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第57話 あぁ……気持ち悪い……。

「——怖い……」


 そんなことは正直言ってどうでもいい。

 そんなことより今はとにかく、りえとエマが怖い。マジで怖い。


 はたから見るとただの戦闘狂にしか見えない。

 まだ、ゴーレムくらいはよかった。デュラハンも巨大な九尾の狐もまだ大丈夫だ。

 しかし、巨人がまずかった。

 三つの顔はそれぞれ体から離れてしまっていて、見えてはいけない内臓も見えてしまっており、マジでグロかった。

 百本近い手もばらばらになっており大量の血を流していた。

 そんなグロイ光景を無視して笑いあっているりえとエマ。

 この状況を見て恐怖心を抱かない人はおそらくいないだろう。


「ん? 葵、よく聞き取れなかったんだけど、なんて言った? 」


 そしてさらにやばいのが今この状況である。

 五十体くらいの鬼の軍勢だったものが今もなお地面に大量に落ちている。


 きれいなもともとは美しい緑の草原だったこの場所は今ではどこからどう見ても血に染まった地獄である。

 そして、周囲がそんな状況であるにもかかわらず互いを褒めあって、まるでただの日常の一コマのような会話をしている二人。

 この状況を見た人は百人中百人がこのかわいそうな残骸たちではなくりえとエマを悪だと判断するだろう。

 

 さすがに怖すぎる。

 今までに見たホラー映画がかわいく思えてしまうほどである。

 日本でぬくぬくと平和に日々を過ごしてきた僕にとって、これは刺激が強すぎる。

 

「――怖い……」


 ――怖い……。早く帰りたい。

 いやでも、女神様との約束を果たさなければならないし、早く会いたい。

 だけど、これ以上この空間にいたくない。

 どうしよう。どうすればいいのだろうか。

 ……あ、やばい。目の(ふち)が熱い。


「だ、か、ら。そんな小さな声で言われても聞き取れないから。それとも選べないから曖昧にしようって作戦的なやつ? そういうの正直どうでも良いからさっさと大きな声で答えてくれない? 」


 ――あぁ、ダメだこれ。

 頭がクラクラしてきた。

 世界は色が飛んでしまったように白々として世界で、それでいてぐにゃぐにゃになっている。

 

 貧血なのだろうか。

 ……寒い。寒すぎる。

 つい先ほどまで土砂降りの雨の中にでもいたかのように冷や汗が滝のように流れている。


「 ……って葵!? その汗どうしちゃったのよ? それにその青白い顔に青紫色をした唇……体調でも悪いの? 」

「ア、アオイ君? 大丈夫ですか? 」


 気持ち悪い……。気持ち悪い……。気持ち悪い……。気持ち悪い……。気持ち悪い……。


 ――あ……。こりゃ……ダメな……やつだ……。


「あ、葵!!! 大丈夫!?」

「だ、大丈夫ですか、アオイ君!? 」

 

 ――僕は眠るように意識を失った。

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