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第82話 女神様の答え

『私の名前はカオス。この世界を創造した原初の神にして、混沌と無秩序を象徴。史上最悪の悪神です』

 

 ――は?


 ――混沌? 無秩序? 世界最恐? ……史上最悪の悪神?

 全く意味が分からない。

 理解が追いつかない。

 女神様が史上最悪の悪神?


「ふーん。史上最悪の悪神様ね……。とてもそんな、たいそうな存在に思えないだけど。嘘をつくならもっとましな嘘をつきなさいよ」


 ――いや、事実なのだろうから、それを考えても意味がないのだろう。

 ならばなぜそんな存在が、僕たちの命を救ってくれたのだろうか。

 いや、どうせこれも自分一人では答えが出ないのだから考えても無駄なのだろう。

 あー。本当に嫌になる。

 思えばこの世界に来たきっかけとなったあの出来事以来、あらゆる出来事に理解が追いついてきていない。

 

『――どうやら、あなたは相当重傷な節穴のようですね。眼科に行って、いや目だけの問題ではないかも知れませんので、いろんな科の入った大きめの病院に行って治してもらうのをおすすめしますよ。』


 ――それもそのはずだ。

 ここは異世界なのだ。

 常人に理解が追いつけるはずがない。

 どうせ理解できないのだ。

 できないと決まり切っていることに対して努力をするなど無意味の行動だ。

 そう考えて、思考を放棄することができればどれほど楽に生きれただろうか。

 僕が一人だったなら、とっくに放棄をして自分一人で楽になって生きただろう。


「あ! そっか。嘘じゃなくて、覇気がないだけだったのね。そういう人いるわよね。肩書きだけ凄くて、実力不相応だからまったく覇気がない人。ほんとごめんね。あー。それと、さっきは幼稚な嫌みをいってくれてありとうね」


 ――しかし、僕は一人ではない。

 守らなければならない存在が横に立っている。

 この世界でりえの横に立つのは僕なのだ。

 僕が支えてあげなくてはならないのだ。

 りえのため、僕自身のために。

 だからこそ、理解が追いつかなくとも構わない。

 思考の放棄など絶対にしない。

 よし、がんばろうって、なんかものすごい雰囲気になっているんですけど!


『――あはは……。あなた一体何を言っているのでしょうか。ちょっと低レベルすぎて理解できませんね。それと、そろそろ心優しい私も怒りますよ』

「お! 出ました! 怒るよ宣言! いやぁー。さすがは史上最悪の悪神様ですね。かっこいいです! 」


 今回は簡単に理解できた。喧嘩だ。

 女子同士の喧嘩は男子同士の喧嘩の数百倍は怖いので、本当に嫌ではあるが、今回も止めに入るとしよう。


「二人とも、そこまで! 今は喧嘩してる場合じゃないでしょ! 」

「は? これのどこが喧嘩なのよ。ただ、子供のわがままに付き合ってあげてただけじゃない」

『こ、子供!? なんで十数年しか生きていないお子様にそんなこと言われなくちゃいけないんですか! 』

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて。……はぁ。もう話戻しちゃいますけど、それでどうしてあなたは死にたいと思うのですか? 」


 ――そう、今聞きたいのは女神様はなぜ死にたいのかという疑問なのだ。

 死にたいと思うのならそれ相応の理由があるに決まっている。

 その理由すべてを教えてくれるなどとは最初から思っていない。

 そして、その教えてくれなかった部分をも想像で理解してあげられるとも思っていない。

 それでも聞いて、少しでも理解しなければならない。


『あ、そうでしたね。……遡ること約一万程前。私は英雄クロノスによってこの地に封印されました』


 ――封印? 英雄クロノス?

 まったく意味が分からないが、重要な用語であることには違いないだろう。


『そして、この封印を解こうと、私が創造した大地のガイアを含む五大神の一部、いやガイア以外のみなが暴走し、多くの人に迷惑を今もかけているのです。ちなみにあなた方二人をもとの世界で襲った、夜のニュクスもその一人です』


 ――ガイアたち五大神が女神様をどうにかして救おうと頑張った結果、多くの人様に迷惑をかけていると言うことなのだろう。

 そして、迷惑をかけられた被害者の中の二人が僕とりえということだろう。


『――私は約一万年もの間、この何の楽しみのないこの小さな空間に閉じ込められていました。もうこれ以上は苦しみたくないと正直思っています。それに私が死ねば五大神の暴走は止まることでしょう。どうですか。私の死にたい理由は』


 ――長かった孤独から解放されたいという気持ち。

 自身が生み出した者たちの暴走をなんとしてで求めたいという気持ち。

 死にたい理由としては確かに十分であった。

 だからこそ、さらに僕の頭を悩ませるのであった。

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