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凍死はごめんだ

地下迷宮のさらに奥深く、リュウ、アイリス、ガロン、セラは重たい扉を押し開け、一歩足を踏み入れた瞬間、冷気が彼らの身体を鋭く刺した。


「…寒い…!」


アイリスは思わず肩をすくめ、白い吐息を吐き出した。


部屋全体は氷で覆われ、壁や天井には鋭い氷柱が垂れ下がり、床は滑りやすい氷の層に覆われていた。中央には巨大な氷の柱がそびえ立ち、その中には古代の装置が凍りついていた。壁際には複雑な模様と謎めいたルーン文字が彫られている。


「ここは…寒さの試練か」


ガロンは息を白く染めながら、周囲を警戒した。


セラは壁の文字を指差し、震える声でつぶやいた。


「『心の火を見つけし者、氷の牢獄を解き放つ』…どうやら、正しい方法でこの氷を溶かさないといけないみたい」


しかし、寒さは刻一刻と彼らの体力を奪っていった。リュウは凍える手をこすり合わせながら、冷静に地図とルーンの配置を比較する。


「この模様…もしかして、光を反射させるパズルかもしれない」


アイリスは氷の壁を慎重に叩き、「音が違う部分がある。ここが何かの仕掛けなのかも!」と指摘した。


彼らは手分けして模様や装置を調べ、氷柱の反射と影の位置を確認しながら解読を進めた。しかし、寒さは容赦なく襲いかかり、セラの唇は青ざめ、ガロンの動きも鈍くなる。


「くそ…このままじゃ凍えてしまう!」


リュウは焦りながらも、仲間たちの不安を抑えるように声を張る。


「諦めるな!必ず道はある!」


アイリスが震える指で氷の模様をなぞると、微かに光が走った。


「見つけたわ!この模様、正しい順序で触れると…」


彼女が順に模様を押すと、装置から暖かな光が放たれた。その光は部屋中の氷を溶かし、温かな空気が広がる。


ガロンは安堵のため息をつき、「ふぅ…やっと肩の氷が取れたな」と冗談を交える。


セラは微笑みながら、


「…やっぱり、心の火は仲間の絆だったのかもしれないね」


その言葉にリュウが頷き、


「確かに。でも、ガロンの冗談も少しは暖かさをくれるよ」と笑う。


アイリスは腕を組みながら、「私たち全員が揃っているからこそ、この旅も意味があるんだよね」と真剣な表情で語る。


ガロンは仲間たちを見渡し、「そうだな。お前たちがいるから、どんな困難も乗り越えられる気がす」としみじみと言う。


皆が静かに頷き、焚き火の周りに温かな空気が広がった。


寒さの試練を乗り越えた彼らの絆は、さらに強く結ばれていた。

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