表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/100

第72話 ドSの卵

「――ってわけ! 分かった!? 」


 僕の名前は立花葵。

 現在、僕は女子二人の前で、許してもらおうと土下座をして、ひたすらに謝っている……。

 

 ……いや、スカートめくりとか盗撮とかそういう嫌らしいことをしたんじゃなくて!

 僕がやった罪は、ちょっとしたまずいことを口走ってしまっただけ。ただそれだけのことだ。


 普通は一言ごめんと言えば許してくれるとは思うのだが……。

 それほどヤバいを言ったんだろうと思ったそこの君! 残念、不正解だ。

 僕が言った言葉とは『戦闘凶』というワードだけなのだ。……そんなにダメな言葉だろうか。それに二人が『戦闘凶』なのは事実だし……。


「――はい……。すみませんでした……。もう二度としません……」

「声が小さい!!! 」

「ひぃ! す、すみませんでした! もう二度としません! 」


 引きずられ、女神様とガイアから少し離れたこの場所にやってきてからおそらく三十分はたっただろう……。

 いや、それはさすがに言い過ぎだろうか。時計がないのでなんとも言えないがとにかくそれくらい長い時間の間、僕はひたすらに怒られ続けているのだ。


「だ!か!ら! 前も話したけど、すみませんじゃなくて申し訳ありませんでしょ! やり直し! 」

「ひぃっ! も、申し訳ありませんでした! もう二度といたしません! どうかお許しを、りえ様! 」


 にしてもりえってS気があるよな。

 前にもこんなこと……、いやあれは今日の朝か。

 確かあの時はエマの乱入によって事なきを得たのだったな。

 しかし、今回はエマもりえの仲間。りえを制止してくれるとは考えにくい。

 このままでは、永遠に怒られ続ける気がする。現状、誰も手を差し伸べてくれそうな人はいない。……万事休すだ。


「うーん。悪くないんだけどなぁー。なんていうかお詫びの気持ちが足りないって言うか……。次は――」

「リ、リエ……。そろそろやめにしませんか? アオイ君も反省したようですし……」

「――ッ! 」


 口出ししないだろうと思っていたエマがりえを制止するような発言をしてくれた。

 エマ様、マジ神すぎ!

 テンションがぶっちぎれてしまったりえはヤバい。止まらなくなる。

 このまま誰も乱入してくれなければ、冗談抜きでこの環境が一生続くことすら余裕でありそうだ。

 どっかのガイアとかいう自称神よりよっぽどこっちの方が神様だ。


「ま、まぁ、大分反省はしたみたいだけど……まだしてたい……じゃなくて! まだ足りない。そうまだ足りないわ」


 今『まだしてたい』って言わなかったか。

 りえは間違いなくドSだ。いや、まだドSの卵だろうか。

 まぁ、そんなことはおいておくとして、あと一歩何かがほしいな。

 あともう一押あれば解放されそうなのだが……


『――そろそろ日も暮れますし、今日はその辺にしておきませんか? 』


 神様、エマ様、女神様ぁぁぁ!!!!!

 我らが神、女神様は自称神様のガイアを引きずりながらこっちにやってきた。

 確かに言われてみると、辺りはそろそろ日が完全に暮れてしまいそうな美しい夕焼けが広がっていた。

 これは強い!

 説教から逃げるための言い分としては十分すぎる!

  これならいくらドSの卵であるりえでも、諦めて僕を解放するだろう。


「――はぁ……。それもそうね……」


 よっしゃぁぁぁ!!!

 これで僕も晴れて自由の身だ。服役を終えたばかりの元囚人の気分だ。

 やっと解放された。

 それにしてもエマと女神様には大きな恩をいただいたな。

 いつか返さなければな!

 いやぁ、それにしてもシャバの空気はうまいな。 まぁ、さっきから一歩も動いていないのだが……。

 まぁ、そんな些細なこと、超上機嫌の今の僕には関係ない。


「――それじゃぁ! 続きは、また明日ってことでっ! 」

「――。――――。――――――。――――――――。――――――――――。」


 ――っえ? 今なんて言った?

 つ、続きは、また明日って聞こえたような気もするが……ま、まさか本当じゃないよな。

 もちろん空耳だよな。

 うん。きっと空耳に決まっている。

 だけど、一応聞き返しておくとしよう。

 まぁ、もちろんただの空耳だと思うけど。


「――あの、今なんて言――」

「続きは、また明日って……そんなに怒られるのが楽しみなの? やっぱ葵ってドMね。さすがの私でもちょっとひくわぁー……って葵? ど、ど、ど、どうしたの!? 」


 ――僕は、絶望しかないその言葉を聞くと、泡を吹き出しながら意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ