表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/100

第59話 葵のことが最優先!

[速水りえ 視点]

「あ、葵!!! 大丈夫!?」

「だ、大丈夫ですか、アオイ君!? 」


 意識を失ったのだろうか……?

 葵は目をつむり、全身から力を抜いたかのように倒れ……そうになった。


「――ふう。危ない、危ない」


 危なかった。

 このまま倒れてしまえば頭から地面に直撃していた可能性すらある。

 そうすればそれなりに大けがをしていた可能性すらあったので、非常に危なかった。

 ふぅ……。こっちに倒れてくれてよかったぁ。


 ってヤバッ!

  今の状況をよくよく考えるとヤバい! マジでヤバい!

 どうしよう……。

 私でも分かる。

 さすがにこれはヤバい気がする。

 

 今、私は葵とハグをしている。

 男子中学生と女子中学生がハグをしている。

 そして、何より問題なのは、すぐそこでエマが見ていることだ。

 二人だけなら問題はない……と思う。だけど、エマに見られているというこの状況はヤバい! 葵が倒れないようにという大義名分はあるものの、この状況はどこからどう見ても仲良しの異性の友達にする行為ではなく彼女が彼氏にする行為な気がする。……たぶん。

 一体エマはなんて言うだろうか。

 嫌な予感しかしない。


「だ、大丈夫ですか!? リエ、これは何らかの呪いかもしれません。……アオイ君が呪いを受けているとは考えたくありませんが……。リエ! アオイ君の額に手を当ててくださりませんか」


 今私と葵がハグをしているこの状況は、まさかの完全スルーだった。

 とても慌てているようだし、それどころじゃないかもしれない。

 私も正直そんなことを考えている暇はないので、一旦それは置いておくことにする。

 私はいつものように葵の黒髪に手櫛(てぐし)を入れながら今の状況を整理した。


 ――今は、葵が大変な状況なのだ。

 今は葵のことに専念するべきだ。

 ……呪いかぁ。

 風邪とはまた別の何かなのだろうか。

 響き的に凄く不安だ。大丈夫だろうか。


「――うーん。熱があると言うよりは冷や汗のせいかちょっと冷たいかなくらいでほとんど普通かな」

「となれば呪いの可能性は低そうですね。あとの呪いの症状と言えば鼻から黄色い汁がでるようになったり、人のものとはとても思えないような鳴き声を上げるようになるなどですが、それも大丈夫そうですよね……」


 鼻から出る黄色い汁、人のものとはとても思えないような鳴き声……もしかして鼻水と咳やくしゃみのことを言っているのだろうか。

 ということは呪いとは風邪のことなのかもしれない。

 確かにここは異世界なので風邪という概念がなくても仕方がない。

 この感じだと、おそらくこの世界の風邪の知識はもとの世界の者と比べれば非常に低いのだろう。

 となれば葵の今の症状を見て、適切な判断をできるのは私しかいないわけだ。

 よし、私の出番って訳ね。


 ……まぁ、とは言っても医療の知識なんてほとんどないので、やってあげられることは少ないかもしれないけど。


「――うーん。呪いではないとすればこれは一体? ……いや、もしかして! 症状が違う、今までにない種類の呪いなのかもしれませんね。だとすれば、王宮魔術師、数百人を直ちに集結させ、呪い解除の舞を踊らせねばなりませんね」


 葵が倒れた状況からして、たまっていた疲れによるものか、風邪によるものかのどちらかだろう。

 だとすれば、最善の対処法はとりあえずゆっくりと休むことだろう。

 エマの刹那の帰還(イピストゥロフィー)で王城に帰還して、看病して、葵の回復を待つのが一番だと思う。

 葵が大好きで大好きで仕方がない女神様という人に会うのはまた今度にはなってしまうがしょうがないだろう。

 それよりもエマの言っていた呪い解除の舞とは一体何なのだろうか。

 王宮魔術師なるものたちが数百人で踊るとか想像するだけで面白い。

 ちょっと見てみたい気持ちもあるけど、今は葵のことが最優先だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ