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第8話 “自称”冒険者になったからよろしく!


 つい先ほどまでただの中学生だった僕が、まさか異世界召喚されて、異世界ファンタジーのような完璧な最強主人公なるとは……。一体誰が予想できただろうか。

 最強主人公としてこの異世界で無双むそうする将来の自分の姿を想像するだけでにやにやがとまらない。


「いきなりにやにやしだしてどうしちゃったの? やっぱり頭でもおかしくなっちゃた? もとからおかしいのにそれ以上とか、もはや私の手に負えないんですけど」


 今はっきりと、『もとからおかしいのに』と言ったな、コイツ。

 まあ、でも、今の僕は超絶上機嫌ちょうぜつじょうきげんなので今回は特別に許してやるとしよう。


 それにしても、なぜりえはパニックに陥っているのだろうか。そりゃ、もちろん異世界に来たのだから多少のパニックになるのは分かるけど、最強主人公となった僕たちはもはや怖い物なしだ。

 何に対してうろたえているのかが僕には全く理解できない……あ! そっか! そういえばりえはあんまりアニメとか見ないんだったな。

 それなら異世界ファンタジーの定番を知らなくてもしょうがない。ここは自他共に認めるアニメヲタクであるこの僕が教えてあげるべきだろう。


「チッチッチ」

「口でそれ言う人始めてみたんだけど……」

「ゴホン! りえ君、君は何をうろたえているのかね? 我々は異世界召喚されたのだよ。つ、ま、り! 我々は異世界ファンタジーのような完璧な最強主人公なったのだよ。そう! もはや今の僕たちは怖い物なしだ! 」


 よくアニメとかにある一昔前の学校の先生っぽく話してみた。

 最初の咳払(せきばら)いといい、いつもはしない渋い声で話したこといい、我ながらなかなかのできではないだろうか?

  今度こそりえに好評をいただけるだろう。


「こういう異世界ファンタジーの世界ではまず、ギルドに行って冒険者登録をするものなのだよ」

 

 まずギルドに行って冒険者登録をするのは、異世界ファンタジーの世界ではド定番である。

 ……ってアレ? ギルドってどこにあるのだろうか? まあ、その辺の町にとりあえず行っとけばあるだろう。

 ……って町はどこにあるんだろう? よくよく考えるとここは見渡す限り一面に広がる何もない草原である。

 ……ん? これって……も、もしや。や、やばい状況なのでは?


「あのねぇ。さすがに気づいているとは思うんだけど、このままだと私たち、餓死がしするわよ。葵の言うように、私たちが最強な主人公になっているのだとしてもさすがに餓死は耐えられないでしょ。それにギルドってどこにあるのよ。こんな何もない草原にあるようなものじゃないでしょ? さっきも言ったけど、水もなければ食料もないのよ。そして一面に広がる草原。わ、た、し、さ。とってもやばい状況だと思うんだけど? あんなにかっこつけて話してた葵なら打開策があるのよね? あんなにかっこつけてたんだもの。当然よね」


 先ほどの満面に笑みと同じかそれ以上の会心の笑顔を見せてきた。

 こ、怖い。やっべぇ! どうしよう。こ、こういうときはアレだ。とりあえず謝ろう。うん。それしかない。


「す、すいませんでした!!! 」


 僕は華麗かれいにジャンピング土下座を敢行かんこうした。

 ここで言い争ったとしても、口が達者たっしゃなりえに勝てるわけがない。無様に言い負かされておしまいだ。

 ならば、さっさと謝ってしまった方がお得というものだ。


 それにしても本当にどうしよう。

 ギルドどころか町にたどり着くまでにこんなにも苦労を要するなんて聞いてないだけど……。


「ふう。……まあ、打開策じゃないけどけど一つ画期的なアイディアがある。ここにいたって餓死するだけなんだからさ、適当な方向にとりあえず歩いて行くってのはどうかな? 」


 ひたいの汗を手でぬぐいながら立ち上がり、僕の画期的(かっきてき)なアイディアをりえに伝えた。


「ハァ……どこが画期的なアイディアよ……でも、それしかないわよね」


 りえも文句を言いつつも承諾してくれたので残る問題は、歩いて行く方向だけである。

 こういうときは神に任せるのが一番である。


「じゃあそれで決定でいいね。後は歩いて行く方向だけだけど、こういうことは神様の導きに従うべしってことで、この木の枝で歩いて行く方向を決めない? 」

「何それ。子供みたい。でも、自分たちじゃ決められないってのも一理あるからな~。葵の言うことって的確なんだか的確じゃないんだか本当に分からないだけど。……まあ、そうね。あの枝の倒れた方向に歩いて行きましょうか」


 ――僕たちは近くに落ちていた木の枝を使って歩いて行く方向を決め、歩き出した。

 ギルドとかで正式に登録していないのでまだまだ”自称”ではあるが、やっと僕、“自称”冒険者 立花葵の冒険は幕を開けた。


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