6月20日「でも、本当に頑張ったね。」
また投稿遅れてすみません。忘れてました。
今回は短めです。
朝から学校全体が妙な緊張感に包まれていた。
昇降口ではいつもよりざわつきがあり、教室でも「誰に入れる?」なんて声がひそひそと飛び交っている。
「湊、大丈夫か?」
俊介が席に腰をかけながら小声で聞いてきた。
「……さあな。もう俺にできることはないし」
雨音は隣の席でノートを閉じ、俺を見て小さくうなずいた。
「ちゃんとやったんだから、大丈夫だよ」
その言葉に少しだけ力が抜けた。
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体育館へと1年生から順番に集められ、実際使われている投票箱と机を市から借りて、それを使って投票をするらしい。
体育館の空気が一段と張り詰める。
俺は順番になって机の上に置いてあった白い紙を見つめる。
――ここに名前を書くことで、みんなが決めるんだ。今日が運命の日なんだ。ー
手を震わせながら書き終えて、投票箱に票を入れた。
箱の中に自分の票を落とす瞬間、心臓の音がやけに大きく響いた気がした。
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「ふぅー、終わったな」
俊介が両手を伸ばして椅子にもたれる。
奈々子がくすっと笑いながら「湊、顔真っ青だったよ?」とからかう。
「うるせぇ……」
その横で雨音は静かに微笑んでいた。
「でも、本当に頑張ったね。明日が楽しみだよ。」
その笑顔を見て、緊張から解放されたのか、肩の力が抜けていく。
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昇降口で靴を履き替えたあと、自然な流れで雨音と一緒に歩き出す。
夕暮れに染まる道を並んで歩くのも、もう当たり前のようになっていた。
「明日の発表、どうなるかな」
「……正直、怖い」
俺が漏らすと、雨音は小さく笑った。
「でもね、もし湊が受からなくても、私はちゃんと応援するから」
「……お前な、さらっと言うなよ、そういうの」
「え、なに? 別に普通のことじゃない」
雨音は首をかしげて笑う。その無邪気さに、不意に胸が熱くなる。
――明日、結果が出る。
それがどんな形であれ、この数週間が無駄じゃなかったことだけは確かだ。
俺は心の中でそう呟いた。




