葵-
茨城県南部出身。中学2年生。最近、何かと運が悪い。やばいと思い、神社へ駆け込み、お祈りをしていたら、たまたま知り合いと会った。小説を書いていて、まあまあ見られていることを話すと、絶対嘘だろと馬鹿にされたので、あとで、スタ連をしておいた。また、どうも最近は小説を書けない。書けなさすぎて、頭が痛くなって、毎日投稿ストップしてました。すみません。

宮本葵の他作品
誰も信用できなくなった俺の前に、明日から転校してくる美少女が現れた。
僕の中学校生活がループしているので抜け出したいと思います。
Silens&Silentia シレンス・シレンティア
最後の7日間 〜吹奏楽コンクール県大会まで〜
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