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85 デイドラとサギュラ 2

ザドラたちから詳しく事情を聞く。


「最初はやっぱり馬鹿にされたよ。スピードについて行けなくてね。でも観察すると気付いたんだ。あれはリザードマンの泳法にマーマンの泳法をプラスした感じだってね・・・・」


一般的にリザードマンは筋力が発達しているので、力任せに水を掻き分けて進む。一方マーマンは魔力で自分の周りの水流を操って推進力を得ている。ザドラが言うには、それを組み合わせた泳ぎ方が水竜の泳ぎ方だと言う。体が大きく水の抵抗が大きくなるので、そのような泳ぎ方になったのだとザドラは推測していた。


「タネが分かればこっちのもんだ。アタイもデイドラも女王陛下を筆頭に一流のマーマンの泳ぎ方をたくさん見て来たからね。すぐにはできなかったけど、練習すればできるようになったんだ。そうしたら、水竜たちも認めてくれてね」


「だったら、問題はないじゃないか!!なんでデイドラがこんなに血だらけなんだ?」


すると言いにくそうにニコラスが言う。


「デイドラをボコボコにしたのはサギュラさんなんです。ちょっと事情があって・・・・」


ニコラスが言うには、デイドラは泳ぎも上手くなり、また、ミケが用意したお土産も好評で群れのメスから大人気になったそうだ。普段そういったことに慣れていないデイドラは気を良くして、ちょっとしたハーレム気分を味わっていたようだった。そして悲劇が訪れる。

サギュラがその光景を目の当たりにして、怒り狂い、デイドラをフルボッコにしたらしい。


「ドラゴンの修羅場は初めて見たけど、壮絶だったよ。ポチが居なかったら大変なことになっていただろうね」


カーミラ王女も謝る。


「本当にすまない。ただ、サギュラの気持ちも分かって欲しい。サギュラもデイドラが水竜たちにいじめられていないか心配だったのだ。なのに、行ってみれば楽しそうに水竜のメスたちとイチャイチャと!!デイドラよ!!サキュラの気持ちを考えたことはあるのか?サギュラが怒こるのも無理はない」


「キュー・・・」


デイドラは落ち込んでしまっている。

そんなとき、冷静にリュドミラが言う。


「お取込み中で悪いのですが、今はそれどころではありません。勇者砲の残数も少ないですし、早急に対応をお願いします」


「そうだな。ニコラス、デイドラに回復魔法を掛けてやれ。治ったら水中から攻撃だ」


デイドラの治療が終わると、ザドラと共に何本もロープ付きの銛を持って、出撃して行った。


「これで、海面に上がって来たら僕の出番だね。勇者砲で木っ端微塵だ!!」


「それは止めよう。せっかくの素材が無駄になる。前回と同じく、とどめは竜騎士に任せよう。ハンマーホエールの肉はかなり美味しいんだぞ」


「そうだね。あれは美味しかったね。前回は量はあまりなかったからね。あのときはネルソンはケチだと思ったよ」


あのときは、宴会に誘ったのに来なかったお前が悪い!!


状況を見守っていたところ、ザドラが帰って来た。


「5本以上は刺さっているよ」


「了解だ!!これより高速で移動して引っ張り上げる。カーミラ王女!!」


「任された!!」


「デイドラも連れて行ってくれ」


俺とアトラは高速でクリスタリブレ号を移動させる。ハンマーホエールが海面に姿を現した。するとすぐに竜騎士隊が滑空して攻撃を開始した。デイドラも討伐に参加する。しばらくするとハンマーホエールは動かなくなった。


カーミラ王女、ゲクラン王、デイドラが甲板に降り立つ。

ゲクラン王が言う。


「搬送はこちらでしよう。それと討伐記念の宴会は明日だ。解体に時間が掛かるからな。それと、これは国王命令だが、デイドラ、サギュラ、明日までに仲直りしろ。喧嘩したままでは酒が不味くなるからな」


サギュラはまだ怒っているようだ。デイドラが服従のポーズを取っても無視している。


「ネルソン殿、頼むが仲を取り持って欲しい」


「できる限りのことはします」



★★★


結局、仲を取り持ったのはポチだった。最終的には力で押さえつけたようだった。詳しいことは聞かないことにした。ただ、仲直りした後は、こっちが恥ずかしくなるくらいラブラブだった。ニコラスが言う。


「デイドラが水竜のメスたちとイチャイチャしているのを見て、サギュラさんがデイドラに対する気持ちに気付いたようでした。平謝りしているデイドラを許してからは、サギュラさんも素直になったみたいです。だから、船長も素直になったほうがいいですよ」


「俺はいつも素直だ」


「まあ、いいですけど・・・」


ゲクラン王の命令どおり、仲直りを果したデイドラとサギュラは宴会の間は、二人でデートに行くようだった。こちらは、こちらで竜騎士や海軍と合同で宴会が始まった。

場が大分盛り上がって来たところで、ゲクラン王が近付いて来た。


「船長には正式に竜王国の海軍大将の席を用意してもいいと思っているぞ」


「カーミラ王女にも言われましたけど、この勇者パーティーの任務がいつ終わるかも分かりませんし、ずっとお待たせするのも・・・」


「なら、こういうのはどうだ?魔王の復活が確認されたら、我らも総力を上げて参戦しよう。一気に討伐してしまえば早く済むであろう?」


「そうなんですけど・・・魔王自体、本当に居るかどうかも分からない状態でして・・・」


「それはそうだな。だが、何か区切りとなるものが必要だな。勇者管理機構には参加できんが、外交ルートを通じて、要望は届けよう。そうだな・・・たとえば魔族領と正式に不可侵条約を結ぶとかはどうだ?」


魔族領に最も近いのが、ゾロタス聖神国だ。いっそのこと、ついでに魔族領に乗り込むのもいいかもしれないな。でも止めておこう。魔王っていうくらいだから、絶大な力を持っているだろうし。


★★★


ドラゴニアでの滞在期間は15日だった。俺たちはドラゴニアを出発し、進路を東に取った。そして新しい乗員が増えた。カーミラ王女とサギュラ、そしてお付きの2名の女性竜騎士だ。ゾロタス聖神国へ行くには、竜王国の陸沿いを西に進むので、補給や寄港先での案内などの為に乗ってくれている。実は他にも別の理由がある。サギュラがどうしてもデイドラと一緒に居たいかららしい。


付き合い始めは盛り上がるからな。まあ竜王国を離れるまでではあるが。


旅は順調だった。以前に寄港したイーストエンド港を北上し、更に西に進路を変える。アトラはというとサギュラの鱗や牙を利用してデイドラを手懐けていたことがバレて、二匹のドラゴンに折檻されていた。


「ち、違うんだ!!僕のお陰で二人は付き合えたんだろ?感謝して欲しいくらいだ!!」


全く反省してなかった。


そんな感じで、とうとう竜王国の最後の港であるウエストエンド港に寄港した。

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