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第12話 初戦はゾンビ! 主人公覚醒!?

「「「 ウゥー 」」」


 ――うん。やっぱりゾンビだった……。

 いや、おかしいだろ!!! 今昼だぞ!!!

  ゾンビって夜にしかも墓地とかに出現するものだろ。真昼の草原に出現するとか、どんだけ健康的なゾンビなんだよ!

 

 文句は多々あるもののいくら文句を言っても現実は変えられない。

 いや……待てよ。……ポジティブに考えるれば、完璧な最強主人公に生まれ変わった自分の力を知ることができるのではないだろうか。


 そう考えると、実に楽しみになってきた。

 僕は、一体どんな力を手に入れたのだろうか? 異世界に召喚されて間もなく、目の前にいるこの三匹のゾンビを可憐にほうむる僕。カッコ良すぎる!

 立花葵の英雄伝えいゆうでんの一ページ目にふさわしいだろう。

 とはいっても、自分の力を理解しなければ、敵を倒すのは不可能だ。

 まずは、魔法が使えるかのチェックだ。


「うわぁぁぁ!!! ゾンビじゃん!!! ねぇ、どうするの? 葵!」


 横でさわいでいるりえを無視して魔法を……魔法……ん? 魔法ってどうやったら放てるのだろうか? 適当に詠唱えいしょうすればいいだろうか?

 考えるよりも実践じっせんしてみる方が早いか。


「アオイスペシャルファイアーアタック!!!」


……スカッ


 ……何も起こらなかった。……うっわ、はずっ!!! うん、アレだ。

 やっぱり適当に詠唱するだけじゃだめだったか。それか、まだレベルが足りない的な。

 どちらにせよ、まだ今は魔法が使えないと分かっただけで十分だ。


 じゃあ次はスキルを使えるか試してみるか……ん? スキルもどうやって使えるのだろうか?

 こうなったら剣技だ!

 異世界ファンタジーの主人公になった僕なら一流の剣技を身につけているに違いない……。


 ……あ! 僕、剣……持ってなかった。

 

 ……どうしよう。今、もしかして……ヤバい状況なのでは? こうなったら無駄な意地を捨てて、ゾンビから(みじ)めに逃げるしかない。

 アレだ。たまたま今この状況が悪いだけで、僕は完璧な最強主人公なのだ。

 今さえ逃げ延びれば、この異世界を無双できるに決まっている。


「逃げるぞ! りえ。……って早! 」


 りえはとっくのとうに凄い早さで逃げていた。

 何も言わずに逃げるってリエもなかなかにひどいな。すぐにりえに追いついて、文句を言ってやらねば。

 “自称”運動神経:中の上のダッシュを見せてやる!


「おりゃぁぁぁぁぁ!!!!!! 」


 やっと追いついた。マジで吐きそう。ヤバい!

 そして、もう一つヤバいことが発生した。ゾンビも走って追いかけてきているのだ。

 意味が分からない。どんだけ健康的なゾンビなんだ。

 とは言っても、クッソ早い訳ではないので、それなりに距離は離せたのだが、油断すると追いつかれてしまいそうだ。


「はぁはぁ……。先に逃げるとかなしでしょ。……はぁはぁ。……せめて……なんか言ってから逃げてよ」

「あぁー。それはごめんね。葵がなんか、アオイスペシャルナンチャラ~みたいなこと言ってたからたからもう手遅れかなって? 」


 うっわ。

 聞かれちゃってたか。……そんなことより、手遅れってどういう意味だ?

  ゾンビにやられて頭がおかしくなっちゃた的な意味ではないよな。

 一言文句言ってやりたいが、今はそれをする体力すらもったいない。


「そろそろ引き離せたかな? 一緒に振り返らない? 」


 りえが提案をしてきた。確かに今どれくらい引き離せているかは気になる。

 しかし、僕が振り返っている間にまたおいて行かれそうな気もするのでしっかりと念押しをしておく必要はあるな。


「はぁはぁ……。まぁ、いいけど。……今度は絶対においてかないでよ! 絶対だからね。絶対! 」

「約束ね。……じゃぁ、いくよ。せぇの!!! 」


 さっきとは比べものにならない速度で追いかけてきていた。差は十メートルといったところか。うん。ヤバいな。


「やばいやばいやばいやばい!!! 来てる来てる来てる来てる!!!」


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