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シェア傘ラプソディ♪  作者: 宮本葵
6月2週目「親衛隊撲滅大作戦」
11/26

6月11日「ふふ、カッコよかったでしょ?」

翌朝、教室はともかく、学校中が妙にざわついていた。

どうやら一昨日の“氷事件”が学校中に広まったらしい。クラスメイトの視線は俺と雨音にチラチラと注がれて、まるで「お前らが中心だろ」と言わんばかりだった。昨日と状況が変わらん。


「……めんどくせぇ」


思わず机に突っ伏すと、すぐに横から声が飛んでくる。


「湊くん、本当に大丈夫?」


振り返ると、いつもと変わらない可愛くて安心できる雨音の笑顔。でも、その目だけは冷たく暗黒に光っていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


放課後。

昇降口でまた雨音と相合傘になった。だが今日はいつもと違う。

昇降口を出た途端、廊下の隅から数人の男が立ちふさがる。そう、あの“親衛隊”だ。


「おい、そこの野郎。何してるんだ、テメェは?」


「お前さぁ、最近調子乗りすぎじゃね?」


「雨音ちゃんと毎日帰るとか、どんな夢見てんの?」


「やんのかぁ?おい!」


あからさまな敵意に、俺は思わず後ずさった。


(やっぱり来たか……。だけど今度こそ俺が雨音を守らなきゃ…!)


と思ったら、その瞬間に、雨音が一歩前に出た。


「もうやめなよ。」


低い声。クラスの中心にいるいつもの快活な雨音じゃなくて、“委員長”としての顔だった。


「昨日の件、もう先生たちが把握してるんだよ? これ以上やったら、本当にただじゃ済まないから。」


「な、何言ってんだよ、雨音ちゃん。俺らは心配して――」


「心配?笑わせないで。私のこと、本当に心配してる人がこんな嫌がらせするわけないでしょ。本当にやめて。私いやなんだけど、そう言うことする人。告白してきた時もそうだけど、本当にしつこいよ。私あなたたちのこと嫌いだから。」


ピシャリと断ち切るような声。

その場に重たい沈黙が落ちる。


俺は横で固まっていたが、雨音の背中が妙に大きく見えた。


「湊、行こ。」


その一言で俺は傘を差し出し、二人でその場を通り抜けた。また呼び捨てだ。真剣になると呼び捨てになっちゃうのだろうか。

背後から怒鳴り声が飛んできたが、振り返らなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「……雨音。」


「なぁに?」


「さっきの、めちゃくちゃカッコよかった。」


「ふふ、カッコよかったでしょ?でも、これで終わらせるつもりはないから。」


「え…?何をするつもりなんだ?」


「もううんざりだから、あの親衛隊を撲滅させるの。社会的に抹消させたい気分だし。」


雨音の横顔には、いつものおどけた笑みじゃなく、決意の色が浮かんでいた。

――こうして、俺と雨音(とその親友たち)の“親衛隊撲滅作戦”が始まった。

マイニチコウシン、キツイ

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-著者 宮本葵-
茨城県南部出身。中学2年生。最近、何かと運が悪い。やばいと思い、神社へ駆け込み、お祈りをしていたら、たまたま知り合いと会った。小説を書いていて、まあまあ見られていることを話すと、絶対嘘だろと馬鹿にされたので、あとで、スタ連をしておいた。また、どうも最近は小説を書けない。書けなさすぎて、頭が痛くなって、毎日投稿ストップしてました。すみません。

宮本葵の他作品
誰も信用できなくなった俺の前に、明日から転校してくる美少女が現れた。
僕の中学校生活がループしているので抜け出したいと思います。
Silens&Silentia シレンス・シレンティア
最後の7日間 〜吹奏楽コンクール県大会まで〜
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