第3話 私が魔法使い!? 青い光が運命を変える
今回のエピソードでは、ついに世未が魔法の力に目覚めます!初めて魔法を発動する瞬間の緊張感や喜びを楽しんでいただけたらと思います。そして、青い光が何を意味するのか、物語の核心に少しずつ近づいていきます。ぜひ最後まで読んでくださいね!
「よし、案外話が早いじゃないか。そうしたら世未、オーブの間に案内しよう」
グイっと私の手首を握られ、強引に引っ張られる。急な距離感の無さに心臓がバクバクと高鳴り、驚きと戸惑いで頭が真っ白になる。初対面なのに、この人何なの……?顔から火が出そうな程顔の熱さを感じる。気持ちと足が同時に動き、軽いパニック状態に陥る。深呼吸をして心を落ち着けようとするが、心臓の鼓動はなかなか収まらない。
「痛た……ちょっと、離してください!(この人、思ったより強引!)」
「ルロンド、女の子をそんなに乱暴に扱っちゃ駄目だよ」
「悪かったな、急いでた」
「もう、急に引っ張るからビックリしました」
速まる心臓を押さえながら、私は、紫色の壁に覆われた小部屋に案内された。目の前には大きな水晶が置いてある。
「オーブの間は、君の適性を見つける場所なんだ。そんなに難しくないから、安心して。」
と、サージェが謎のオーブについて説明をする。
「できれば赤がいいんだがな……」
ぽつりと呟くルロンドさんの一言が気になったが、言っている意味が分からない。私は言われた通り、透き通った透明の石に手を当てた。すると、急に光を放ち出し、青色に変化したのだ。
「青か……世未のジョブは魔法使いだな」
「私、魔法なんておとぎ話で知ってるくらいで使えませんよ!」
焦って答える私に対して、ルロンドさんの表情は自信満々だった。腕組をして、ニヤリとしている。
「俺が特訓してやるから、安心しろ。俺の第5部隊にも同じ魔法使いが居る。そいつも俺が教えたから、必ず魔法が使えるようになるさ。」
だんだん目が回ってきて、足元がふらつく。訓練所の厳しい雰囲気に圧倒され、緊張感が一層高まる。そもそもこの惑星を救うというだけで脳がオーバーヒートしそうだというのに、次から次へと予想だにしない事が起きるためだ。私、本当にこの惑星で生き延びて帰れるんだろうか……とても不安でしかない。
と思っていた矢先に、突然、床が揺れ、大きな音が訓練所全体を包み込んだ。壁にかけられた武器がカタカタと音を立て、不安感が一気に押し寄せてきた。慌ててサージェさんが召喚の間の方角に向かい走っていった。一体何があったのだろうかとも考えようとしたのだが、私はルロンドさんに訓練所へ案内されて魔法の使い方を指導されることとなった。
♦♦♦
訓練所には、壁一面に並ぶ武器や防具、そして棚には様々なアイテムが整然と並んでいた。
「まずは身なりを整えてもらう。このローブに着替えてきてくれ。そうでないと魔法が使えないからな」
よく服屋にある試着室のような狭い部屋に入り、着替えを始める。実際試着して気付いたが、ローブの素材はとても着心地が良く、サイズも丁度良かったので安心した。支度が終えたためルロンドさんに声を掛けたら、木造の杖と分厚い本を渡された。ひとまずこの杖と本を使用して戦うことになるらしい。重っ……と感じたが、見た目だけで、ローブの仕様で重さを感じない仕組みになっているらしく、画期的な機能がついていた。
「それではまず、その魔導書を開いて初めのページの通りの呪文を唱える。ただそれなりの集中力が必要だ。それでいて敵がこちらに向かって来ることを想定すると、なるべく早口で唱えることが必要だな。仲間が前線で戦っている間のサポートになるだろうから、効率も重視した方がいい」
「まさに魔法使いって感じですね」
「そして魔力についてだが、魔法を使えば使うほど上がっていく仕組みになっている。そこでこの訓練所だ。よほどの事でもない限り丈夫に造ってあるから、模擬戦は必ずここでやること。そうだ、肝心の文の読み方なんだが、ちょっと特殊な文字を使ってあるから読むのに一苦労かもしれない」
魔導書と云われる分厚い本を開いた。
「……あれ、どうしてだろう?――この文字読めます」
世未が驚いていると、ルロンドは顎に手を当て、眉間にシワを寄せた。
「おかしいな……。この文字はこの国に生まれた者以外は読めないはずだ」
サージェも驚きを隠せないようだった。
「普通なら解読するのに何年もかかるんだけど……君は一体……?」
私はその言葉に戸惑いながらも、思い切って呪文を読んでみることにした。
「……まぁ、わかった。じゃあ早速、あの人形模型に向かって読んでみてくれ」
確かに知らない国の文字が読めるなんて、おかしい……と私も驚いたけれど、原因がわからないのに考えても仕方がない。私は手を掲げ、魔導書の文字を読み上げた。
「炎よ、我が手に宿れ!燃え盛る光と共に敵を討て!」
呪文を唱えた瞬間、掌に眩い光が溢れ、赤々と燃える火球が生まれた。空気が一瞬だけ震えたように感じた――。
「えっ……本当に……できた?」
戸惑いながらも喜びが湧き上がる。火球はまるで生き物のように脈動しながら、目の前の人形に向かって一直線に放たれ、素早く人形模型を横切った。命中こそしなかったが、見事に魔法を使うことに成功した。手の平から炎が浮かび上がる瞬間、驚きと喜びが一気に押し寄せ、胸が高鳴るのを感じた。
読んでいただきありがとうございます!世未が魔法使いとして一歩を踏み出した今回の話、いかがでしたか?青い光と火の魔法の秘密は、これから物語をさらに深くしていきます。次回も彼女の成長と新たな展開をお楽しみに!よかったら感想もお聞かせください!




