プロローグ
「アナスタシア、どうして……」
これは人々に愛された乙女ゲーム「剣と魔法と乙女の祈り」の最終章の一幕。
「あはははっ、酷い顔! 他人を使って遊んでいるのも楽しかったのだけど、それももうお終い。だって、わたくし自身が手を下した方がはやいもの」
天使のような笑顔の裏で主人公たちを騙し、陥れてきたアナスタシア・リヴィエールが、その本性を表す瞬間だ。
信じていた人の裏切り、両親の仇。
ようやくやってきた復讐の機会にアナスタシアは、ついに禁断の魔術へと手を伸ばす。
「───待て、アナスタシア!」
止めに入った青年の声は届かず、アナスタシアはにやりと不気味な笑顔で笑った。
「出てきなさい、アルカード」
そして、アナスタシアの言葉で、辺り一面が闇に染まり、彼女の影の中からは恐ろしい悪魔が出てきたのだった。
地面は揺れ、世界は闇に包まれた。そんな中でもアナスタシアはただ一人、楽しそうに笑っている。
「さあ、始めましょう! わたくしの復讐を!この世界の破滅を!」
どちらかが死ぬまで終わらない。──その言葉に目の前の青年は絶望した。
この絶望を終わらせることができるのは、選ばれし乙女の祈りだけ。
──さあ、最低最悪の悪女アナスタシア・リヴィエールを殺すのだ。